データマイニングの成功指標:CRISP-DM

データマイニングの成功指標:CRISP-DM

AIを知りたい

先生、「CRISP-DM」ってデータマイニングの手法だっていうのはなんとなくわかるんですけど、具体的にどんな手順で進めるものなんですか?

AIエンジニア

いい質問だね。CRISP-DMは、大きく分けて6つの段階を踏んでデータマイニングを進める手法だよ。まず、ビジネスの理解、データの理解、データの準備、モデリング、評価、展開という流れになっているんだ。

AIを知りたい

6段階もあるんですね!それぞれの段階でどんなことをするんですか?

AIエンジニア

まず、ビジネスの理解では、目的や課題を明確にする。次に、データの理解では、どんなデータが必要なのかを分析する。そしてデータの準備では、必要なデータを収集・加工する。モデリングでは、データから規則性やパターンを見つけ出すための計算式を作る。評価では、その計算式が正しいか検証する。最後に展開では、検証した計算式を実際に活用する、という流れだよ。

CRISP-DMとは。

データマイニング、つまり大量のデータから有益な情報を取り出す手法の手順を示した『CRISP-DM』(クリスプディーエム)という用語について説明します。CRISP-DMとは、様々な業界でデータマイニングを行う際の標準的な手順を示したものです。

はじめに

はじめに

近ごろは、情報があふれる時代になり、データは貴重な資源となりました。データという山から価値ある鉱物を掘り出す技術、それがデータ探査です。そして、このデータ探査を成功させるための道しるべとなるのが、今回ご紹介するCRISP-DMです。CRISP-DMとは、様々な分野でデータ探査の成功事例を研究し、まとめあげた標準的な方法論です。異なる専門分野の人々が集まり、それぞれの知識を持ち寄り、データ探査を成功に導くための枠組みを作り上げました。

このCRISP-DMは、データ探査に初めて取り組む人から、既に経験豊富な人まで、幅広い人々にとって役に立つ指針となっています。まるで、宝の地図のように、データ探査の進め方を分かりやすく示してくれるのです。CRISP-DMは、大きく分けて六つの段階から成り立っています。まず初めに、取り組む課題を明確にし、目標を設定する「事業理解」の段階です。次に、探査に用いるデータを集め、その質を確かめる「データ理解」の段階に進みます。そして、集めたデータを加工し、探査に適した形に変換する「データ準備」の段階となります。

データの準備が整ったら、いよいよ探査の中心となる「モデリング」の段階です。ここでは、様々な手法を用いてデータの背後に隠された規則性や関係性を見つけ出します。次に、得られた結果を検証し、実用的な価値を見出す「評価」の段階へと進みます。最後に、発見された知見を実際に活用するための計画を立て、実行に移す「展開」の段階をもって、一連の作業が完了となります。このように、CRISP-DMは段階を踏むことで、複雑なデータ探査作業を効率的に進めることを可能にしています。一つ一つの段階を丁寧に進めることで、データという宝の山から、真に価値ある知見を掘り出すことができるのです。

はじめに

課題の把握

課題の把握

事業における問題点を明らかにすることは、データ分析の第一歩であり、大変重要です。データ分析を行う目的を明確にし、解決すべき問題点と、それによって期待される成果を、関係者全員で共有し、同じ認識を持つことが必要です。この段階をしっかり行わないと、後々の工程で混乱を招き、最終的に成果に結びつかない可能性があります。

例えば、顧客の購買行動を分析することで売上増加を目指すのか、製造工程における不良品の発生率を下げることを目指すのかなど、具体的な目標を定める必要があります。漠然と「現状を良くしたい」といったあいまいな目標設定では、分析の方向性を見失い、成果につながらない可能性があります。目標設定は具体的であればあるほど、その後の分析作業がスムーズに進み、効果的な解決策を導き出すことに繋がります。

課題の把握には、データ分析の専門家だけでなく、事業の担当者も積極的に参加することが重要です。専門家はデータ分析の観点から、担当者は事業の観点から、それぞれの視点で問題点を掘り下げ、分析の方向性を定めます。専門家はデータ分析の可能性と限界を理解しており、担当者は事業の現状と課題を深く理解しています。両者の知識と経験を組み合わせることで、より精度の高い課題把握が可能になります。

目標設定があいまいなまま分析を進めると、後々の工程で迷走する原因となります。時間をかけてでも、関係者全員で綿密な議論を行い、共通の認識を形成することが大切です。初期段階で十分な時間をかけて課題を明確にすることで、後々の作業が効率的に進み、最終的な成果に大きく貢献します。関係者間で認識のずれがないかを何度も確認し、全員が納得するまで議論を尽くすことが、成功への鍵となります。

