ネットワーク

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クラウド

マルチホーミングで安定したネット接続

近頃、様々な企業活動においてインターネットへの接続は欠かせません。そのため、インターネット接続が少しでも途切れると、事業に大きな影響が出てしまう可能性があります。そのような事態を防ぐ安全対策の一つとして「複数回線接続」という方法があります。これは、複数の会社からインターネット回線を引いて、同時に複数の回線を使う技術のことです。 普段はメインとなる回線を使ってインターネットに接続しますが、その回線に何か問題が起きた場合は、自動的に予備の回線に切り替わる仕組みになっています。例えるなら、水道管が一つしかない場合、その水道管が壊れると水が出なくなってしまいますが、予備の水道管があれば、すぐにそちらに切り替えて水を使うことができます。複数回線接続もこれと同じで、メインのインターネット回線が繋がらなくなった場合でも、予備の回線に切り替えることで、インターネットを途切れさせずに使い続けることができます。 例えば、インターネットで商品を売るお店を考えてみましょう。もしインターネットに接続できなくなると、お客さんからの注文を受け付けたり、商品を発送したりすることができなくなり、大きな損害が出てしまうかもしれません。しかし、複数回線接続を導入しておけば、たとえメインの回線が繋がらなくなっても、予備の回線ですぐにインターネットに再接続できるため、お店は通常通り営業を続けることができます。このように、複数回線接続は、インターネットへの接続が途切れることによる損害を防ぎ、事業を安定して続けるために非常に有効な手段と言えるでしょう。
その他

ネットワークの嵐:ブロードキャストストーム

皆さんは、嵐という言葉を聞くと、どのような光景を思い浮かべるでしょうか。激しい雨風、荒れ狂う海、そして、あたり一面を破壊していく力。通信の世界にも、これと同じように、すべてを混乱に陥れる嵐が存在します。それが、放送嵐と呼ばれる現象です。 放送嵐は、ネットワーク機器が情報を伝える際に用いる、放送という仕組みが引き金となって発生します。放送とは、まるで拡声器のように、ネットワークにつながるすべての機器に一度に情報を伝える方法です。例えば、緊急の知らせを伝える際には、大変便利な手段と言えるでしょう。しかし、この便利な仕組みが、思わぬ落とし穴となることがあります。 ネットワーク機器の設定に誤りがあったり、機器同士の接続に問題があると、ある機器が送った情報が、まるで鏡に映った自分の姿が無限に続くように、ネットワークの中をぐるぐると回り続ける現象が発生することがあります。これが、放送嵐の正体です。一度発生してしまうと、制御できない情報が嵐のようにネットワーク全体に広がり、本来やり取りされるべき重要な情報が埋もれてしまうのです。 そうなると、ネットワーク全体が混乱し、通信が遅くなったり、全くできなくなったりしてしまいます。これは、まるで嵐によって交通網が麻痺してしまうのと似ています。放送嵐を防ぐためには、ネットワーク機器の設定を正しく行い、機器同士の接続に問題がないかを定期的に確認することが重要です。また、ネットワークの設計段階から、嵐の発生を防ぐ仕組みを組み込んでおくことも大切です。まるで、都市計画で洪水対策を施しておくように、適切な対策を講じることで、通信の世界における嵐の被害を最小限に抑えることができるのです。
その他

ブロードキャストアドレス徹底解説

放送宛先とは、繋がっている機器全体に一度に情報を送るための特別な宛先のことです。特定の機器を狙って送るのではなく、繋がっている機器全体を宛先として指定することで、一度の情報送信でたくさんの機器に情報を届けることができます。これは、繋がっている機器を見つけ出したり、システム全体にお知らせを送ったりなど、様々な場面で使われています。 例えるなら、街中で拡声器を使って情報を伝えるようなものです。特定の人にだけ伝えるのではなく、その場に居合わせた人みんなに声が届きます。同じように、放送宛先に送られた情報は、ネットワークに参加しているすべての機器が受け取ります。 この仕組みは、例えば、新しくネットワークに参加した機器が自分の場所を周囲に知らせる時などに役立ちます。新しく参加した機器は、自分の名前や提供するサービスなどを放送宛先に送ることで、他の機器に自分の存在を知らせます。また、システム全体に重要な情報を伝える際にも利用されます。例えば、システムの緊急停止や設定変更の通知など、すべての機器がすぐに知る必要がある情報を伝える際に、放送宛先を使うことで迅速に情報を共有できます。 放送宛先の具体的な形式は、ネットワークの大きさや種類によって異なっています。小さな家庭内ネットワークと大きな企業ネットワークでは、使われる宛先の形式が違います。しかし、どのような形式であっても、ネットワーク全体への一斉送信を可能にするという目的は同じです。適切な宛先形式を使うことで、無駄な情報送信を避け、ネットワークの効率を保つことが重要です。 このように、放送宛先はネットワーク全体の機器への一斉送信を実現する重要な仕組みであり、様々な場面で活用されています。
WEBサービス

