最急降下法:最適化の基礎
この手法は、ある関数が最小値をとる場所を探すための計算方法です。最も急な下り坂を下ることで谷底を目指す、いわば山登りの逆のような方法です。具体的には、まず探索の出発点を決めます。次に、その地点での関数の傾きを調べます。この傾きは、各変数に対する関数の変化の割合を示すもので、山の斜面の急さを表すものと考えることができます。この傾きが最も急な下りの方向を示しているので、この方向に沿って移動することで関数の値を小さくすることができます。移動する量を歩幅と呼びますが、この歩幅を適切に設定することが大切です。歩幅が大きすぎると最小値を通り過ぎてしまうことがあり、小さすぎると目的の場所にたどり着くまでに時間がかかってしまいます。
この傾きを調べ、歩幅を決めて移動することを繰り返すことで、少しずつ最小値に近づいていきます。ボールが斜面を転がり落ちていくように、関数の値が小さくなっていく様子を想像すると分かりやすいでしょう。
具体的な手順としては、まず関数の傾きを計算します。この傾きは勾配と呼ばれ、各変数に対する関数の変化率を成分とするベクトルで表されます。次に、この勾配を使って現在の位置から移動する方向と量を決定します。移動量は、勾配に学習率と呼ばれる小さな値を掛けたものになります。学習率は、一度の移動でどの程度値を更新するかを制御するパラメータで、適切な値を選ぶことが重要です。小さすぎると収束が遅くなり、大きすぎると最小値を飛び越えてしまう可能性があります。そして、新しい位置で再び関数の勾配を計算し、更新を繰り返します。このプロセスを、関数の値が変化しなくなるか、あらかじめ設定した回数に達するまで続けます。
最適化問題において、この手法は分かりやすく、実装しやすいという利点があります。しかし、大域的な最小値ではなく、局所的な最小値に収束してしまう可能性や、勾配が平坦な領域では収束が遅いといった欠点も存在します。