形態素解析

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言語モデル

文章を扱う技術:トークンの役割

私たちは言葉を理解するとき、文章を単語や句、あるいは句読点といった小さな単位に分解して、それぞれの意味を捉えながら全体の意味を組み立てています。これは、コンピュータが言葉を扱う自然言語処理の分野でも同じです。コンピュータにも人間と同じように文章を理解させるためには、文章を適切な単位に分割する必要があります。この文章の構成要素となる単位のことを「トークン」と言います。 トークンは、必ずしも単語一つ一つに対応するとは限りません。「私は猫が好きです。」という文章を例に考えてみましょう。この文章は、「私」「は」「猫」「が」「好き」「です」「。」という風に、それぞれの単語をトークンとして分割できます。しかし、場合によっては「猫が好き」という複数の単語から成る句を一つのトークンとして扱うこともあります。あるいは、「好き」という言葉はそれ自体が一つのトークンですが、「好き」という言葉に「です」を付け加えた「好きです」を一つのトークンとすることも可能です。このように、トークンの大きさは、目的や状況に応じて変化します。このトークンの大きさのことを「粒度」と呼びます。 では、どのようにしてトークンの粒度を決めるのでしょうか。それは、自然言語処理の目的によって異なります。例えば、文章全体の雰囲気を掴みたい場合は、単語よりも大きな単位でトークン化した方が良いでしょう。一方、文章の意味を正確に理解したい場合は、単語ごとにトークン化するか、あるいは「猫が好き」のような意味を持つ句を一つのトークンとするのが適切です。このように、トークンの粒度は、処理の精度に大きな影響を与えます。適切な粒度でトークン化することで、コンピュータは文章の内容をより深く理解し、翻訳や文章要約、感情分析といった様々なタスクを正確にこなすことができるようになります。そのため、トークン化は自然言語処理において非常に重要な要素と言えるでしょう。
分析

形態素解析: 言葉の分解

私たちが日々、口にしたり書き記したりする言葉。これらは、実は小さな意味の部品が組み合わさってできています。この意味を持つ最小の部品のことを、私たちは「形態素」と呼びます。この形態素こそが、言葉の成り立ちを理解する上で、とても大切なカギとなるのです。 例えば、「学校」という言葉を考えてみましょう。この言葉は、「学」と「校」という二つの部分に分けることができます。「学」は学ぶこと、「校」は場所を表し、それぞれが単独でも意味を持っています。しかし、これらをさらに細かく分けてしまうと、途端に意味が分からなくなってしまいます。「が」や「く」や「こ」や「う」など、一つ一つの音には、もはや「学校」という言葉の持つ意味は残っていません。このように、それ以上分解すると意味を失ってしまう単位、それが形態素なのです。 形態素は、まるで建物のレンガのように、一つ一つが意味を持ち、組み合わさることで、より複雑な意味を持つ言葉を形作っていきます。「美しい花」という言葉であれば、「美しい」と「花」という二つの形態素から成り立っています。そして、「美しい」という形態素は、さらに「美」と「しい」という部分に分けられますが、「美」は美しさ、「しい」は形容詞を作る接尾語であり、それぞれ意味を持っています。このように、形態素を理解することで、言葉の構造や意味をより深く理解することができるのです。この形態素を見分ける技術こそが、文章を分析し、意味を理解する上で重要な役割を果たす「形態素解析」と呼ばれるものなのです。
言語モデル

構文解析:文章構造の解明

人は、話すときや文字を書くとき、言葉と言葉を繋げて意味のある文章を作っています。これは、まるで糸に通したビーズのように、一つ一つの言葉が規則に従って繋がっているからです。この言葉同士の繋がりを解き明かし、文章の構造を見えるようにするのが構文解析です。構文解析は、人間が言葉をどのように理解し、処理しているのかをコンピュータに模倣させるための重要な技術です。 構文解析は、コンピュータに言葉を理解させるための自然言語処理という分野で中心的な役割を担っています。例えば、日本語を英語に翻訳する機械翻訳や、インターネットで必要な情報を探す情報検索など、様々な技術の土台となっています。機械翻訳では、日本語の文章の構造を解析することで、正しく英語に訳すことができます。情報検索では、検索キーワードと文章の構造を比較することで、より的確な検索結果を表示することができます。 構文解析では、文を単語に分解し、それぞれの単語がどのような役割を持っているのかを調べます。例えば、「猫が魚を食べた」という文では、「猫」が主語、「魚」が目的語、「食べた」が述語です。これらの単語の関係性を明らかにすることで、文全体の構造を把握することができます。この構造は、木の枝のように図式化されることが多く、これを構文木と呼びます。構文木を見ることで、文章の構造が一目で理解できます。 この解説では、構文解析の基礎的な考え方から、具体的な方法、そして、様々な分野での活用例まで、分かりやすく説明していきます。構文解析を学ぶことで、コンピュータがどのように人間の言葉を理解しているのかを知ることができ、自然言語処理技術への理解も深まります。
分析

形態素解析:言葉のひもとく技術

私たちが日々使っている言葉は、もっと小さな意味の単位が集まってできています。この言葉の最小単位のことを形態素と言います。例えば、「読み書き」という言葉は、「読む」という動作を表す部分と「書く」という動作を表す部分の二つに分けられます。この「読む」と「書く」が形態素です。また、「赤いボール」という言葉も、「赤い」という色を表す部分と「ボール」という物の名前を表す部分に分けられます。この場合の「赤い」と「ボール」も形態素です。 このように、文章を形態素に分解することを形態素解析と言います。形態素解析は、言葉の意味や構造を理解するための最初の段階としてとても大切です。まるで家を建てる時のように、言葉という家を理解するには、まず形態素というレンガの一つ一つをきちんと見分ける必要があるのです。 形態素には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、それだけで意味を持つ自立形態素です。例えば、「山」や「川」、「食べる」や「寝る」などです。これらは、他の言葉と組み合わせなくても、それだけで何かの意味を表すことができます。もう一つは、それだけでは意味を持たず、他の形態素とくっつくことで初めて意味を表す付属形態素です。例えば、「赤い」の「い」や、「読んだ」の「た」、あるいは「は」「が」「の」などの助詞がこれにあたります。これらの形態素は、自立形態素にくっついて、その意味をより詳しくしたり、他の言葉との関係を示したりする役割を担っています。 このように、様々な種類の形態素を正しく見分けることは、機械に言葉を理解させる技術の土台となる大切な技術です。