フォワードプロキシで安全なネット接続

情報をやり取りする際に、仲介の役割を果たす仕組みがあります。これを『中継地点』と呼びます。インターネットの世界でこの役割を担うのが、フォワードプロキシと呼ばれるものです。 たとえば、あなたがパソコンで買い物サイトを見たいとします。ふつうは、パソコンから直接そのサイトへ情報を取りに行きます。しかし、フォワードプロキシを使うと、まずパソコンからの要求はプロキシと呼ばれる中継地点へ送られます。プロキシはあなたの代わりに、買い物サイトへ情報を取りに行ってくれます。そして、買い物サイトから情報を受け取ると、それをあなたのパソコンへ届けてくれます。 このように、あなたは直接買い物サイトとやり取りするのではなく、プロキシを介して間接的にやり取りすることになります。まるで、あなたがお店の人に欲しいものを頼むのではなく、代理人に頼んで代理人がお店から買ってきてくれるようなものです。 この仕組みには大きな利点があります。あなたが誰であるかという大切な個人情報は、買い物サイトには伝わりません。プロキシだけがあなたの代わりに買い物サイトとやり取りするので、あなたの情報は守られるのです。 家の住所や電話番号を直接お店に教えずに買い物ができるようなものなので、安心してインターネットを利用できます。これが、フォワードプロキシが中継地点として安全性を高める仕組みです。
その他

通信の切り替え:ハンドオーバーの仕組み

私たちは、携帯電話やスマートフォンを使う時、常に電波を通じて基地局と呼ばれる無線設備とつながっています。このつながりのおかげで、音声通話やデータ通信を行うことができます。しかし、もし私たちが移動中だとしたらどうでしょうか?一つの基地局の電波が届く範囲には限りがあるため、移動し続けると電波が弱くなり、通信が途切れてしまう可能性があります。 そこで登場するのが「ハンドオーバー」と呼ばれる技術です。ハンドオーバーとは、移動する利用者の位置に応じて、最適な基地局へと接続先を自動的に切り替える技術のことを指します。駅伝のタスキリレーを想像してみてください。ランナーが次の走者にタスキを渡すように、ハンドオーバーは私たちの通信を途切れさせずに、次々と適切な基地局へとつないでいくのです。 この切り替え作業は、私たちが意識することなく、非常に短い時間で行われます。もしハンドオーバーがうまく機能しないと、通話が突然中断したり、インターネットの閲覧中にページが読み込めなくなったりするなど、不便な状況に直面することになります。快適なモバイル通信を支える縁の下の力持ちと言えるでしょう。 ハンドオーバーは、基地局間の電波の強さや利用者の移動速度、通信の品質など様々な要素を考慮して行われます。複雑な計算と高度な制御技術によって、私たちは移動中でも途切れることなく、様々な情報にアクセスし、人と人とのつながりを維持することができるのです。まさに、現代社会を支える重要な技術の一つと言えるでしょう。
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認証VLAN:安全なネットワーク構築

