報酬成形:強化学習のカギ
報酬成形とは、強化学習において学習主体を導く報酬関数を調整する技法のことです。強化学習では、学習主体は環境とのやり取りを通して学習を進めます。この学習主体は、しばしば「代理」と呼ばれます。代理は、周りの状況に応じて様々な行動を取りますが、どの行動が良いのか、どの行動が悪いのかを判断する基準が必要です。この基準となるのが報酬関数です。報酬関数は、代理の行動に対して数値的な評価を与えます。
報酬成形は、この報酬関数を適切に設計し、修正する作業を指します。適切な報酬関数は、代理が目標達成に向けて効率的に学習を進めるために不可欠です。もし報酬関数が不適切であれば、代理は目標とは異なる方向に学習を進めてしまう可能性があります。これは、目的地が分からないまま、暗闇の中を手探りで進むようなものです。報酬成形は、代理にとっての道標、あるいは灯台のような役割を果たします。代理が進むべき方向を明るく照らし出し、目標達成へと導きます。
具体的な手法としては、試行錯誤を繰り返しながら、報酬関数の設計と代理の行動方針を確認していきます。代理の行動方針のことを「方策」と呼びます。まず、報酬関数を設計し、その報酬関数に基づいて代理に学習させます。そして、代理の学習結果、つまり方策を確認し、それが目標達成に適切かどうかを評価します。もし方策が不適切であれば、報酬関数を修正し、再度代理に学習させます。この過程を繰り返すことで、最終的に目的とする作業に最適な報酬関数を導き出します。適切に設計された報酬関数によって、代理は迷うことなく目標へとたどり着くことができるのです。