誤差逆伝播法:学習の仕組み
人工知能が様々なことを学習し、高い精度で答えを導き出せるようにするためには、たくさんの工夫が凝らされています。その中でも、「誤差逆伝播法」と呼ばれる学習方法はとても重要な役割を担っています。この方法は、人が何か新しいことを学ぶときのやり方とよく似ています。
例えば、自転車に乗る練習を想像してみてください。最初はうまくバランスが取れずに何度も転んでしまうかもしれません。しかし、転ぶたびに「なぜ転んだのか」「どうすれば転ばずに済むのか」を考え、少しずつ体の動かし方を修正していきます。何度も繰り返すうちに、自然とバランスを取れるようになり、最終的にはスムーズに自転車に乗れるようになります。
人工知能の学習も同じです。人工知能は、たくさんの計算式を組み合わせて答えを導き出します。しかし、最初のうちは正しい答えからかけ離れた結果を出してしまうことも少なくありません。この時、「誤差逆伝播法」を用いることで、まるで自転車の練習のように、どこを修正すれば正しい答えに近づけるのかを計算し、計算式の中にある数値を少しずつ調整していきます。
「誤差」とは、人工知能が出した答えと、本来の正しい答えとの間の違いのことです。この誤差が大きければ大きいほど、人工知能の答えは間違っているということになります。「逆伝播」とは、この誤差を計算式の出力側から入力側へと逆にたどっていくことを意味します。誤差を逆向きにたどることで、どの部分がどれくらい影響を与えているのかを調べ、より正確な答えを出せるように数値を調整していくのです。
このように、「誤差逆伝播法」は人工知能が学習する上で欠かせない方法であり、私たちが試行錯誤を繰り返しながら学ぶ過程をうまく再現していると言えるでしょう。