昨今、人と人、人と機械、機械と機械が複雑につながる社会において、網の目のように張り巡らされた情報のやり取りを守ることは、何よりも大切です。企業や団体では、大切な情報の流出や、許可されていないアクセスを防ぐため、様々な安全対策が取られています。これらの対策の中でも、認証VLANは、網に接続する機器や利用者をきちんと見分け、それぞれの利用者に合った適切な網環境を提供するための大切な技術です。 認証VLANとは、接続しようとする機器や利用者を、あらかじめ設定された情報に基づいて確認し、適切なVLAN(仮想LAN)に割り当てる仕組みです。VLANとは、物理的な網構成とは関係なく、論理的に網を分割する技術です。これにより、一つの物理的な網の中に、複数の独立した仮想的な網を作ることができ、それぞれの網の安全性を高めることができます。例えば、企業内において、部署ごとにVLANを分け、それぞれの部署に必要な情報だけにアクセスできるようにすることで、情報流出のリスクを減らすことができます。 認証VLANを導入することで得られる利点は様々です。まず、セキュリティの向上が期待できます。許可されていない機器や利用者の接続を未然に防ぎ、機密情報の流出や不正アクセスを防ぎます。次に、網管理の効率化につながります。利用者ごとに適切なVLANに自動的に割り当てることで、管理者の負担を軽減できます。さらに、柔軟な網運用が可能になります。利用者の役割や所属部署の変化に応じて、VLANの割り当てを動的に変更できます。 しかし、認証VLANの導入には注意点もあります。導入前に、既存の網構成や利用者の要件を十分に分析し、適切な設計を行う必要があります。また、認証サーバーやスイッチなどの機器の設定を正しく行う必要があります。さらに、定期的な保守や管理も重要です。適切な運用管理を行うことで、認証VLANの有効性を維持し、安全な網環境を保つことができます。本稿では、これから認証VLANの仕組みや利点、導入における注意点などを詳しく説明していきます。
ハードウエア

スイッチングハブ:賢いネットワークの立役者

時折、中継器とスイッチングハブを混同してしまうことがあります。どちらも複数の機器を繋いで情報をやり取りするための機器なので、似ているように思えますが、実はその中身は大きく違います。中継器は、受け取った情報をそのまま全ての接続機器に送り出す、いわば拡声器のような働きをします。例えば、会議室で誰かが発言した内容を、遠くの部屋まで届けるために拡声器を使うようなものです。拡声器を通すと、声は大きくなりますが、内容は変わりません。同じように、中継器は届く範囲を広げますが、情報の中身には手を加えず、全てそのまま送り出します。このため、不要な情報まで全ての機器に届いてしまい、通信回線が混雑しやすくなってしまいます。 一方、スイッチングハブは、郵便配達員のように賢く情報を届ける機器です。手紙には宛名があり、配達員は宛名を見て正しい住所に手紙を届けます。スイッチングハブも同様に、情報に含まれる「MACアドレス」という宛先情報を見て、必要な機器だけに情報を送ります。他の機器には送らないので、無駄な情報がネットワーク上を流れることがなく、通信回線の混雑を防ぎ、効率的に情報をやり取りできます。また、不要な情報が流れないため、セキュリティの面でも有利です。このように、中継器とスイッチングハブは、情報の送り方が根本的に異なり、ネットワークの効率や安全性に大きな影響を与えます。用途に合わせて適切な機器を選ぶことが重要です。
クラウド

危険なオープンリゾルバにご用心

誰でも使える電話帳のようなもの、それが公開名前解決サービスです。インターネットを使う時、私達はウェブサイトの名前(例えば、「example.com」)を入力します。しかし、コンピュータは名前ではなく、数字の住所(IPアドレス)でウェブサイトを探します。この名前と住所の対応表を管理しているのが、名前解決サービスです。 公開名前解決サービスは、誰でも無料でこの対応表を調べられるように公開しています。ウェブサイトの名前を入力すると、このサービスが対応する住所をすぐに教えてくれます。とても便利ですが、危険も潜んでいます。 悪意のある人がこのサービスを悪用して、大量の偽の問い合わせを送りつけることがあります。まるでいたずら電話を大量にかけるようなものです。この攻撃を受けると、サービスはパンクしてしまい、本来の利用者が使えなくなってしまいます。これを「増幅攻撃」といいます。 また、犯罪に利用される可能性もあります。悪意のある人が、他人の情報を盗み見たり、不正な操作をしたりする際に、自分の足跡を隠すために公開名前解決サービスを利用することがあります。あたかも偽名を使って電話をかけるように、自分の正体を隠すことができるのです。 このような危険から身を守るためには、公開名前解決サービスを適切に設定することが重要です。誰でも使える状態ではなく、限られた利用者だけが使えるように制限することで、悪用を防ぐことができます。設定方法を確認し、安全にインターネットを利用できるようにしましょう。 公開名前解決サービスは便利なものですが、使い方を誤ると危険な道具にもなり得ます。正しい知識を身につけて、安全に利用することが大切です。
WEBサービス

