高速化の鍵!フルアソシエイティブ方式
計算機の処理を速くするためには、演算装置と主記憶装置の間の速度の差を小さくすることが重要です。この速度差は、計算機の性能を大きく左右するボトルネックとなっています。主記憶装置は情報を保存する場所ですが、演算装置に比べると動作が遅いという問題があります。そこで、この問題を解決するために、演算装置と主記憶装置の間に、高速な小さな記憶装置であるキャッシュメモリを配置します。キャッシュメモリは主記憶装置よりも容量は小さいものの、アクセス速度が非常に速いため、演算装置が必要とする情報を一時的に保存しておくことで、処理速度を向上させることができます。
キャッシュメモリには様々な種類がありますが、その中で、情報の置き場所を自由に決められる方式をフルアソシエイティブ方式と呼びます。この方式では、情報はキャッシュメモリのどこにでも保存することができます。あたかも、広大な図書館にある本を、どの棚にも置けるようなものです。必要な情報を検索する際には、キャッシュメモリ全体を同時に探し、該当する情報を見つけ出します。このため、情報が見つかれば、非常に速く読み出すことが可能です。
しかし、キャッシュメモリ全体を同時に検索するということは、検索回路が複雑になり、コストも高くなるという欠点も持ち合わせています。さらに、検索回路が複雑になるため、キャッシュメモリの容量を大きくすることが難しいという問題もあります。まるで、図書館の本を全て同時に探すようなものですから、図書館が大きくなればなるほど、探すのが大変になるのと同じです。フルアソシエイティブ方式は、速度は速いものの、コストと容量の面で不利になります。そのため、小規模なキャッシュメモリや、速度が特に重要な場面で使用されることが多いです。他の方式と比較しながら、それぞれの長所と短所を理解することが大切です。