次元の呪い:高次元データの罠
機械学習では、様々な情報をもとに予測を行います。この情報一つ一つを次元と呼びます。例えば、家の値段を予測する際には、部屋の広さや築年数といった情報が次元となります。これらの次元が多いほど、一見、より正確な予測ができそうに思えます。しかし、実際にはそう単純ではありません。次元が増えるほど、予測に必要な情報量も爆発的に増えてしまうのです。これが次元の呪いと呼ばれる現象です。
例えて言うなら、一枚の地図上に点を打つことを考えてみましょう。もし地図が一枚だけであれば、点を密集させて配置することができます。しかし、地図が何枚も重なった立体的な空間になると、同じ数の点を配置しても、点と点の間隔は広がってしまいます。次元が増えるということは、この地図の枚数が増えることと同じです。次元が増えるにつれて、データが存在する空間は広がり、データ同士の距離が離れてまばらになるのです。
まばらになったデータから正確な予測をするためには、より多くのデータが必要です。少ないデータでは、データ間の関係性を正確に捉えることができず、予測の精度が低下してしまいます。まるで、広い砂漠で、数少ない砂の粒から砂漠全体の形を推測しようとするようなものです。
この次元の呪いを避けるためには、次元削減という手法を用います。これは、重要な情報だけを残して次元の数を減らす技術です。例えば、家の値段を予測する際に、家の色よりも部屋の広さのほうが重要だと判断した場合、色の情報を削除することで次元を減らすことができます。このように、本当に必要な情報を見極めて次元を減らすことで、次元の呪いを克服し、より正確な予測モデルを作ることができるのです。