よく使うポート番号の話

インターネットの世界では、無数の機械が情報をやり取りしています。この情報のやり取りをスムーズに行うために、宛先を特定する仕組みが必要です。この仕組みで重要な役割を果たすのが「家の住所」のような役割を持つIPアドレスと、「家の入り口」のような役割を持つポート番号です。 たとえば、手紙を送る場面を想像してみてください。手紙を届けるには、まず相手の住所が必要です。インターネットの世界では、この住所がIPアドレスに相当します。しかし、住所だけでは、家の中のどの部屋に手紙を届けるべきかは分かりません。そこで登場するのがポート番号です。ポート番号は、家の中の特定の部屋を示す番号です。例えば、メールを受け取るための部屋、ホームページを見るための部屋など、それぞれ異なる役割を持つ部屋が存在し、それらを区別するためにポート番号が使用されます。 一つの機械で複数のサービスを同時に利用できるのは、このポート番号のおかげです。例えば、あなたは一つの機械を使ってメールを確認しながら、同時にホームページを閲覧することができます。これは、メールの送受信とホームページの閲覧が、それぞれ異なるポート番号を使って行われているためです。もしポート番号がなければ、これらのサービスが混ざってしまい、正しく情報をやり取りすることができません。 ポート番号は0から65535までの数字で表され、よく使われる番号はあらかじめ決められています。例えば、ホームページの閲覧には通常80番、メールの送受信には25番といった具合です。これらの番号は、インターネット上で情報をやり取りする際の共通ルールとして広く認識されています。インターネット通信において、このポート番号は宛先を特定するための重要な要素となっています。
その他

あらゆるものが繋がる世界:IoT

『もののインターネット』とは、身の回りの色々な機械や道具をインターネットにつなげることで、私たちの暮らしをもっと便利で豊かにしようとする仕組みのことです。今までインターネットとは無縁だった冷蔵庫やエアコン、車、工場の機械、畑の作物など、ありとあらゆるものがインターネットにつながることで、生活や社会の姿は大きく変わりつつあります。 例えば、冷蔵庫の中身が減ってきたことを冷蔵庫自身が感知し、自動的にスーパーへ注文を出すことも可能になります。買い物に行く手間が省けるだけでなく、買い忘れも防ぐことができます。また、部屋の温度や湿り気を常に見ているエアコンは、私たちの快適さを保つために自動的に温度や風量を調整してくれます。 工場では、機械同士が情報をやり取りすることで、生産の効率を高めることができます。機械の状態を常に監視することで、故障を予測し、事前に修理することも可能になります。農家では、畑に取り付けたセンサーが土の水分量や温度、日照量などの情報を集め、作物の生育状況を細かく把握することができます。その情報に基づいて、水やりや肥料の量を調整することで、より質の高い作物を育てることができます。 このように、『もののインターネット』は私たちの生活の様々な場面で大きな変化をもたらしています。家の中だけでなく、街全体、社会全体を巻き込み、より便利で快適な社会を実現するための基盤技術として、今後ますます発展していくと考えられます。ただ、多くの機器がインターネットにつながることで、情報漏えいなどの危険性も高まります。安全性を確保するための対策も同時に進めていく必要があります。
クラウド

