単語埋め込み:言葉の意味をベクトルで表現
言葉は、私たちが考えや気持ちを伝えるための大切な道具です。コンピューターに言葉を理解させるためには、言葉をコンピューターが扱える形に変換する必要があります。そこで登場するのが「言葉のベクトル表現」です。
従来、コンピューターは言葉を記号として扱っていました。「りんご」という文字列と「みかん」という文字列は、コンピューターにとっては全く別のものとして認識されていました。たとえどちらも果物であるとしても、記号表現ではこの関連性を示すことができなかったのです。
言葉のベクトル表現は、この問題を解決する方法の一つです。それぞれの言葉を、複数の数字の組み合わせでできたベクトルとして表現します。このベクトルは、言葉の意味を反映するように配置されます。例えば、「りんご」と「みかん」はどちらも果物なので、ベクトル空間上で互いに近い位置に配置されます。一方、「りんご」と「自動車」は全く異なるものなので、ベクトル空間上で遠い位置に配置されます。
このように、言葉をベクトルで表現することで、言葉の意味の近さを数字で捉えることができるようになります。「王様」から「男」を引いて「女王」を足すと、「女」に近いベクトルが得られるといった計算も可能になります。これは、言葉の意味をある種の計算で表現できることを示しています。
言葉のベクトル表現は、様々な場面で役立ちます。文章の自動分類や機械翻訳、文章の類似度判定など、多くの応用が考えられます。言葉の意味をコンピューターが理解できる形にすることで、より高度な言葉の処理が可能になるのです。