並列処理

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ハードウエア

密結合マルチプロセッサで処理高速化

複数の処理装置を使った仕組みで、作業の効率を上げる方法について説明します。以前は、計算を行う装置が一つしかありませんでした。そのため、複雑な計算や大量のデータを扱う場合、処理が終わるまでに長い時間がかかっていました。一つの装置に負担が集中し、全体の処理速度が遅くなることもありました。このような問題を解決するために、複数の処理装置を同時に使う方法が考えられました。 密結合マルチプロセッサと呼ばれるこの仕組みでは、複数の処理装置が一つの記憶装置を共有し、一つの制御システムによって管理されます。複数の処理装置を使うことで、作業を分担し、同時に処理を進めることができます。例えば、一つの装置が計算の一部を行い、別の装置が別の部分を同時に計算することで、全体の処理速度を上げることができます。これは、料理を複数人で分担して作る様子に似ています。一人で作ると時間がかかる料理も、複数人で分担すれば早く完成します。 この仕組みを使うことで、たくさんの計算やデータ処理が必要な場合でも、高速でスムーズに作業を進めることができます。例えば、天気予報や科学技術計算など、膨大な量のデータを処理する必要がある場面で威力を発揮します。また、複数の利用者が同時にシステムを使う場合でも、それぞれの処理を効率良く分担できるため、快適な操作環境を提供できます。これにより、処理速度の向上だけでなく、システム全体の安定性も向上させることが期待できます。まるで、複数の窓口がある郵便局のように、多くの人が同時にサービスを受けられるため、待ち時間が短縮され、スムーズなサービス提供が可能になります。
アルゴリズム

パイプライン制御で処理を高速化

計算機の中枢である処理装置は、様々な命令を次々と実行することで仕事をこなします。その命令処理のやり方には様々な工夫があり、パイプライン制御もその一つです。パイプライン制御とは、複数の命令をまるで流れ作業のように、同時並行で処理する技術のことを指します。 例として、工場の組み立てラインを想像してみましょう。製品が完成するまでには、部品の取り付け、塗装、検査など、様々な工程が必要です。もし、一つの工程が完了するまで次の工程に進めない、昔ながらのやり方だとどうなるでしょうか。部品の取り付けが終わるまで塗装工程は待機し、塗装が終わるまで検査工程も待機しなければなりません。各工程は前の工程が終わるまで手持ち無沙汰になってしまうのです。 パイプライン制御では、この待ち時間を有効活用します。各工程を同時並行で進める工夫を取り入れるのです。部品の取り付けが終わった製品はすぐに塗装工程に進み、それと同時に、別の製品の部品取り付けを行うことができます。まるで、流れ作業のように、各工程が途切れることなく稼働し続けるのです。 このように、複数の命令を同時に処理することで、全体の処理時間を大幅に短縮することが可能になります。一つの命令を処理するのにかかる時間は変わらなくても、複数の命令を同時進行で処理することで、全体としての処理能力は向上するのです。これは、計算機の性能向上に大きく貢献しており、現在の高速な計算機を実現する上で欠かせない技術となっています。パイプライン制御によって、私たちは快適に計算機を利用できていると言えるでしょう。
アルゴリズム

デッドロック:プログラムの行き詰まり

複数の仕事が、同時には使えないものを取り合ってしまうことで、どれも仕事が進まなくなってしまうことがあります。これを行き詰まりといいます。ちょうど、交差点で車が同時に進入して、お互いに譲らず、身動きが取れなくなってしまう状況に似ています。 コンピュータの世界では、この状態をデッドロックと呼びます。複数のプログラムが、それぞれ必要な資源を握りしめたまま、他のプログラムが持っている資源を待ってしまうことで起こります。例えば、プログラムAは資源Xを使っている最中に資源Yを必要とし、同時にプログラムBは資源Yを使っている最中に資源Xを必要とする場合、どちらも資源を待ち続け、永遠に仕事が終わらなくなります。 このデッドロックは、システム全体を止めてしまう深刻な問題を引き起こす可能性があります。例えば、たくさんの人が同時に同じ銀行口座にアクセスして預金を引き出そうとした際に、デッドロックが発生すると、誰もお金を引き出せなくなってしまいます。また、システム全体が遅くなる原因にもなります。 特に、たくさんのプログラムが同じデータを使おうとする場合、デッドロックの危険性が高まります。例えば、多くのプログラムが同時にデータベースの情報を書き換えようとしたり、同じファイルを開こうとしたりすると、デッドロックが起こりやすくなります。 デッドロックは、一度発生すると、外から手助けをしない限り解消できません。そのため、デッドロックが起きないようにするための対策がとても大切です。例えば、資源を使う順番を決めておく、資源を使える時間を制限する、など様々な方法があります。これらの方法を適切に組み合わせることで、システムの安定稼働を実現できます。
ハードウエア

