知財

記事数:(2)

ビジネスへの応用

特許の共同管理:パテントプールの仕組み

複数の権利者が持つ特許を一括して管理し、運用する仕組みのことを共同管理といいます。これは、まるでたくさんの権利者がそれぞれ所有する畑をまとめて、一つの大きな農場のように管理するイメージです。特許をまとめて管理する団体は、各権利者に代わって特許の実施を許可したり、使用料を集めたりします。 各権利者にとって、個別に利用許可の交渉をする手間が省けるため、作業が楽になり、より多くの利益を得ることが期待できます。利用する側にとっても、必要な特許を一括してまとめて取得できるため、手続きが簡単になり、費用も抑えることができます。 共同管理は、特に共通の規格に関係する特許でよく利用されています。例えば、ある通信方式に必要な特許を複数の会社が持っている場合、それぞれと個別に契約を結ぶのは大変です。しかし、共同管理方式を導入すると、利用者は管理団体と一度契約を結ぶだけで、必要な特許をすべて利用できるようになります。これは利用者にとって時間と費用の節約になるだけでなく、特許を持つ側にとっても安定した収入を得られるという利点があります。 さらに、共同管理は市場での競争を促す効果も期待されます。特許が一括管理されることで、新しく市場に参入する会社も必要な技術を容易に利用できるようになり、市場全体の活性化につながります。このように、共同管理は特許を持つ側と利用する側の双方に利点があり、技術の進歩と市場の発展に役立つ仕組みと言えるでしょう。
ビジネスへの応用

大学発イノベーションの立役者:TLO

技術移転機関は、大学などの研究場所で生まれた知恵や技術を、社会全体で活かせるように橋渡しをする大切な役割を担っています。この機関は、よく技術移転機関の英語名の頭文字を取って「ティーエルオー」と呼ばれています。ティーエルオーは、大学の研究成果に基づいて、特許権などの知的財産権を取得したり、管理したりします。そして、企業などにその権利を使ってもらうための契約を結ぶことで、研究成果が実際に商品やサービスとして形になることを後押ししています。 大学で行われる基礎研究は、未来の技術革新の芽となる大切なものです。しかし、研究成果を実際に商品やサービスとして世に出すには、企業の力が必要です。ティーエルオーは、大学と企業の間を取り持ち、特許権の取得や管理、権利使用の契約交渉、共同で研究を進めるための支援など、技術移転に必要な様々な仕事をしています。そうすることで、大学発の新しい技術や商品が生まれることを後押ししているのです。 さらに、ティーエルオーは研究者に対して、知的財産の管理方法や、技術をどのように売り込めば良いのかといったことについての教育や助言も行っています。大学全体が技術移転をうまく進められるように、力を貸しているのです。近年、大学での研究成果を実際に役立てることがますます重要になってきており、それに伴ってティーエルオーの役割もますます大きくなっています。ティーエルオーは、大学で生まれた技術を社会に役立てるための、なくてはならない存在と言えるでしょう。