強化学習におけるQ値の重要性
試行錯誤を通して学ぶ枠組み、それが強化学習です。学習を行う主体であるエージェントは、周囲の環境と関わり合いながら、最も良い行動を見つけることを目指します。この学習の中核を担うのが、行動価値関数です。これは、ある状況下で特定の行動をとった時に、将来にわたってどれだけの報酬が期待できるかを示すものです。
この行動価値関数の値を、Q値と呼びます。「Quality」の頭文字からきています。Q値は、状況と行動の組み合わせを入力とし、その組み合わせの価値を出力します。Q値が高いほど、その状況でその行動をとることが良いと判断されるわけです。強化学習の目的は、このQ値を最大にする行動を見つけることにあります。
例えば、迷路を解くロボットを想像してみましょう。ロボットのいる場所が「状況」であり、上下左右に動くことが「行動」です。ゴールに辿り着けば報酬が得られます。ロボットは、最初はどの行動が良いか分かりません。しかし、何度も迷路に挑戦する中で、各場所での各行動のQ値を学習していきます。ある場所で右に動くとゴールに近づき報酬が得られる場合、その場所と「右」という行動の組み合わせのQ値は高くなります。反対に、行き止まりに突き当たる行動のQ値は低くなります。
このように、エージェントは様々な行動を試み、その結果得られる報酬からQ値を更新していきます。そして、より高いQ値を持つ行動を選択するようになることで、最適な行動を学習していくのです。Q値は、エージェントが最適な行動を学ぶための重要な指標と言えるでしょう。