平均と平均値:その違いとは?
私たちが普段「平均」と言う時、特に種類を考えずに使っていることが多いでしょう。例えば、テストの点数の平均点や、一ヶ月の食費の平均額などを計算する際に、深く考えることなく「平均」という言葉を使います。しかし、統計の世界では「平均」には様々な種類があり、それぞれ計算方法や使い道が違います。データの特徴をより正しく捉えるためには、これらの平均をきちんと使い分ける必要があるのです。
代表的な平均の種類としては、算術平均、幾何平均、調和平均などがあります。算術平均は、全ての値を足し合わせて、値の個数で割るという、最もよく知られている平均の計算方法です。例えば、3つの値5、7、9の算術平均は、(5+7+9)÷3=7となります。これは、テストの平均点や、一日の平均気温などを計算する際に用いられます。
一方、幾何平均は、値を全て掛け合わせて、その値の個数乗根を求めるという計算方法です。これは、成長率や変化率といった、比率の平均を求める際に適しています。例えば、ある商品の価格が一年目に2倍、二年目に3倍になった場合、全体の平均的な増加率は幾何平均を用いて計算します。具体的には、(2×3)の2乗根、つまり√6≒2.45倍となります。
調和平均は、値の逆数の算術平均を求め、その逆数をとるという計算方法です。これは、速度や割合の平均を求める際に適しています。例えば、行きは時速60キロ、帰りは時速40キロで移動した場合の平均速度は、調和平均を用いて計算します。具体的には、(1/60 + 1/40) ÷ 2 = 1/48 の逆数、つまり時速48キロとなります。
このように、平均には様々な種類があり、それぞれ計算方法と使い道が異なります。データの種類や目的に合わせて適切な平均値を選ぶことで、より正確な分析を行うことができます。どの平均を使うべきか迷った時は、それぞれの平均がどのような性質を持っているかを思い出し、状況に応じて適切なものを選ぶようにしましょう。