二つの再帰型ネットワークで注意機構を実現
近年、言葉を扱う技術の分野で、符号化復号化という仕組みと注意機構という仕組みを組み合わせた方法が注目を集めています。この二つの仕組みを組み合わせることで、機械翻訳や文章の要約といった作業の精度が大きく向上しています。
まず、符号化復号化について説明します。これは、入力された言葉を別の形に変換する二段階の処理です。最初の段階である符号化では、入力された文章を、決まった長さのベクトルと呼ばれる数値の列に変えます。これは、文章の意味を数値で表現したようなものです。次に、復号化という段階では、この数値の列をもとに、目的の言葉に変換します。例えば、日本語を英語に翻訳する場合、日本語の文章をベクトルに変換し、そのベクトルから英語の文章を作り出す、といった具合です。
しかし、単に符号化復号化を行うだけでは、長い文章を扱うのが難しいという問題がありました。そこで登場するのが注意機構です。注意機構は、復号化の各段階において、入力された言葉のどの部分に注目すれば良いのかを判断する仕組みです。例えば、「私は赤いりんごを食べた」という文章を英語に翻訳する場合、「食べた」という言葉を翻訳する際に、「赤いりんごを」という部分に注目することで、「ate a red apple」という正しい翻訳文を作り出すことができます。
注意機構を用いることで、入力された文章の全体像を捉えながら、より正確な翻訳や要約を行うことが可能になります。翻訳だけでなく、文章の要約や文章の書き換えといった様々な応用が考えられており、今後の発展が期待されています。例えば、長文を要約する場合、重要な箇所に注目して、簡潔で分かりやすい要約文を作成することができます。このように、符号化復号化と注意機構の組み合わせは、言葉を扱う技術において重要な役割を果たしているのです。