PM理論:リーダーシップの二つの側面
「ピーエム理論」とは、組織や集団をまとめ、導く立場にある人の行動について研究した理論です。この理論は、良い指導者になるために必要な行動を大きく二つに分けて考えています。一つは「目標達成機能」と言い換えることができ、これは、組織や集団が目指す成果を達成するために、計画を立て、指示を出し、結果を評価するといった行動を指します。もう一つは「集団維持機能」で、これは、組織や集団の構成員同士が気持ちよく協力し合えるように、良好な人間関係を作り、働きやすい環境を整えるといった行動を指します。良い指導者になるためには、この二つの機能をバランスよく行うことが重要だとされています。
目標達成ばかりに重点を置くと、メンバーはプレッシャーを感じ、疲弊してしまうかもしれません。また、反対に集団維持ばかりに気を取られると、組織全体の目標達成がおろそかになってしまう可能性があります。例えば、仕事の手順を細かく指示し、進捗状況を常に確認することで、目標達成の効率は上がるかもしれません。しかし、メンバーの自主性や創造性を損ない、仕事への意欲を低下させてしまう可能性も考えられます。一方、メンバーの意見を尊重し、働きやすい環境を作ることに注力すれば、メンバーの満足度は高まるでしょう。しかし、目標達成への意識が薄れ、組織全体の成果に繋がらない可能性もあります。ピーエム理論は、この二つの機能のバランスがいかに大切かを教えてくれます。
この理論は、指導者の行動を客観的に見つめ直すための枠組みを提供してくれます。自分の行動は目標達成に偏っていないか、あるいは集団維持に偏っていないか、振り返ることで、より効果的な指導方法を見つける手がかりになります。また、ピーエム理論は、指導者だけでなく、集団を構成するメンバーにとっても有益です。指導者の行動を理解することで、組織全体の動きを把握しやすくなり、自分自身の役割や貢献についても考えるきっかけになります。