訓練誤差:モデル学習の落とし穴
機械学習では、まるで人間の学習と同じように、たくさんの例題を使って計算機に学習させます。この学習に使われる例題の集まりを訓練データと言います。訓練データを使って学習を進める中で、計算機がどのくらいきちんと理解できているかを測る一つの方法が、訓練誤差です。これは、訓練データの正解と、計算機が予測した値との違いを数値で表したものです。
例として、たくさんの動物の画像と、それぞれの画像がどの動物なのかを示す正解データを使って、計算機に画像認識を学習させるとしましょう。この学習の過程で、計算機はそれぞれの画像を見て、それがどの動物であるかを予測します。そして、その予測結果と、実際の正解データとを比較します。もし予測が正解と一致していれば、計算機はその画像の内容を正しく理解できていると考えられます。逆に、予測が外れていれば、計算機はまだ学習が足りていない、もしくは学習方法に問題があると考えられます。
この予測の正しさ、もしくは誤りの大きさを示すのが訓練誤差です。訓練誤差の値が小さければ小さいほど、計算機は訓練データをよく理解し、正確な予測ができていることを示します。例えば、猫の画像を学習させているとします。訓練誤差が小さいということは、計算機が猫の画像を正しく猫として認識できていることを示します。逆に、訓練誤差が大きい場合は、計算機が猫の画像を犬やその他の動物と誤認識している可能性が高いことを意味します。
訓練誤差は、学習の進み具合を確かめるための重要な指標です。訓練誤差が小さくなるように学習を進めることで、計算機は訓練データの特徴をより深く理解し、未知のデータに対しても精度の高い予測を行うことができるようになります。ただし、訓練誤差だけに注目しすぎると、訓練データに過剰に適応してしまい、新しいデータへの対応力が弱まるという問題も起こることがあります。これは過学習と呼ばれ、注意が必要です。