事前学習

記事数:(3)

言語モデル

指示調整:AI学習の新手法

指示調整とは、人工知能モデルに様々な指示を与え、その指示通りに動作するように訓練する手法です。従来の人工知能の学習方法は、大量のデータを使って特定の作業をできるように訓練していました。例えば、写真を見て何が写っているかを判断する人工知能を作るには、たくさんの写真とその写真に何が写っているかの説明を用意し、それを使って人工知能を訓練していました。 この方法では、新しい作業を覚えさせるには、その作業に合わせた新しいデータを使って再び訓練する必要がありました。例えば、日本語を英語に翻訳する人工知能を訓練した後、今度は英語をフランス語に翻訳させたい場合、英語とフランス語の組み合わせのデータを用意し、最初から訓練し直す必要があったのです。 指示調整はこの問題を解決する方法です。指示調整では、様々な作業に対する指示と、その指示に対する正しい答えの組み合わせを用意し、それを使って人工知能を訓練します。例えば、「この写真に何が写っていますか?」という指示に対して「犬」と答えたり、「日本語を英語に翻訳してください。『こんにちは』」という指示に対して「Hello」と答えたりするデータを学習させます。 このように様々な指示と答えを学習させることで、人工知能は指示の内容に応じて様々な作業をこなせるようになります。写真の内容を説明するだけでなく、文章の作成や翻訳など、まるで人間に指示を出すように、人工知能を自在に操ることが可能になるのです。指示の内容を変えるだけで、様々な作業に対応できる柔軟性を人工知能に持たせることができる点が、指示調整の大きな特徴と言えるでしょう。
言語モデル

事前学習:巨大言語モデルの土台

近年、言葉を操る人工知能が驚くほどの進化を見せています。この人工知能の中核を担っているのが、巨大言語モデルと呼ばれる技術です。まるで人が言葉を覚えるように、このモデルも多くの文章を読み込んで学習していきます。この学習過程は、事前学習と呼ばれ、人工知能が様々な仕事をこなせるようになるための土台作りにあたります。 人間が言葉を学ぶ際には、まず単語の意味や文の作り方といった基本を学びます。同じように、巨大言語モデルも膨大な量の文章データを読み込み、言葉の使い方や文の構成などを学び取っていきます。この事前学習では、特定の作業を教えるのではなく、言語に関する一般的な知識を幅広く吸収させることが重要です。まるでスポンジが水を吸うように、あらゆる種類の文章から知識を吸収することで、言語の構造や意味を理解していくのです。 この事前学習は、非常に時間と計算資源を必要とする大規模な作業です。しかし、この段階でしっかりと言語の基礎を学ぶことで、後の段階で様々な作業に対応できる柔軟性が生まれます。例えるなら、土台がしっかりとした建物は、どんな天候にも耐えられるのと同じです。事前学習によって築かれた強固な言語理解は、巨大言語モデルが様々なタスクをこなすための、なくてはならない基盤となっているのです。この事前学習という土台があるからこそ、質問への回答や文章の作成、翻訳など、多様な作業をこなせるようになるのです。まさに、巨大言語モデルの驚異的な能力の源泉と言えるでしょう。
機械学習

ラベル不要で賢くなるAI:自己教師あり学習

近頃、人工知能(AI)の進歩には目を見張るものがあり、暮らしの様々な場面で活用されています。買い物をする時、道を調べる時、音楽を聴く時、AIは私たちのすぐそばで活躍しています。このAIの学習には、膨大な量のデータが必要となります。AIは人間のように、最初から「これは猫」「これは犬」と見分けることはできません。たくさんの写真を見て、それぞれに「猫」「犬」といったラベルが付けられたデータから、猫の特徴や犬の特徴を学んでいくのです。 これまで、このラベル付けは人間の手作業で行われてきました。一枚一枚の写真に、何が写っているのかを丁寧に記録していく作業は、気の遠くなるような手間がかかります。AIをより賢く、より複雑な作業をこなせるようにするためには、さらに多くのデータが必要になります。しかし、このラベル付け作業の負担が、AI開発の大きな壁となっていました。 そこで注目されているのが、「自己教師あり学習」と呼ばれる画期的な技術です。この技術は、ラベルの付いていないデータを使って、AIが自ら学習することを可能にします。まるで、人間の子どもが、周りの世界を自由に観察し、様々なことを学んでいくように、AIもラベルなしのデータから、世の中の様々な規則性や特徴を自ら見つけ出していくのです。 従来の学習方法では、教師となる人間が用意した正解ラベルをもとに学習を進めていましたが、自己教師あり学習では、AI自身がデータの中から特徴やパターンを見つけ出し、それをもとに学習を進めます。例えば、一枚の写真の一部を隠して、隠された部分を予測させるといった方法があります。AIは、隠されていない部分の情報から、隠された部分には何があるべきかを推測し、学習を進めていきます。このように、ラベル付けの手間を省きながら、AIは自ら学習していくことができるのです。 自己教師あり学習は、AI開発におけるラベル付け作業の負担を大幅に軽くするだけでなく、AIの学習効率を向上させる可能性も秘めています。この技術の進歩により、より高度なAIが開発され、私たちの生活はさらに便利で豊かなものになることが期待されています。