パターン認識:機械が学ぶ世界
私たちは日々、周りの世界を自然に理解しています。例えば、道を歩いている時、目の前にいるのが犬なのか猫なのか、信号の色が赤なのか青なのかを瞬時に判断できます。これは、私たちが意識せずに認識という作業を行っているからです。認識とは、五感を通して得られた情報を脳で処理し、意味を理解する過程のことです。目に入った光の情報から「赤いリンゴ」を認識したり、耳に入った音の情報から「鳥のさえずり」を認識したり、私たちは常にこの認識によって世界を理解しています。
では、この人間の認識能力を機械に持たせることはできるのでしょうか。それを目指すのが「模様認識」と呼ばれる技術です。模様認識とは、コンピュータに数値化されたデータを与え、そこから特定の模様や規則性を見つけることで、データが何を意味するのかを判断させる技術です。例えば、写真に写っているのが犬なのか猫なのかをコンピュータに判断させる場合、コンピュータは写真の色の濃淡や輪郭などの情報を数値データとして受け取ります。そして、模様認識の技術を使うことで、これらの数値データから「犬」や「猫」の特徴を見つけ出し、写真に写っている動物を認識します。
しかし、コンピュータは人間のように感覚器官を持っていません。そのため、コンピュータが情報を認識するためには、情報を数値データに変換する必要があります。写真であれば色の濃淡を数値で表したり、音声であれば音の波形を数値で表したりすることで、コンピュータが理解できる形に変換します。そして、変換された数値データから模様や規則性を見つけ出すことで、コンピュータは人間のように情報を認識できるようになるのです。つまり、模様認識は、機械に人間の認識能力に似た機能を持たせるための重要な技術と言えるでしょう。