報酬成形:強化学習のカギ
強化学習とは、まるで迷路を探索するネズミのように、試行錯誤を通して学習していく仕組みです。ネズミは出口を見つけるとチーズという報酬を得ます。同様に、強化学習では学習主体であるエージェントが行動を起こすと、環境から報酬が与えられます。この報酬こそが、エージェントを導く道しるべとなるのです。報酬が大きければ良い行動、小さければ悪い行動と判断し、報酬が最大になるように学習を進めていきます。
しかし、報酬の設定は容易ではありません。例えば、迷路の出口にしかチーズを置かないと、ネズミは出口まで辿り着く方法をなかなか学習できないかもしれません。そこで、報酬成形の出番です。報酬成形とは、エージェントが目標とする行動をより早く学習できるように、報酬の与え方を工夫する手法です。迷路の例で言えば、出口までの道筋に沿って、少しずつチーズを配置するようなものです。
具体的には、目標とする行動に近づくにつれて、徐々に報酬を増やす方法がよく用いられます。迷路では、出口に近づくほどチーズの量を増やす、あるいはチーズを置く間隔を狭くすることで、ネズミは出口の方向へ導かれます。このように、適切な報酬成形は、エージェントの学習効率を大幅に向上させる鍵となります。
報酬成形は、まるで動物の訓練にも似ています。犬に芸を仕込む時、最初から複雑な芸を教えようとしても、犬はなかなか理解できません。そこで、簡単な動作から始め、徐々に複雑な芸へと段階的に教えていきます。それぞれの段階で、おやつなどの報酬を与えることで、犬は望ましい行動を学習していくのです。同様に、強化学習においても、報酬成形によってエージェントの学習をスムーズに進めることができるのです。