スーパスカラで処理速度向上

スーパスカラとは、計算機の処理能力を高める技術のことです。 昔の計算機は、命令を一つずつ順番にこなしていました。料理で例えるなら、一つの鍋で一つの料理を作るようなものです。しかし、それでは時間がかかってしまいます。そこで考え出されたのが、複数の命令を同時に処理するスーパスカラという方法です。これは、複数の鍋を使って同時に何品もの料理を作るようなものです。 スーパスカラを実現するためには、計算機の中に複数の演算器が必要です。演算器とは、計算を行うための部品のことです。複数の演算器があれば、それぞれに異なる命令を割り当てて、同時に処理を進めることができます。例えば、一つの演算器で足し算を、別の演算器で掛け算を同時に行うことができます。 この技術は、高性能が求められる機器で特に重要です。例えば、動画を滑らかに再生するためには、大量の計算を短い時間で行う必要があります。また、複雑なゲームを動かす場合も、高速な処理能力が不可欠です。さらに、膨大な量の情報を扱うデータセンターなどでも、スーパスカラは欠かせない技術となっています。 スーパスカラは、処理速度の向上だけでなく、省電力化にも貢献しています。複数の命令をまとめて処理することで、計算機全体の稼働時間を短縮し、消費電力を抑えることができるからです。 このように、スーパスカラは私たちの生活を支える様々な機器の中で活躍し、より快適で便利なデジタル社会を実現する上で重要な役割を担っています。
アルゴリズム

プログラムの再入可能性:複数タスクでの並行処理

プログラムを作る上で、複数の仕事が同時に舞い込んできても、それぞれの仕事をきちんと片付けられるようにすることが大切です。これを『再入可能性』と言います。再入可能性とは、一つのプログラムが複数の仕事から同時に呼ばれても、それぞれの仕事の内容をきちんと区別して、正しい順番で実行できる性質のことです。 例として、みんなで使う計算機を想像してみましょう。この計算機は、同時に複数の人が違う計算をしても、それぞれの計算結果が混ざることなく、正しく答えを出してくれる必要があります。もし、誰かが計算している途中で別の人が計算を始めたら、前の人の計算結果が変わってしまったり、間違った答えが出てしまったりしたら大変です。これが、プログラムにおける再入可能性の重要性を示す例です。 再入可能なプログラムは、それぞれの仕事に専用の場所を用意し、そこで仕事を進めていきます。他の仕事の情報が入り込んでくる心配がないので、それぞれの仕事は独立して行うことができます。これは、まるで計算機の中に小さな計算機がいくつも入っていて、それぞれが別の計算をしているようなイメージです。 特に、複数の仕事が同時に行われるような環境では、再入可能性は非常に重要です。例えば、たくさんの人が同時に同じサービスを使うような場合、プログラムが再入可能でなければ、ある人の操作が別の人に影響を与えてしまうかもしれません。このような混乱を防ぎ、システムが安定して正しく動くようにするためには、プログラムが再入可能であることが不可欠です。 つまり、再入可能性とは、プログラムが複数の仕事を抱えても、それぞれの仕事をきちんとこなし、混乱を起こさないための大切な性質なのです。
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分散処理で実現するグリッドコンピューティング

たくさんの計算機を網の目ようにつないで、まるで一つの大きな計算機のように扱う技術のことを、格子状計算処理といいます。この技術を使うと、複雑で規模の大きな計算を効率よく行うことができます。例えるなら、小さなアリがたくさん集まって、大きな食べ物を運ぶ様子に似ています。一匹一匹のアリは小さな力しか持っていませんが、力を合わせれば大きな成果を生み出すことができます。格子状計算処理も同じで、個々の計算機はそれほど高性能である必要はありません。家庭で使われているパソコンや、仕事で使われている作業用の計算機など、色々な種類の計算機を使うことができます。これらの計算機が網の目を通じてつながり、協力して働くことで、非常に高性能な計算機にも匹敵するほどの処理能力を発揮することができるのです。 この技術は、従来の一台の計算機では処理しきれなかった複雑な計算を可能にします。例えば、天気予報の計算は、大気の状態を細かく計算する必要があるため、非常に複雑で時間のかかる計算です。格子状計算処理を使うことで、たくさんの計算機で分担して計算を行い、より正確な天気予報を短い時間で出すことが可能になります。また、医療の分野でも、新薬の開発などに役立っています。新薬の候補となる物質の効果を確かめるためには、膨大な数の分子をシミュレーションする必要があります。格子状計算処理を使うことで、このシミュレーションを高速に行うことができ、新薬の開発期間を短縮することにつながります。このように、格子状計算処理は、様々な分野で活用され、私たちの生活をより豊かにするために役立っています。
アルゴリズム

