構造推定

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推論

DENDRAL:化学分析の革新

DENDRALは、1960年代にスタンフォード大学で生まれた人工知能(AI)計画です。その頃の化学分析では、物質を細かく調べてその性質を明らかにする手法である質量分析法が、なくてはならないものとなっていました。しかし、質量分析法で得られた情報から、実際にどのような物質であるかを明らかにするのは、容易なことではありませんでした。分析結果から物質の構造を特定するには、熟練した化学者であっても、大変な時間と労力を要しました。何度も試行錯誤を繰り返す必要があったのです。 そこで、DENDRAL計画は、この複雑な作業をコンピュータによって自動化することを目指して始まりました。もしコンピュータが構造決定を支援できれば、迅速かつ正確に物質の構造を特定できるようになり、化学研究は大きく進歩するはずです。具体的には、質量分析法で得られたデータを入力すると、DENDRALは考えられる物質の構造を提案します。これは、AIを科学研究に活用した初期の成功例の一つとして知られています。DENDRALの登場は、それまで人手に頼っていた作業をコンピュータに任せることができることを示し、AIの可能性を世に知らしめる大きな一歩となりました。質量分析法と組み合わせたAI技術は、その後の化学研究、ひいては科学全体の発展に大きく貢献することになります。