数値ベクトル

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機械学習

密ベクトル入門:データ表現の基礎

中身がぎっしり詰まったベクトル、それが密ベクトルです。ベクトルとは、数値を順番に並べたもので、データの特徴を表すのに使われます。密ベクトルでは、そのほとんどの要素にゼロ以外の数値が入っています。 たとえば、文章を分析したいとしましょう。文章の中にどのような単語が何回出てきているかを数えて、ベクトルを作ることができます。単語の種類がたくさんあれば、ベクトルの要素数も多くなります。ある単語が文章中に3回出てきていれば、その単語に対応するベクトルの要素には3という数値が入ります。このように、単語の出現回数を使って文章の特徴を数値で表すことができます。このベクトルは、機械学習のモデルへの入力として使われ、文章の分類や意味の理解などに役立ちます。 画像を扱う場合を考えてみましょう。画像は小さな色の点が集まってできています。それぞれの点の色を数値で表すことで、画像全体を一つのベクトルとして表現できます。例えば、白黒画像であれば、それぞれの点の明るさを0から1までの数値で表し、それを順番に並べることでベクトルを作ります。カラー画像であれば、赤、緑、青の三色の強さを数値で表し、それらを組み合わせてベクトルを作ります。こうしてできたベクトルは、画像認識や画像検索などに利用されます。 また、買い物の履歴からもベクトルを作ることができます。商品ごとに番号を振っておき、それぞれの商品を何回買ったかを数えてベクトルを作ります。ある商品を5個買ったならば、その商品に対応するベクトルの要素には5が入ります。何も買わなかった商品に対応する要素には0が入ります。このようにして作ったベクトルは、その人の購買傾向を表すものとして、お勧め商品の表示などに利用できます。 密ベクトルは、多くの情報を詰め込むことができるため、複雑なデータの関係性を捉えるのに役立ちます。これは、機械学習モデルがデータを学習する上で非常に重要です。高次元のデータ、つまり要素数の多いデータも効率よく表現できるので、様々な場面で活用されています。
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エンベディング:言葉の意味を捉える技術

「埋め込み」という意味を持つエンベディングとは、言葉や絵、音声といった様々な情報を、計算機が理解しやすい数値の列に変換する技術です。この数値の列は、ベクトルと呼ばれ、複数の数値が順番に並んだものです。例えば、「りんご」という言葉を[0.2, 0.5, -0.1]のようなベクトルに変換します。 エンベディングの重要な点は、似た意味を持つ言葉や似た特徴を持つ情報は、ベクトル空間上で近くに配置されるように変換されることです。例えば、「りんご」と「みかん」はどちらも果物なので、これらのベクトルは空間上で近い位置にあります。一方、「りんご」と「自動車」は全く異なるものなので、ベクトル空間上では遠く離れた位置にあります。このように、意味や特徴をベクトルの位置関係で表現することで、計算機は言葉や画像などの意味を理解し、処理することができるようになります。 この技術は、人工知能の様々な分野で活用されています。例えば、文章の意味を理解する自然言語処理では、文章を構成する単語をベクトルに変換することで、文章全体の意味を把握したり、文章同士の類似度を計算したりすることができます。また、画像認識では、画像をベクトルに変換することで、画像に写っている物体を識別したり、似た画像を検索したりすることができます。さらに、音声認識や音楽のジャンル分類など、様々な分野で応用されています。 エンベディング技術によって、計算機は人間のように情報を理解し、処理することが可能になり、私たちの生活をより豊かにする様々なサービスの開発に役立っています。例えば、検索エンジンでより的確な検索結果を表示したり、会話型人工知能でより自然な対話を実現したり、自動翻訳でより精度の高い翻訳結果を得たりすることが可能になります。今後、エンベディング技術はますます発展し、人工知能の発展に大きく貢献していくと考えられます。