クラウド入門:手軽に始める情報活用

「クラウド」という言葉、よく耳にするようになりましたね。では、一体どのような仕組みなのでしょうか。クラウドとは、インターネットを通じて、必要な時に必要なだけ、情報技術のサービスを利用できる仕組みのことです。例えるなら、水道や電気のように、必要な時に蛇口をひねったりスイッチを入れるだけで、水や電気といったサービスをすぐに利用できますよね。クラウドも同様に、インターネットに接続するだけで、様々な情報技術のサービスをすぐに利用できるのです。 従来のやり方では、企業が情報システムを構築する場合、自社でサーバーという情報処理を行う機械や、様々な仕事を行うためのソフトウェアを購入し、設置し、管理する必要がありました。これは、多大な費用と手間がかかる作業でした。しかし、クラウドを利用すれば、これらの設備を自社で用意する必要がなくなります。インターネットに接続できる環境さえあれば、誰でも手軽に、必要なサービスを利用できるのです。まるで、必要な時に必要なだけ水や電気を使えるのと同じように、情報技術のサービスを必要な分だけ利用できる、とても便利な仕組みです。 クラウドの大きな利点は、初期費用を抑え、運用コストも効率化できることです。サーバーやソフトウェアを購入する必要がないため、初期投資が大幅に削減できます。また、システムの維持や管理もクラウド提供事業者が行うため、運用にかかる費用や手間も軽減できます。さらに、利用した分だけ費用を支払う仕組みが一般的なので、無駄なコストが発生することもありません。まさに、必要な時に必要なだけ利用できる、無駄のない仕組みといえます。 「クラウド」という名前は、インターネットを雲に見立てていることに由来します。目には見えないけれど、確かにそこに存在し、必要な時に必要なサービスを提供してくれる。まるで雲のように、いつでもどこでも頼りになる存在、それがクラウドなのです。
その他

あらゆるモノが繋がるIoTの世界

いまや情報網は、暮らしの中でなくてはならないものとなっています。机上計算機や携帯情報端末だけでなく、テレビや冷蔵庫、冷暖房、自動車など、さまざまな機器が情報網につながる時代になりました。このような機器が情報網につながることで、私たちの暮らしはどのように変わっていくのでしょうか。情報網につながることで、機器同士が情報をやり取りし、私たちの暮らしをより便利で快適にしてくれます。 例えば、最近の冷蔵庫の中には、情報網につながることで庫内の食品を認識し、賞味期限切れが近づくと知らせてくれるものや、不足している食品を自動的に注文してくれるものも登場しています。また、冷蔵庫の中身に合わせて、最適な献立を提案してくれる機能を持つものもあります。買い物に出かける前に冷蔵庫の中身を確認し、何を買うべきかをメモする手間が省けるだけでなく、献立を考える時間がない時にも役立ちます。 さらに、外出先から携帯情報端末を使って冷暖房の温度を調整できるのも、情報網の利点です。暑い日に帰宅する前に冷房を付けておくことで、涼しい部屋でくつろぐことができます。また、うっかり冷暖房をつけっぱなしで外出しても、携帯情報端末から遠隔操作で消すことができるので安心です。 このように、身の回りの機器が情報網につながることで、暮らしはますます便利で快適になっていきます。このような技術は、「ものの情報網」と呼ばれ、英語の"Internet of Things"を略して"IoT"と呼ばれています。今後、ますます多くの機器が情報網につながり、私たちの暮らしをより豊かにしてくれることでしょう。例えば、健康管理機器が情報網につながることで、日々の健康状態を自動的に記録し、医師に送信することで、より的確な診断や治療に役立つ可能性もあります。情報網の技術は常に進化しており、近い将来、私たちの想像を超えるような便利な使い方が登場するかもしれません。
アルゴリズム

つながりの数学:グラフ理論の世界

18世紀のヨーロッパ、プロイセン王国のケーニヒスベルクという街にプレゲリャ川という川が流れていました。街の中央には島があり、7つの橋が架けられていました。当時、この街の人々の間で、ある疑問が話題になっていました。『すべての橋を一度だけ渡り、元の場所に戻ってくることができるか?』という問題です。日曜日の散歩の度に、人々はこの難問に挑戦していましたが、誰一人として成功しませんでした。 この一見単純そうな問題は、多くの数学者たちの関心を集めました。誰もが解法を見つけようとしましたが、皆、失敗に終わりました。そんな中、スイスの数学者レオンハルト・オイラーがこの問題に挑戦しました。オイラーは、この問題を解くために、画期的な方法を思いつきました。それは、陸地を点、橋を線で表すという方法です。現在ではグラフと呼ばれるこの表現方法を用いることで、オイラーは問題を単純化することに成功しました。そして、すべての橋を一度だけ渡って元の場所に戻ることは不可能であることを、数学的に証明しました。1736年に発表されたオイラーの論文は、グラフ理論の誕生を告げるものでした。それまで、図形を扱う幾何学では、線の長さや角度といった量的な性質が重要視されていました。しかし、オイラーは、線の長さや角度を無視し、点と線の繋がり方という、質的な性質に着目することで、新たな数学の分野を切り開いたのです。 こうして生まれたグラフ理論は、その後、数多くの数学者たちによって研究され、発展を遂げてきました。現代社会においても、インターネットのネットワーク構造の解析や、交通網の最適化、人工知能の開発など、様々な分野で応用されています。ケーニヒスベルクの橋の問題は、単なる頭の体操ではなく、現代社会の様々な問題を解決する強力な道具となる学問分野の出発点だったのです。
クラウド

