人間の音の感じ方を尺度に:メル尺度
私たちは、普段生活の中で様々な音を耳にしています。鳥のさえずり、風の音、車の走行音など、実に多種多様です。これらの音は、それぞれ高さが違います。そして、私たち人間は、高い音ほど、音の高さの違いに敏感であるという特徴を持っています。
例えば、1000ヘルツという音と1100ヘルツという音を比べてみましょう。この二つの音の高さの違いは、ほとんどの人が容易に聞き分けることができます。ところが、もっと低い音の場合を考えてみます。100ヘルツと110ヘルツではどうでしょうか。この二つの音の高さの違いを聞き分けるのは、1000ヘルツと1100ヘルツの場合に比べて、ずっと難しくなります。
これはどういうことでしょうか。私たちの耳は、音の高さの違いをどのように感じているのでしょうか。もし、耳が音の周波数の違いをそのまま、同じように感じているとしたら、100ヘルツと110ヘルツの違いも、1000ヘルツと1100ヘルツの違いと同じように感じられるはずです。しかし、実際にはそうではありません。つまり、私たちの耳は、周波数の違いをそのまま捉えているのではなく、周波数によって感度が異なっているのです。高い音には敏感で、低い音には鈍感なのです。
この、人間の耳の特性を考慮して作られた尺度があります。それがメル尺度です。メル尺度は、人間の聴覚に基づいて、音の高さを表す尺度です。この尺度を使うと、人間の耳がどのように音の高さを捉えているのかを、より正確に理解することができます。例えば、1000メルは1000ヘルツの音の高さとして定義されており、2000メルは、1000ヘルツの音の2倍の高さに聞こえる音の高さとして定義されています。このように、メル尺度は、私たちの聴覚の特性を反映した尺度なのです。