深層学習の歴史

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深層学習

画像認識の源流、ネオコグニトロン

計算機に人間と同じように画像を理解させることは、長年の夢であり、難しい課題でした。初期の画像認識の仕組みは、単純な丸や四角、あるいは決まった模様を見分けるのが精一杯で、写真のような複雑な画像を理解するにはほど遠いものでした。 当時の技術では、画像から大切な特徴を取り出す方法が限られていました。例えば、画像の明るさや色の変化を数値として捉えることはできましたが、それが一体何を意味するのかを理解させることは難しかったのです。また、画像に少しでもノイズ(画像の乱れ)が入ったり、対象が少し形を変えたりするだけで、正しく認識できなくなるという弱点もありました。そのため、手書きの文字を判読するといった、限られた用途でしか実用化されていませんでした。 このような状況を打開するために、全く新しい発想に基づいた画像認識の方法が求められていました。そして、日本の福島邦彦氏の発明した「ネオコグニトロン」が、その突破口を開いたのです。ネオコグニトロンは、人間の目がどのようにものを見ているのか、その仕組みをヒントに作られました。従来の画像認識の仕組みとは全く異なる方法で、コンピュータに画像を認識させることを目指したのです。これは、画像認識の分野における画期的な出来事であり、その後の発展に大きく貢献することになります。福島氏の着想は、多くの研究者に影響を与え、より高度な画像認識技術の開発へとつながっていくのです。
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画像認識の起源:ネオコグニトロン

近頃、技術の進歩によって、画像を認識する技術はとてもすごいことになっています。例えば、携帯電話で顔を確認することでロックを解除したり、車が自分で道を走ったりする技術も、この画像認識技術のおかげです。こうした技術は、私たちの暮らしの中にどんどん入ってきました。では、このような技術はどのようにして生まれたのでしょうか。それは、昔の日本の福島邦彦先生という方が、1980年に考えた「ネオコグニトロン」という仕組みがもとになっています。この文章では、このネオコグニトロンがどんなものなのか、どこがすごかったのか、そして今の画像認識技術にどうつながっているのかを説明していきます。 ネオコグニトロンは、人間の脳の仕組みを真似て作られたものです。人間の脳は、目から入った情報を、段階的に処理することで、ものを見分けています。ネオコグニトロンも同様に、何層もの処理を重ねることで、画像の中に何が写っているのかを認識します。最初の層では、単純な線や角を認識し、次の層ではそれらを組み合わせて、より複雑な形を認識していきます。こうして、最終的には、全体の形を認識することができるのです。これは、従来の画像認識技術とは大きく異なる点でした。 ネオコグニトロンのすごいところは、画像が多少変形していても、同じものだと認識できる点です。例えば、手書きの文字は、書く人によって形が少しずつ違います。しかし、ネオコグニトロンは、文字の形が多少違っても、同じ文字だと判断できます。これは、人間の脳が持つ柔軟な認識能力に近づくための大きな一歩でした。また、ネオコグニトロンは、教えなくても、自分で学習していくことができます。たくさんの画像を見せることで、様々なものを認識する能力を自ら高めていくのです。 このネオコグニトロンは、その後の画像認識技術の研究に大きな影響を与えました。現在の画像認識技術の中心となっている「深層学習(ディープラーニング)」も、ネオコグニトロンの考え方がもとになっていると言われています。つまり、ネオコグニトロンは、現代の画像認識技術の礎を築いた、画期的な発明と言えるでしょう。