クラウド入門:その利点と可能性

「雲」を意味する英語から名付けられたクラウドとは、インターネットを通じて、計算処理の能力や情報の保管場所、様々な役立つ道具を、必要な時に必要なだけ利用できる仕組みのことです。自宅に大きなタンクを設置して水を貯めておく代わりに、水道局から必要な量の水を必要な時に受け取るのと同じように、クラウドもまた、自前で高性能な計算機や情報保管庫、道具を用意する必要がありません。インターネットを通じて、まるで水道のように、必要な時に必要なだけ利用できるのです。これによって、高額な設備を購入したり、管理する手間や費用を大幅に減らすことができます。例えば、新しい店を開く時、従来であれば高性能な計算機や情報保管庫などを購入し、場所を用意し、専門の担当者を雇う必要がありました。しかし、クラウドを利用すれば、これらの設備を自前で用意する必要がなくなり、初期費用を抑えることができます。また、店が繁盛してより多くの計算能力や情報保管場所が必要になった場合でも、クラウドであれば簡単に利用量を増やすことができます。逆に、閑散期には利用量を減らすこともできるので、無駄な費用を払うことなく、常に最適な状態で利用できます。さらに、専門の担当者を雇う必要がないため、人件費の削減にもつながります。このようにクラウドは、初期費用を抑え、運用コストを最適化し、資源を効率的に活用できるという大きな利点を持っています。まるで水道のように、必要な時に必要なだけ利用できる手軽さと、無駄を省く効率性の両方を兼ね備えた、現代社会には欠かせない仕組みと言えるでしょう。
その他

UDP:遅延を許容してスピード重視の通信

利用者データグラム手順の短縮形であるUDPは、情報のやり取りを定める手段の一つで、情報網での情報の送受信で広く使われています。情報のやり取りを管理する手順であるTCPと並んで大切な役割を担っていますが、その性質はTCPとは大きく違います。TCPは情報の確実な送受信を重視する一方、UDPは情報の送受信の速さを重視しています。 情報の確実な送受信を重視するTCPでは、送り手と受け手が互いに確認を取り合いながら情報を送受信します。そのため、情報が正しく届いたかを確認できます。一方、UDPではこのような確認作業を行いません。そのため、情報が一部欠けたり、順番が入れ替わったりする可能性がありますが、その分情報の送受信にかかる時間が短縮されます。 このように、UDPは情報の正確さよりも速さを重視した情報の送受信を実現するために作られています。そのため、動画の配信や、対戦型の遊戯、音声を使った会話など、多少の情報が欠けても大きな問題にならず、むしろ情報の送受信の遅れが問題になるような用途で使われています。例えば、動画を見ているときに一瞬映像が乱れたり、音声が途切れたりしても、多少の遅れは許容されますが、数秒の遅れが生じると、動画を見ている上での快適さが大きく損なわれます。このような状況では、UDPの速さを重視する性質が役立つのです。 情報の送受信の速さが求められる場面ではUDPが、情報の正確さが求められる場面ではTCPが、それぞれ使い分けられています。状況に応じて適切な手順を選ぶことで、より快適な情報網の利用が可能になります。
クラウド