課題の把握

データの理解

データの理解

事業における問題点がはっきりしたら、次に取り組むべきは必要な情報の集め方と内容の把握です。どのような情報が必要で、どこからそれを集められるのか、情報の質はどの程度なのかを確かめる必要があります。社内にあるデータベースや、外部の組織から購入する、アンケート調査を行うなど、様々なやり方で情報を集めます。情報の形式や、欠けている値がないか、通常と異なる値がないかなども調べ、必要に応じて情報の整理や事前の処理を行います。

集めた情報の形式には、例えば数値や文字、日付など様々な種類があります。欠けている値は、情報が完全に集まっていないことを示し、分析の精度を下げる原因となるため、適切な方法で補完する必要があります。また、通常と異なる値は、入力ミスや機器の誤作動などによって生じる可能性があり、分析結果に大きな影響を与えることがあるため、注意深く確認し、必要に応じて修正または削除する必要があります。情報の整理とは、例えばデータの形式を統一したり、不要な情報を削除したりすることを指します。事前の処理には、例えば欠損値の補完や異常値の修正、データの正規化などが含まれます。

情報の特性を理解することで、適切な分析方法を選び、精度の高い結果を得ることができます。例えば、数値データであれば平均値や分散といった統計量を計算することで、データの分布や傾向を把握できます。一方、文字データであれば、単語の出現頻度や関連性を分析することで、データに含まれる意味やトピックを抽出できます。適切な分析方法を選ぶことで、データからより多くの洞察を得ることが可能になります。この段階での情報の吟味は、分析結果の信頼性に大きく影響するため、注意深く進める必要があります。データの質が低いと、分析結果の信頼性が低下し、誤った結論を導く可能性があります。そのため、データの収集から前処理まで、各段階で慎重に作業を進めることが重要です。情報の吟味には、情報の正確性、網羅性、最新性などを確認することが含まれます。

データの理解

データの準備

データの準備

データの準備とは、集めた情報を分析に使える形に整える作業のことです。この作業は、まるで料理をする前に材料を洗ったり切ったりするようなもので、分析の土台を作る大切な工程です。データの準備段階は、全体の作業時間の多くを占める大変な作業ですが、分析結果の良し悪しに直結する重要な部分です。

具体的には、まず集めたデータの中に足りない情報や間違った情報がないかを確認し、修正します。例えば、アンケートの回答に空欄があった場合、どのように扱うかを決めたり、明らかに間違っている数値を修正したりします。これをデータの掃除と言います。次に、データの形を変換します。例えば、日付の表記を統一したり、数値を割合に変換したりすることで、分析をしやすくします。複数のデータの情報を一つにまとめる作業もあります。例えば、顧客情報と購入履歴を組み合わせることで、より詳しい分析が可能になります。

また、不要な情報を取り除いたり、必要な情報を組み合わせたりすることで、新たな情報を作ることもあります。例えば、顧客の年齢と性別から年代層を新たに作成することで、より効果的な分析ができるようになります。これらの作業は、どの分析手法を使うかによって変わるため、目的や手法に合わせて適切な準備を行う必要があります。

データの準備は、地味で時間のかかる作業ですが、この作業を丁寧に行うことで、より正確で信頼できる分析結果を得ることができます。言わば、良い料理を作るには、材料の下ごしらえが重要であるのと同じです。丁寧に準備されたデータは、分析の精度を高め、より良い結果に導いてくれます。

データ準備の工程 説明
データの掃除 足りない情報や間違った情報を修正する アンケートの空欄への対応、誤った数値の修正
データ形式の変換 データの形を変換して分析しやすくする 日付表記の統一、数値の割合への変換
データの統合 複数のデータの情報を一つにまとめる 顧客情報と購入履歴の結合
新たな情報の作成 不要な情報削除や必要な情報結合により新たな情報を作る 顧客の年齢と性別からの年代層作成

モデル作成

モデル作成

データの準備が完了したら、いよいよ予測モデルを作り始めます。どのようなモデルを作るかは、目的とデータの性質によって大きく変わってきます。例えば、将来の売上高を予測したいのか、顧客をグループ分けしたいのか、それとも不良品を検出したいのか、といった目的によって、使うべき手法も異なってきます。

もし将来の値を予測したいのであれば、回帰分析と呼ばれる手法が考えられます。過去のデータから傾向を読み取り、未来の値を予測するのです。例えば、気温の変化からアイスクリームの売上を予測する、といった具合です。また、顧客をグループ分けしたいのであれば、似た者同士をまとめるクラスタリングという手法を用います。購買履歴や属性データなどを基に、顧客をいくつかのグループに分け、それぞれのグループに適した販売戦略を立てることができます。さらに、正常な製品と不良品を区別したいのであれば、分類という手法が有効です。製品の様々な特徴を学習させ、新たな製品が正常か不良かを判断するモデルを作ります。

