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機械学習

協調フィルタリング:好みに合う商品を見つける

協調とは、複数のものが力を合わせることを意味します。 ちょうど、音楽の演奏で複数の楽器が調和して美しいメロディーを奏でるように、多くの人の知恵を集めて、一人ひとりに最適なものを選び出す技術、それが協調ろ過です。 たとえば、町の小さな本屋さんを想像してみてください。店主は長年、お客さんの好みを覚えていて、新しい本が入荷すると「○○さんはきっとこの本が好きだろう」とすぐに分かります。協調ろ過もこれと同じように、たくさんの人の好みを集めて分析し、あなたにぴったりのものを推薦してくれます。インターネット上の大きなお店では、店主のように一人ひとりの好みを覚えるのは難しいですが、この技術を使えば、まるで顔なじみの店員さんがいるかのように、あなたに合った商品を見つけることができます。 協調ろ過には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、あなたと同じような趣味嗜好の人々が買ったものを推薦する方法です。たとえば、あなたが推理小説をよく読む人だとします。同じように推理小説をよく読む人たちが他にどんな本を読んでいるかを知ることができれば、あなたも気に入る可能性が高いでしょう。もう一つは、あなたが過去に買ったものや見たものから、あなたの好みを推測して、似たようなものを推薦する方法です。たとえば、あなたが赤い傘を買ったとします。すると、同じような色や形の傘、あるいは雨の日に役立つレインコートなどを推薦してくれるでしょう。 この技術は、商品の推薦だけでなく、様々な場面で使われています。音楽配信サービスで好みの曲を見つける、動画配信サービスで面白い番組を見つける、あるいは友達を見つけるソーシャルネットワーキングサービスなど、私たちの生活の様々なところで活躍しています。まるで、たくさんの人の知恵が結集した、見えない案内人のように、私たちを最適な場所へと導いてくれるのです。
機械学習

探索と活用:バンディットアルゴリズム

近ごろはどこでも誰でも気軽に情報網に接続でき、日々あふれるほどの情報が行き交い、様々なものが役務として提供されています。このような状況の中で、会社は限られた財産をうまく使い、最大の利益を得る必要があります。そこで役立つのが、機械学習の一分野であるバンディット計算の方法です。この方法は、限られた知識から最も良い行動を学び、無駄なく成果を上げることを目指します。 バンディット計算の方法は、もともとカジノにある複数のスロットマシン(通称片腕の盗賊)から、最も儲かる台を見つけるという問題に由来します。どの台を何回引けば最も儲かるかを、試行錯誤しながら見つけていく必要があります。この試行錯誤の過程を、限られた機会の中で探索と活用のバランスを取りながら進めていくのが、バンディット計算の方法の核心です。探索とは、様々な行動を試して情報を得ること、活用とは、現在持っている情報に基づいて最も良いと思われる行動を選ぶことです。限られた試行回数の中で、これらのバランスをうまくとることで、最終的な成果、つまり報酬の合計を最大化することを目指します。 この方法は、インターネット広告の最適化、商品の推奨、臨床試験など、様々な分野で活用されています。例えば、インターネット広告では、どの広告をどの利用者に表示すれば最もクリックされるかを、この方法を用いて学習することができます。また、商品の推奨では、利用者の過去の購買履歴や閲覧履歴に基づいて、最も購入されそうな商品を推奨するために利用できます。 このように、バンディット計算の方法は、限られた情報から最適な行動を学習し、効率的に成果を上げるための強力な手段となります。今後、情報網や人工知能技術の更なる発展に伴い、その応用範囲はますます広がっていくと考えられます。
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おすすめ機能の壁:コールドスタート問題

皆さんは、インターネットで買い物をしたり、動画配信の番組を見たりする時に、「おすすめ」と表示される商品や作品をよく見かけると思います。これは、過去の利用履歴や他の利用者の行動から、一人ひとりの好みに合ったものを予測して提示する技術のおかげです。まるで、自分の好みを知り尽くした店員さんが、自分にぴったりの商品を選んでくれるかのようです。 しかし、この便利な技術にも、苦手な部分があります。それが「寒い日にエンジンがかかりにくい」ことを例えた「コールドスタート問題」です。この問題は、データが不足している状態では、適切なおすすめをするのが難しくなるというものです。 例えば、新しい商品やサービスの場合を考えてみましょう。これらは発売されたばかりなので、まだ利用した人のデータがほとんどありません。そのため、誰が気に入りそうなのか、どんな人にすすめたら良いのかを判断するのが難しくなります。まるで、初めてお店に並んだ商品を、誰が買ってくれるか予想するのが難しいのと同じです。 また、新規の利用者についても同様の問題が発生します。新しくサービスを使い始めたばかりの人については、まだどんなものが好きか、どんなものに興味があるのかという情報が不足しています。そのため、その人に合ったおすすめをするのが困難になります。初めてお店に来たお客さんの好みが分からず、どんな商品をすすめたら良いか迷ってしまうのと似ています。 このように、「コールドスタート問題」は、過去のデータに基づいておすすめを行う仕組みであるがゆえに、データがない状態ではうまく機能しないという、いわば宿命のような課題と言えるでしょう。この問題を解決するために、様々な工夫が凝らされています。例えば、利用者に簡単な質問に答えてもらうことで好みを把握したり、似たような特徴を持つ既存の商品や利用者のデータから推測したりする方法などが研究されています。