モバイル端末に最適なMnasNet
近ごろ、深層学習の模型作りにおいて、模型の設計そのものを自動で行う方法が注目を集めています。この方法は「神経構造探索」と呼ばれ、これまで専門家が手作業で行っていた設計作業を、計算手順によって自動化することで、より高性能な模型を作り出すことができます。
従来の方法は、専門家が経験と知識に基づいて、試行錯誤を繰り返しながら模型の構造を調整していました。この作業は大変な労力と時間を要するだけでなく、専門家の主観に左右されるため、常に最適な結果が得られるとは限りませんでした。一方、神経構造探索では、あらかじめ設定した目標に基づいて、様々な構造を持つ模型を自動的に生成し、その性能を評価することで、最適な構造を探索します。そのため、人手による設計よりも効率的に、かつ客観的に高性能な模型を開発することができます。
特に、携帯端末向けの深層学習模型開発においては、処理能力や電池の持ちといった制約が厳しいため、神経構造探索の利点が際立ちます。携帯端末向けの神経構造探索技術の一つである「エムナスネット」は、限られた資源の中で、高い精度と処理速度を両立させる画期的な技術です。エムナスネットは、携帯端末特有の処理能力や消費電力といった要素を考慮しながら模型の構造を探索するため、限られた環境でも効率的に動作する高性能な模型を生成することができます。
このように、神経構造探索は、深層学習模型開発における設計作業を自動化し、高性能な模型を効率的に開発するための重要な技術です。特に、資源の限られた携帯端末においては、その効果が顕著であり、今後の発展が期待されます。