オンプレミスとは?クラウドとの違いを解説

近頃は、会社で仕事をする上で、情報技術を使うことはなくてはならないものとなっています。仕事のやり方を良くしたり、お客さんをもっと喜ばせるため、色々な仕組みが取り入れられています。こうした仕組みを動かすためには、計算機や手順書などを置く場所が必要です。大きく分けて、自社で管理する方法と、外の会社が提供するサービスを使う方法があります。 自社で管理する方法は、自分の会社で計算機や必要なものを全て用意し、管理するということです。建物を建てたり、借りたりして、そこに計算機や色々な機器を置き、動かすための手順書を用意します。必要な人員を配置し、常にうまく動くように気を配る必要があります。全てを自分で管理するので、細かい設定変更なども思い通りに行えますし、大切な情報も社内で管理できるので安心です。しかし、初期費用が高額になり、維持管理にも手間と費用がかかります。また、専門の人材を確保する必要もあり、災害対策なども自分で考えなければなりません。 一方、外の会社が提供するサービスを使う場合は、計算機や手順書などを自分で用意する必要はありません。必要な時に必要な分だけ利用でき、費用も使った分だけ支払えばよいので、初期費用を抑えることができます。また、専門の会社が管理してくれるので、維持管理の手間も省けます。さらに、災害対策などもサービスに含まれている場合が多く、安心して利用できます。しかし、細かい設定変更などはサービス提供会社の規定に従う必要があり、大切な情報を社外に預けることになります。 この文章では、自社で管理する方法について詳しく説明し、外の会社が提供するサービスと比べてどのような違いがあるのかを明らかにすることで、それぞれの良い点と悪い点を理解し、自分に合った方を選ぶための助けとなる情報を提供します。
その他

RARP:機器アドレスからIPアドレスを知る仕組み

コンピュータなどの機器がネットワークにつながるためには、それぞれの機器に割り当てられた住所のようなものが必要です。これを「インターネット・アドレス」と呼びます。このアドレスがないと、他の機器と情報のやり取りができません。機器には、製造段階で付けられた固有の番号である「機器アドレス」というものも存在します。これは、いわば機器の生まれつきの名前のようなものです。 「逆アドレス解決手順」は、この機器アドレスからインターネット・アドレスを知るための仕組みです。機器アドレスは分かっているけれど、インターネット・アドレスが分からない機器が、ネットワーク上で「逆アドレス解決手順」を使って問い合わせを行い、自分のインターネット・アドレスを教えてもらうのです。 この仕組みは、情報を保存する装置を持たない機器にとって特に重要です。このような機器は、電源を入れるたびに自分のインターネット・アドレスを知らなければなりません。「逆アドレス解決手順」のおかげで、これらの機器もネットワークに接続し、必要な情報を取得できるようになります。 たとえば、新しく職場に来た人が自分の机の場所を分からないとします。自分の名札は持っているけれど、机には名前が書いてありません。そこで、受付の人に名札を見せて自分の机の場所を聞けば、教えてもらえるでしょう。「逆アドレス解決手順」は、これと同じように、機器が自分の機器アドレスを使ってインターネット・アドレスを調べるための仕組みなのです。 「逆アドレス解決手順」を使うことで、ネットワークの初期設定が簡単になり、機器の管理も容易になります。多くの機器がネットワークにつながる現代社会において、これは大変便利な仕組みと言えるでしょう。ただし、「逆アドレス解決手順」は、問い合わせの範囲がネットワーク内に限られます。そのため、近年では、より広範囲に対応できる「動的ホスト構成手順」が主流となっています。
その他

PPPoE:インターネットへの接続方式

ピーピーピーオーイーは、皆さんが普段インターネットを使う際に欠かせない技術の一つです。正式には「ポイント・ツー・ポイント・プロトコル・オーバー・イーサネット」と呼ばれています。この名前を分解してみると、その仕組みが見えてきます。「ポイント・ツー・ポイント・プロトコル」、略してピーピーピーは、もともと電話回線を使ってインターネットに接続する際に使われていた通信の決まり事です。一対一で通信を行うため、確実な接続を保証することができます。 時代が進み、電話回線に代わり、より高速なイーサネットが普及してきました。そこで、このピーピーピーをイーサネットの上でも使えるようにしたのが、ピーピーピーオーイーです。名前の通り、イーサネット上でピーピーピーを使うための技術なのです。 ピーピーピーオーイーを使うと、家庭や会社にあるパソコンなどの機器を、インターネットにつなぐ役割を持つ会社、つまり、インターネットサービスプロバイダの機器へと接続することができます。まるで橋渡しをするように、私たちの機器とインターネットの世界をつないでくれるのです。 ピーピーピーオーイーには、接続する際に本人確認を行う仕組みがあります。これにより、不正なアクセスを防ぎ、安全にインターネットを利用できます。また、インターネットに接続するたびに、インターネット上の住所にあたるアイピーアドレスが割り振られます。これは、限られたアイピーアドレスを有効に活用できるという利点があります。 ピーピーピーオーイーは、高速インターネットが普及し始めた頃から広く使われてきました。設定が簡単で、特別な知識がなくても使えるため、多くの家庭で利用されています。現在でも多くのインターネットサービスプロバイダで採用されており、今後もインターネットに接続するための基本的な技術として、重要な役割を果たしていくことでしょう。
ハードウエア

