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スイッチングハブ:賢いネットワークの立役者

時折、中継器とスイッチングハブを混同してしまうことがあります。どちらも複数の機器を繋いで情報をやり取りするための機器なので、似ているように思えますが、実はその中身は大きく違います。中継器は、受け取った情報をそのまま全ての接続機器に送り出す、いわば拡声器のような働きをします。例えば、会議室で誰かが発言した内容を、遠くの部屋まで届けるために拡声器を使うようなものです。拡声器を通すと、声は大きくなりますが、内容は変わりません。同じように、中継器は届く範囲を広げますが、情報の中身には手を加えず、全てそのまま送り出します。このため、不要な情報まで全ての機器に届いてしまい、通信回線が混雑しやすくなってしまいます。 一方、スイッチングハブは、郵便配達員のように賢く情報を届ける機器です。手紙には宛名があり、配達員は宛名を見て正しい住所に手紙を届けます。スイッチングハブも同様に、情報に含まれる「MACアドレス」という宛先情報を見て、必要な機器だけに情報を送ります。他の機器には送らないので、無駄な情報がネットワーク上を流れることがなく、通信回線の混雑を防ぎ、効率的に情報をやり取りできます。また、不要な情報が流れないため、セキュリティの面でも有利です。このように、中継器とスイッチングハブは、情報の送り方が根本的に異なり、ネットワークの効率や安全性に大きな影響を与えます。用途に合わせて適切な機器を選ぶことが重要です。
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PoE:ケーブル一本でデータと電力供給

電力供給とデータ通信を一本のケーブルで同時に行う技術、それがPoE(イーサネット上の電力)です。従来、ネットワーク機器を使うには、データ送受信用の網線と電源供給用の電源線、二本のケーブルが必要でした。PoE対応機器であれば、網線一本でデータと電力の両方を送ることができるため、配線の手間を大幅に減らすことができます。この技術により、機器の設置場所の自由度が飛躍的に向上します。 PoEの規格は、IEEE 802.3af/at/btなどで定められており、規格によって供給できる電力量が異なります。PoE対応機器は、PoE対応の分配器や供給装置といった給電機器に接続することで利用できます。これらの給電機器は、データ信号と電力を一緒に網線に送り込みます。受電側の機器はこの電力を使って動作します。PoEは、インターネット電話、無線接続拠点、ネットワーク監視カメラなど、様々なネットワーク機器で活用されています。特に、天井や壁など、電源差込口の設置が難しい場所への機器設置に大変便利です。また、電源線が不要になるため、配線がすっきりし、見た目も美しくなります。 近年、PoE給電の電力量が増加しており、消費電力の大きな機器にも対応できるようになっています。これにより、PoEの適用範囲はますます広がっています。例えば、大型の表示装置や、高性能のネットワーク機器などにもPoE給電が利用できるようになってきています。PoE技術の進歩は、私たちの生活をより便利で快適なものにしてくれるでしょう。