一つの目的に対しても、複数の分析手法が適用できる場合もあります。例えば、売上予測には回帰分析以外にも、時系列分析と呼ばれる手法を用いることも可能です。その時々に最適な手法はデータの性質によって異なるため、複数のモデルを作成し、それぞれの精度を比較することが重要です。精度の評価には、それぞれの目的に適した指標を用います。例えば、回帰分析では予測値と実際の値のずれの大きさを示す指標などを用います。

モデル作成の過程では、統計や機械学習といった専門的な知識が必要となります。しかし、常にビジネスの目的を意識することが大切です。精度の高いモデルが必ずしもビジネスに役立つとは限らないからです。例えば、顧客を分類する際に、統計的には完璧な分類ができたとしても、その分類結果がマーケティング施策に活かせなければ意味がありません。そのため、モデル作成の各段階において、ビジネスの視点を取り入れることが重要です。

目的 手法 評価指標
将来の値を予測 回帰分析
時系列分析
気温からアイスクリーム売上を予測 予測値と実測値のずれ
顧客のグループ分け クラスタリング 購買履歴や属性データから顧客をグループ分け
不良品検出 分類 製品の特徴から正常/不良を判断

評価

評価

作ったものをしっかりと吟味し、仕事で役立つかどうかを調べます。作ったものがどれくらい正確かだけでなく、分かりやすいか、使いやすいかも大切です。目指す成果をきちんと出せるか、仕事のやり方やルールに合っているかなども確認します。もし問題があれば、作ったものを修正したり、最初から作り直したりします。吟味する段階では、仕事を進める仲間としっかり話し合うことが重要です。作ったものの説明や結果を分かりやすく伝える必要があります。

具体的には、まず、作ったものがどれくらい正確に動くかを数字で測ります。次に、なぜそのような結果になったのかを説明できるようにします。複雑な計算で動いている場合でも、その仕組みが理解しやすいように説明することが大切です。さらに、実際に仕事で使ってみます。机上の計算だけでなく、現実の状況でどれくらい役立つかを確認します。このとき、仕事で使っている他の道具との相性を確かめることも重要です。もしうまく動かない場合は、原因を調べます。計算の方法が間違っていたり、必要な情報が足りなかったりするかもしれません。原因が分かれば、作ったものを修正したり、情報を追加したりして改善します。

吟味の結果を、仕事を進める仲間と共有します。専門用語を使わずに、誰にでも理解できるように説明することが大切です。作ったものが仕事でどのように役立ち、どんな成果が期待できるかを具体的に示します。また、作ったものを使う上で注意すべき点や限界についてもきちんと伝えます。仲間からの意見や質問を聞き、必要に応じて説明を補足したり、作ったものをさらに改良したりします。このように、作ったものを多角的に吟味し、仕事に役立つものにするために努力します。

展開

展開

いよいよ、丹念に作り上げてきた予測模型を実際の業務に組み込んでいく段階、展開の作業に入ります。この作業は、机上の空論で終わらせることなく、現場で使える道具として磨き上げる最終仕上げの段階と言えるでしょう。まず、開発した模型をシステムに組み込み、誰でも使えるようにします。システムへの組み込みは、専門知識を持った技術者だけでは完結できません。実際に模型を使う現場担当者との綿密な連携が不可欠です。次に、関係者への報告書を作成します。報告書には、模型の開発過程、精度、使い方、注意点などを分かりやすく記載し、関係者全員が同じ認識を持つようにします。そして、現場担当者への研修を実施します。研修では、模型の使い方だけでなく、模型の仕組みや限界、注意点などを丁寧に説明することで、担当者が模型を正しく理解し、適切に運用できるようにします。展開作業は、これで終わりではありません。展開後も、模型の働きぶりを注意深く監視する必要があります。具体的には、模型の予測精度が落ち込んでいないか、変化する事業環境に対応できているかなどを継続的に確認します。もし問題があれば、原因を究明し、模型の改良や再構築などの対策を講じます。このように、データ分析は一度ですべてが完了するのではなく、状況に合わせて各段階を繰り返し行うことで、より精度の高い分析結果を生み出し、効果的な事業展開につなげます。絶えず改善を心掛けることで、データ分析の真価を最大限に引き出すことができるのです。まるで、職人が丹精込めて道具を研ぎ澄ますように、データ分析も継続的な努力によって、その輝きを増していくと言えるでしょう。

展開