思考実験

記事数:(2)

その他

中国語の部屋:知能の謎を解く

ある思考の試みについてお話しましょう。これはアメリカの学問をする人、ジョン・サールさんが考えたものです。この試みは、人の考え方をまねる機械が本当にものを「理解」していると言えるのかを問いかけるものです。 想像してみてください。漢字が全くわからない人が、一つの部屋にいます。その部屋には、漢字で書かれたたくさんの質問と、それに対する正しい答えが書かれた分厚い手引書が山積みになっています。部屋の外にいる人が、漢字で質問を書いた紙を部屋の中に差し入れます。部屋の中にいる人は、手引書を必死に調べ、質問と同じ漢字を見つけ、それに対応する漢字の答えを探し出して、紙に書き写し、部屋の外に出します。 部屋の外にいる人から見ると、まるで部屋の中にいる人が漢字を理解して、質問に答えているように見えます。しかし、部屋の中にいる人は、漢字の意味を全く理解していません。ただ、手引書に書かれた漢字を、絵のように見て、同じものを書き写しているだけです。まるで、模様合わせのパズルをしているように。 サールさんは、この思考の試みを通して、たとえ機械が人と全く同じようにやり取りできたとしても、機械が本当に「理解」しているとは言えないと述べました。つまり、機械は文字や記号を並べ替えることはできても、その文字や記号が何を意味するのかを理解することはできない、と言うのです。これは、私たちがものを考えるとはどういうことなのか、深く考えさせる試みです。
その他

中国語の部屋:知能の謎を問う

「思考実験」とは、頭の中で想像する実験のことで、実際に実験装置などを使わずに、思考の力だけで行います。思考実験は、哲学や科学の分野で、ある理論や考え方の妥当性を検証したり、新たな問題点を発見したりするために用いられます。有名な思考実験の一つに「中国語の部屋」というものがあります。これは、アメリカの哲学者、ジョン・サールが考え出したものです。 この思考実験は、機械がどれだけ複雑な処理をこなせるようになっても、本当にものを理解していると言えるのかという問題を扱っています。実験の内容は次のようなものです。中国語が全くわからない人が、一つの部屋に閉じ込められています。その部屋には、中国語で書かれた質問が紙切れで送られてきます。部屋の中には、分厚い説明書が用意されていて、その説明書に従うことで、中国語の質問に対する適切な中国語の返答を生成することができます。部屋の中にいる人は、その説明書通りに記号を操作して、返答を作成し、部屋の外に送り返します。 この説明書は非常に良くできていて、部屋の外にいる中国語を話す人は、部屋の中にいる人が中国語を理解しているかのように感じます。しかし、実際には、部屋の中にいる人は、中国語の意味を全く理解していません。ただ、説明書に書かれた手順に従って、記号を操作しているだけです。まるで、電卓のように計算しているのと同じです。この思考実験は、記号を操作するだけで知能があるように見せかけることはできるのか、それとも本当に意味を理解することが必要なのか、という問いを投げかけています。つまり、処理能力の高さは、必ずしも知能や理解を意味するわけではないということを示唆しているのです。