ワンホットベクトル

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機械学習

ワンホットベクトル入門

あるデータの種類を表すのに役立つ手法として、ワンホットベクトルというものがあります。この手法では、0と1の数字だけを使って、データの種類を区別します。具体的には、複数の数字を並べたものをベクトルと呼び、そのベクトルの中でたった一つの数字だけが1で、残りはすべて0となっています。 例えば、りんご、みかん、バナナという三種類の果物を考えてみましょう。この三種類の果物をワンホットベクトルで表す場合、それぞれ異なる位置に1を配置することで区別します。りんごを[1, 0, 0]、みかんを[0, 1, 0]、バナナを[0, 0, 1]と表すわけです。このように、どの種類の果物なのかは、1がどの位置にあるかによって決まります。一番最初の数字が1ならりんご、二番目の数字が1ならみかん、三番目の数字が1ならバナナ、という具合です。 このワンホットベクトルの大きな特徴は、それぞれのベクトルが互いに独立しているという点です。つまり、りんごのベクトルが[1, 0, 0]だからといって、みかんのベクトルが[0, 1, 0]になる、といったような関係は一切ありません。りんご、みかん、バナナはそれぞれ独立した存在として扱われ、それぞれに固有のワンホットベクトルが割り当てられます。これは、りんごがみかんと似ているとか、バナナがりんごに似ているといったような、果物同士の類似性とは全く関係なく表現されるということです。それぞれの果物は、他の果物とは無関係に、独自のベクトルで表されます。このように、ワンホットベクトルを使うことで、データの種類を明確に区別することができ、データの分析などに役立ちます。
言語モデル

局所表現:言葉のベクトル化

計算機は数字を扱うのが得意ですが、人が使う言葉のような記号はそのままでは理解できません。計算機が言葉を理解し、処理するためには、言葉を計算機が扱える数字に変換する必要があります。この変換方法の一つに、局所表現と呼ばれる方法があります。 局所表現とは、言葉をベクトルと呼ばれる数字の列に変換する手法です。ベクトルとは、複数の数字を並べたもので、例えば、ある言葉が「3,5,1」というベクトルで表現されるとします。このベクトルは、計算機の中でその言葉の意味や特徴を表す役割を果たします。これは、大きな辞書の中の言葉一つ一つに、通し番号を付けるようなものです。それぞれの言葉には、固有の番号、つまりベクトルが割り当てられます。例えば、「りんご」という単語には「1」が、「みかん」には「2」が、「バナナ」には「3」といったように、それぞれ異なる番号が割り当てられます。 この方法だと、それぞれの言葉は独立した存在として扱われ、言葉同士の関係性までは表現できません。例えば、「りんご」と「みかん」はどちらも果物ですが、それぞれの番号である「1」と「2」の間には、そういった意味的な繋がりは一切ありません。まるで、辞書に載っている言葉が、ただ順番に番号を振られているだけで、言葉の意味や関連性については何も語られていないようなものです。局所表現は、言葉の表現方法としては単純ですが、計算機で言葉を扱うための基礎となる重要な手法です。計算機は、このベクトルを用いることで、言葉を数字として処理し、様々な計算を行うことができます。例えば、文章の中に特定の言葉が何回出てきたかを数えたり、似ている言葉を探し出したりすることが可能になります。また、この技術は、機械翻訳や文章要約といった、より高度な自然言語処理の基盤にもなっています。
機械学習

ワンホットベクトル入門

向きと大きさという二つの情報を持つ量を、ベクトルと言います。これは、数学や物理学だけでなく、情報処理の分野でも重要な考えです。 例えば、日常生活で物の位置を説明する時を考えてみましょう。「ここから3メートル先」だけでは、どの方向にあるのか分かりません。そこで「ここから北へ3メートル先」のように、方向と距離の両方を伝える必要があります。この「北へ3メートル」という情報が、ベクトルにあたります。距離が大きさ、北という方向が向きの情報にあたります。 物理学では、物の動きを説明する際にベクトルが役立ちます。例えば、ボールを投げた時の速度は、速さと方向の両方で決まります。「秒速5メートル」だけでは、どの向きに飛んでいるのか分かりません。「秒速5メートルで斜め上方向」のように表現することで、ボールの動きを正確に捉えることができます。この「秒速5メートルで斜め上方向」がベクトルの情報です。 情報処理の分野では、複数の数値をまとめてベクトルとして扱います。例えば、商品の売上を扱う場合、様々な商品の売上個数をそれぞれ別々に記録するよりも、一つのベクトルとしてまとめて扱う方が便利です。それぞれの商品の売上個数をベクトルの各要素として表現することで、全体の売上状況を一目で把握したり、商品間の関係性を分析したりすることができます。 また、機械学習でもベクトルは重要な役割を果たします。例えば、画像認識では、画像は色のついた小さな点の集まりで、それぞれの点は数値で表現されます。これらの数値をまとめてベクトルとして扱うことで、機械は画像の特徴を捉え、画像に何が写っているのかを判断することができます。このように、ベクトルは様々な分野で活用され、複雑な情報を分かりやすく表現する上で重要な役割を担っています。
言語モデル

局所表現:言葉のベクトル化

計算機は数字を扱うのが得意ですが、言葉のような記号をそのまま理解することはできません。そこで、言葉を計算機が理解できる数字に変換する必要があります。この数字による表現方法の一つに、局所表現というものがあります。局所表現とは、言葉をベクトルと呼ばれる数字の列に変換する手法です。ベクトルとは、複数の数字をまとめたもので、例えば、身長、体重、年齢といった複数の情報を一つのまとまりとして扱うことができます。 局所表現では、それぞれの言葉に固有の番号を割り当て、その番号に対応する場所に1を、それ以外の場所には0を配置したベクトルを作成します。これを「one-hotベクトル」と呼びます。例えば、「りんご」「みかん」「ぶどう」の三つの言葉を扱う場合、「りんご」には1番、「みかん」には2番、「ぶどう」には3番を割り当てます。すると、「りんご」は「1、0、0」、「みかん」は「0、1、0」、「ぶどう」は「0、0、1」というベクトルで表現されます。このように、それぞれの言葉は他の言葉とは独立したベクトルで表現されます。これが局所表現の特徴です。 しかし、局所表現には言葉の意味や関係性を捉えられないという欠点があります。「りんご」と「みかん」はどちらも果物ですが、それぞれのベクトルを見ると、全く関連性がないように見えます。また、扱う言葉の種類が増えると、ベクトルの次元数も増え、計算機の負担が大きくなります。そこで、これらの欠点を補うために、分散表現と呼ばれる別の表現方法が開発されました。分散表現では、言葉の意味や関係性を捉えることができ、より少ない次元数で表現することができます。これは、局所表現とは異なり、それぞれの言葉が複数の要素を組み合わせて表現されるためです。例えば、「りんご」は「甘さ」「赤色」「果物」といった要素の組み合わせで表現され、「みかん」も同様に「甘さ」「オレンジ色」「果物」といった要素の組み合わせで表現されるかもしれません。このように、共通の要素を持つ言葉はベクトル空間上で近い位置に配置されるため、言葉の意味や関係性を捉えることができます。 つまり、局所表現と分散表現は、それぞれ言葉の表現方法として異なる特徴を持っています。どちらの方法が適しているかは、扱うタスクやデータの性質によって異なります。