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深層学習

量子化:モデルを軽くする技術

機械学習の世界では、モデルが大きくなればなるほど、より多くの計算資源が必要になります。高性能な計算機が必要になるだけでなく、学習や推論にかかる時間も長くなります。そこで、モデルのサイズを小さく軽くする技術である量子化が注目されています。 量子化とは、モデル内部で使われている数値の表現方法を変えることで、必要な記憶容量を減らす技術です。例えば、ある数値を小数点以下4桁まで細かく記録していたとします。量子化では、この数値を小数点以下2桁までに丸めるなど、表現の精度を意図的に落とします。写真に例えると、高画質の写真を少し画質を落として保存するようなものです。元の情報と全く同じではないものの、見た目に大きな違いはなく、ファイルサイズは小さくなります。 量子化には様々な方法があり、大きく分けて2つの種類があります。一つは、学習済みのモデルに対して適用する手法です。この手法は、既に学習を終えたモデルに後から量子化を適用するため、手軽に利用できるという利点があります。もう一つは、学習の過程で最初から量子化を組み込む手法です。こちらは、モデルの精度を高く保ちながら量子化を行うことができるという利点があります。 量子化によってモデルの表現能力は少し低下する可能性がありますが、多くの場合、その影響はわずかです。むしろ、モデルのサイズが小さくなることで、計算機の記憶容量を節約できる、処理速度が向上するといった利点の方が大きい場合が多いです。特に、スマートフォンや家電製品のような限られた計算資源しかない環境では、量子化は非常に有効な技術と言えます。そのため、近年では、様々な機械学習の場面で量子化が活用されています。