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TPU:機械学習を加速する

近年の機械学習の目覚ましい進歩は、それを支える計算処理能力の向上なしには考えられません。膨大な量の情報を扱い、複雑な手順で処理するには、従来の中央演算処理装置(CPU)では処理能力の限界が露呈してきました。CPUは汎用的な処理装置として設計されているため、機械学習のような特定の計算処理においては非効率的な側面があったのです。 そこで登場したのが、テンソル計算に特化した演算処理装置であるテンソルプロセッシングユニット(TPU)です。アメリカの検索大手であるGoogle社によって開発されたTPUは、機械学習モデルの学習や予測処理を格段に速く行うことができます。テンソルとは多次元配列のことで、機械学習ではデータや計算式を表現するために多用されます。TPUは、このテンソルの計算に最適化された構造を持つため、従来のCPUに比べて桁違いの処理能力を実現しているのです。 具体的には、TPUは多数の小さな演算装置を並列に動作させることで、大量の計算を同時に行うことができます。さらに、機械学習でよく使われる行列演算を効率的に実行するための専用回路を搭載しているため、処理速度が飛躍的に向上します。これにより、複雑な機械学習モデルの学習にかかる時間を大幅に短縮することが可能となり、より高度な人工知能の開発を促進しています。 TPUの登場は、機械学習分野に革命をもたらしました。従来、数週間から数ヶ月かかっていた学習処理が数時間で完了するようになり、研究開発のスピードが格段に向上しました。また、より大規模なデータセットを用いた学習が可能になったことで、機械学習モデルの精度も飛躍的に向上しています。今後もTPUのような専用演算処理装置の進化は続き、人工知能技術の発展をさらに加速させていくでしょう。
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エッジAIを加速するHailoの技術

端末側で高度な計算処理を可能にする技術、いわゆる「端末人工知能」分野をリードする企業「ハイロ」についてご紹介します。ハイロ社は、端末人工知能処理装置の設計開発において世界を牽引しています。 端末人工知能とは、情報を集めた場所で、その情報を処理する技術です。従来のように、情報を集めてから遠くの計算機に送って処理するのではなく、その場で処理を行うことで、即時処理を実現します。これにより、情報を送受信する際の時間的な遅れや通信にかかる費用を抑えることができます。 ハイロ社が開発した画期的な構造は、従来の処理装置と比べて、少ない電力でより高い処理能力を実現しています。高度な画像認識や深層学習といった複雑な処理も、限られた電力で実行できます。そのため、様々な機器への応用が期待されています。 例えば、自動運転車では、周囲の状況をリアルタイムで認識し、瞬時に判断することが求められます。ハイロ社の処理装置は、低電力で高性能であるため、自動運転技術の進化に大きく貢献すると期待されています。また、監視カメラやドローンなど、電源供給が限られる機器でも、高度な画像認識技術を用いることが可能になります。 さらに、工場の生産ラインでは、製品の品質検査などをリアルタイムで行うことで、不良品の発生を未然に防ぐことができます。ハイロ社の技術は、製造業における効率化や品質向上にも大きく貢献すると考えられています。このように、ハイロ社の端末人工知能処理装置は、様々な分野で革新をもたらす可能性を秘めています。今後、ますますの発展と応用が期待される技術と言えるでしょう。