単語表現

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言語モデル

ELMo:文脈を読む賢い単語表現

言葉の意味は、周りの言葉によって大きく変わることがあります。例えば、「走る」という言葉は、運動会で使われる時と、計算機の仕組みが動く時に使われる時で、全く違う意味になります。このように、同じ言葉でも、使われる場面によって意味が変わることを、私たちは自然と理解しています。しかし、従来の計算機は、この言葉の文脈を捉えるのが苦手でした。 従来の計算機は、それぞれの言葉に対して、意味を表す数値の列(ベクトル)を割り当てていました。この方法では、「走る」という単語には、運動会の意味でも、計算機の仕組みが動く意味でも、同じベクトルが割り当てられていました。つまり、計算機は「走る」という言葉が持つ複数の意味を区別できていなかったのです。そのため、言葉の意味をもっと正確に理解できる、新しい方法が必要とされていました。 このような背景から、ELMoが生まれました。ELMoは、文脈を考慮した、新しいベクトルの割り当て方を提案しました。ELMoでは、同じ「走る」という言葉でも、周りの言葉によって異なるベクトルが割り当てられます。運動会について書かれた文章の中の「走る」には、運動会に合ったベクトルが、計算機の仕組みについて書かれた文章の中の「走る」には、計算機に合ったベクトルが割り当てられるのです。 このように、ELMoは、文脈に応じて言葉の意味を捉えることができるようになりました。これにより、計算機は言葉の意味をより深く理解し、文章の全体的な意味を把握することができるようになりました。従来の方法よりも高い精度で言葉の意味を捉えることができるようになったELMoは、自然言語処理の分野に大きな進歩をもたらしました。
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局所表現:言葉のベクトル化

計算機は数字を扱うのが得意ですが、人が使う言葉のような記号はそのままでは理解できません。計算機が言葉を理解し、処理するためには、言葉を計算機が扱える数字に変換する必要があります。この変換方法の一つに、局所表現と呼ばれる方法があります。 局所表現とは、言葉をベクトルと呼ばれる数字の列に変換する手法です。ベクトルとは、複数の数字を並べたもので、例えば、ある言葉が「3,5,1」というベクトルで表現されるとします。このベクトルは、計算機の中でその言葉の意味や特徴を表す役割を果たします。これは、大きな辞書の中の言葉一つ一つに、通し番号を付けるようなものです。それぞれの言葉には、固有の番号、つまりベクトルが割り当てられます。例えば、「りんご」という単語には「1」が、「みかん」には「2」が、「バナナ」には「3」といったように、それぞれ異なる番号が割り当てられます。 この方法だと、それぞれの言葉は独立した存在として扱われ、言葉同士の関係性までは表現できません。例えば、「りんご」と「みかん」はどちらも果物ですが、それぞれの番号である「1」と「2」の間には、そういった意味的な繋がりは一切ありません。まるで、辞書に載っている言葉が、ただ順番に番号を振られているだけで、言葉の意味や関連性については何も語られていないようなものです。局所表現は、言葉の表現方法としては単純ですが、計算機で言葉を扱うための基礎となる重要な手法です。計算機は、このベクトルを用いることで、言葉を数字として処理し、様々な計算を行うことができます。例えば、文章の中に特定の言葉が何回出てきたかを数えたり、似ている言葉を探し出したりすることが可能になります。また、この技術は、機械翻訳や文章要約といった、より高度な自然言語処理の基盤にもなっています。
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局所表現:言葉のベクトル化

計算機は数字を扱うのが得意ですが、言葉のような記号をそのまま理解することはできません。そこで、言葉を計算機が理解できる数字に変換する必要があります。この数字による表現方法の一つに、局所表現というものがあります。局所表現とは、言葉をベクトルと呼ばれる数字の列に変換する手法です。ベクトルとは、複数の数字をまとめたもので、例えば、身長、体重、年齢といった複数の情報を一つのまとまりとして扱うことができます。 局所表現では、それぞれの言葉に固有の番号を割り当て、その番号に対応する場所に1を、それ以外の場所には0を配置したベクトルを作成します。これを「one-hotベクトル」と呼びます。例えば、「りんご」「みかん」「ぶどう」の三つの言葉を扱う場合、「りんご」には1番、「みかん」には2番、「ぶどう」には3番を割り当てます。すると、「りんご」は「1、0、0」、「みかん」は「0、1、0」、「ぶどう」は「0、0、1」というベクトルで表現されます。このように、それぞれの言葉は他の言葉とは独立したベクトルで表現されます。これが局所表現の特徴です。 しかし、局所表現には言葉の意味や関係性を捉えられないという欠点があります。「りんご」と「みかん」はどちらも果物ですが、それぞれのベクトルを見ると、全く関連性がないように見えます。また、扱う言葉の種類が増えると、ベクトルの次元数も増え、計算機の負担が大きくなります。そこで、これらの欠点を補うために、分散表現と呼ばれる別の表現方法が開発されました。分散表現では、言葉の意味や関係性を捉えることができ、より少ない次元数で表現することができます。これは、局所表現とは異なり、それぞれの言葉が複数の要素を組み合わせて表現されるためです。例えば、「りんご」は「甘さ」「赤色」「果物」といった要素の組み合わせで表現され、「みかん」も同様に「甘さ」「オレンジ色」「果物」といった要素の組み合わせで表現されるかもしれません。このように、共通の要素を持つ言葉はベクトル空間上で近い位置に配置されるため、言葉の意味や関係性を捉えることができます。 つまり、局所表現と分散表現は、それぞれ言葉の表現方法として異なる特徴を持っています。どちらの方法が適しているかは、扱うタスクやデータの性質によって異なります。
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高速テキスト分類器:fastText

高速テキスト分類器とは、大量の文章を決められた種類に素早く仕分けるための道具です。高速テキスト分類器の代表例として、「fastText」という仕組みがあります。これは、あの有名な交流サイトを作った会社の中の、人工知能を研究する部署が開発しました。この仕組を使うと、単語の意味や単語同士の関係、そして文章全体の仕分けを速やかに行うことができます。 単語を扱うための工夫として、「単語の分散表現」という技術が使われています。これは、単語を数字の列で表すことで、コンピュータが単語の意味や関係を理解できるようにする技術です。例えば、「王様」と「男性」は近い数字の列で、「王様」と「テーブル」は遠い数字の列で表されるといった具合です。 文章を仕分ける際には、「文章分類」という技術が用いられます。これは、与えられた文章をあらかじめ用意された種類に分類する技術です。例えば、「スポーツ」や「経済」、「料理」といった種類に文章を自動的に分類します。fastTextはこれらの処理を従来の方法よりもずっと速く行えるため、たくさんの文章データに対しても効率的に処理できます。インターネット上にある膨大な量の文章を分類するといった場面で力を発揮します。 さらに、fastTextは単語を構成する文字の一つ一つにも注目しています。そのため、初めて見る単語やあまり使われない単語が出てきても、ある程度の精度で意味を推測し、文章を正しく分類できます。これは、単語を細かく分解するのが難しい言語にとって、特に役立ちます。例えば日本語のように、様々な活用形を持つ単語が多い言語では、この機能が威力を発揮するのです。