世界最初の汎用コンピュータ:エニアック
第二次世界大戦という大きな争いの最中、アメリカ陸軍の弾道研究所は、大砲の弾道計算をより速く行う必要性に直面していました。砲撃の正確さを左右する弾道計算は、人の手で行われており、多くの時間と労力が費やされていました。計算の遅れは、戦況に大きな影響を与える可能性がありました。そこで、弾道研究所はペンシルバニア大学に資金を提供し、計算を自動化できる機械の開発を依頼しました。これが、後にエニアックと呼ばれるコンピュータの誕生へと繋がります。
当時、計算に用いられていたのは、歯車式計算機のような機械式計算機でした。これらの計算機は、計算速度が遅く、複雑な計算には限界がありました。エニアックは、真空管を使って計算を行う電子式計算機として設計され、従来の機械式計算機よりもはるかに高速な計算を可能にしました。開発は困難を極めましたが、研究者たちのたゆまぬ努力によって、1946年2月14日、ついにエニアックは完成し、世界に向けて公開されました。
エニアックは、世界初の汎用電子式デジタルコンピュータと呼ばれています。これは、特定の計算だけを行う専用の機械ではなく、プログラムを変えることで様々な計算に対応できることを意味します。例えば、弾道計算だけでなく、天気予報や原子力研究など、多様な分野の計算に利用できる画期的な機械でした。このプログラム変更による汎用性こそが、エニアックを現代のコンピュータの原型と見なされる理由であり、その後のコンピュータ開発に大きな影響を与えました。エニアックの登場は、計算の自動化という新たな時代を開き、科学技術の発展に大きく貢献しました。その功績は、現代社会の至る所にコンピュータが利用されていることからも、計り知れないものと言えるでしょう。