並列処理の限界?アムダールの法則を解説

計算機の処理を速くするために、複数の処理装置で同時に作業を行う方法を並列処理と言います。アムダールの法則とは、この並列処理を施した際に、処理全体がどれくらい速くなるかを予測する法則です。理想的には、処理装置の数を増やせば増やすほど作業は速く終わるように思えます。しかし、プログラムの中には、どうしても順番に処理しなければならない部分があります。例えば、前の作業の結果を使って次の作業を行う場合などです。このような部分は、いくら処理装置を増やしても速くなりません。アムダールの法則は、この並列処理できない部分が全体の処理速度にどう影響するかを示してくれます。 アムダールの法則を使うと、並列処理できる部分の割合と処理装置の数から、全体の処理速度の向上率を計算できます。例えば、プログラム全体のうち90%が並列処理でき、10%が並列処理できないとします。このプログラムを10個の処理装置で実行した場合、どれくらい速くなるでしょうか。アムダールの法則によれば、並列処理できない部分が全体の速度向上を制限するため、処理装置をいくら増やしても、10倍以上には速くなりません。具体的には、計算によって向上率の上限が分かります。 アムダールの法則は、並列処理による性能向上の効果をあらかじめ予測し、最適な処理装置の数などを検討する際に役立ちます。並列処理は、近年の計算機システムにおいて欠かせない技術です。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、アムダールの法則を理解し、プログラムのどの部分が並列処理できて、どの部分が並列処理できないかをきちんと見極める必要があります。並列処理できない部分をいかに減らせるかが、処理全体を速くするための重要な鍵となります。
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VLIW:並列処理で性能向上

超長命令語(VLIW)は、計算機の処理速度を高めるための大切な技術です。従来の計算機では、命令を一つずつ順番に実行していました。これは、料理人が一つの料理を完成させてから次の料理に取り掛かるようなものです。VLIWでは、複数の命令をまとめて一つの命令のように扱い、同時に実行します。まるで複数の料理人がそれぞれ別の料理を同時進行で作るようなものです。これにより、処理能力が飛躍的に向上し、より速い計算が可能になります。 VLIWは、特に画像処理や信号処理など、大量の情報を速く処理する必要のある分野で活躍しています。例えば、動画を滑らかに表示したり、音をクリアに再生したりするために、VLIWは欠かせない存在です。現代の計算機では、処理速度の向上が常に求められており、VLIWはそのための重要な技術の一つと言えるでしょう。複数の命令を同時に実行することで、限られた時間内でより多くの処理を行うことができます。この技術は、これからの計算機技術の発展にも大きく貢献していくと考えられます。 例えば、最新の携帯電話やゲーム機など、高性能が求められる機器には、VLIW技術が活用されているものも少なくありません。VLIWは、私たちの暮らしをより豊かに、より便利にするための技術として、ますます重要性を増していくでしょう。 さらに、VLIWは省電力化にも貢献します。従来の設計では、命令を一つずつ処理するために多くの電力を消費していました。しかし、VLIWでは複数の命令を同時に処理するため、使う電力を抑えることができます。これは、電池で動く携帯機器にとって大きな利点となります。また、VLIWは、将来のスーパーコンピュータなど、より高度な計算能力が求められる分野での活用も期待されています。このように、VLIWは、性能向上だけでなく、省電力化にも貢献する、現代社会にとって非常に重要な技術です。今後、VLIW技術はさらに進化し、私たちの暮らしをより一層便利にしてくれることでしょう。
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GPU:画像処理を超える万能選手

画面に映るものすべて、写真や動画、文字、そしてゲームの美しい景色、これらを作り出す縁の下の力持ちが、画像処理装置、略して画像処理機です。画像処理機は、パソコンや携帯電話、ゲーム機など、画面を持つほとんどの機械に組み込まれています。 私たちが見ている画面は、小さな点の集まりでできています。一つ一つの点の色や明るさを、画像処理機が計算して作り出しているのです。画像処理機がなければ、画面には何も映りません。例えば、ゲームで車が動いたり、爆発が起こったりする様子は、画像処理機が複雑な計算を高速で行うことで実現しています。まるで魔法使いのように、一瞬で画面上の景色を作り変えているのです。 最近では、画面のきれいさがどんどん増しています。昔はカクカクしていた映像も、今はとても滑らかに動くようになりました。これは、画像処理機の性能が飛躍的に向上したおかげです。より多くの点を、より速く計算できるようになったことで、現実世界と見分けがつかないほどリアルな映像も作れるようになりました。 画像処理機は、もはや画面表示だけに使われるものではありません。膨大な量の計算を高速でこなせる能力を買われ、科学技術計算や人工知能の研究など、様々な分野で活躍しています。まるで、縁の下の力持ちから、表舞台の主役へと躍り出たようです。今後ますます発展していく画像処理機は、私たちの生活をさらに豊かにしてくれるでしょう。