PoE:ケーブル一本でデータと電力供給

電力供給とデータ通信を一本のケーブルで同時に行う技術、それがPoE(イーサネット上の電力)です。従来、ネットワーク機器を使うには、データ送受信用の網線と電源供給用の電源線、二本のケーブルが必要でした。PoE対応機器であれば、網線一本でデータと電力の両方を送ることができるため、配線の手間を大幅に減らすことができます。この技術により、機器の設置場所の自由度が飛躍的に向上します。 PoEの規格は、IEEE 802.3af/at/btなどで定められており、規格によって供給できる電力量が異なります。PoE対応機器は、PoE対応の分配器や供給装置といった給電機器に接続することで利用できます。これらの給電機器は、データ信号と電力を一緒に網線に送り込みます。受電側の機器はこの電力を使って動作します。PoEは、インターネット電話、無線接続拠点、ネットワーク監視カメラなど、様々なネットワーク機器で活用されています。特に、天井や壁など、電源差込口の設置が難しい場所への機器設置に大変便利です。また、電源線が不要になるため、配線がすっきりし、見た目も美しくなります。 近年、PoE給電の電力量が増加しており、消費電力の大きな機器にも対応できるようになっています。これにより、PoEの適用範囲はますます広がっています。例えば、大型の表示装置や、高性能のネットワーク機器などにもPoE給電が利用できるようになってきています。PoE技術の進歩は、私たちの生活をより便利で快適なものにしてくれるでしょう。
その他

コンピュータの時刻合わせ:NTPの役割

現代の暮らしの中で、正確な時刻を知ることはなくてはならないものです。特に、常にインターネットにつながっている機器、例えば会社の情報などを管理する大型の計算機や情報のやり取りを円滑にするための装置では、時刻がぴったり合っていることがとても大切です。もし時刻がずれてしまうと、様々な問題が起こってしまいます。 例えば、いつ何が起きたかを記録する作業に不具合が生じたり、複数の装置がうまく連携して働かなくなったりする可能性があります。また、悪意のある人物による攻撃を受けやすくなる危険性も高まります。 このような困った事態を防ぐために、「時刻合わせ通信手順」と呼ばれる技術が使われています。これは、英語の頭文字を取って「エヌティーピー」と呼ばれることが多いです。この技術は、世界中で使われている標準時刻を基準にして、ネットワークにつながっている機器が常に正しい時刻を保てるようにしてくれます。 具体的には、時刻合わせ通信手順を使うことで、ネットワーク上の機器は、信頼できる時刻を提供する特別な装置と通信し、自分の時刻を修正します。この特別な装置は、原子時計のような非常に正確な時計と同期しており、高精度な時刻情報を提供することができます。 時刻合わせ通信手順は、階層的な構造を持っています。一番上に位置する装置は、原子時計などの非常に正確な時刻源と直接同期しています。その下には、上位の装置と同期する装置があり、さらにその下にも、下位の装置と同期する装置が続きます。このようにして、世界中の機器が正確な時刻を共有できるようになっています。時刻合わせ通信手順のおかげで、私たちは安心してインターネットを利用することができるのです。
その他

家庭で活躍!NAPTの仕組み

家庭や会社といった、限られた場所で使う、特別な番号(プライベートIPアドレス)を持った機器がたくさんあるとします。これらの機器は、そのままでは広いインターネットの世界へ出ることができません。なぜなら、インターネットで使うための世界共通の番号(グローバルIPアドレス)を持っていないからです。そこで登場するのが、ネットワークアドレスポート変換、略してNAPTです。NAPTは、まるで家の玄関のような役割を果たします。NAPTはプライベートIPアドレスと、それぞれの機器が使う連絡窓口の番号(ポート番号)を組み合わせて、一つのグローバルIPアドレスと、それに対応する連絡窓口の番号に変換します。このようにすることで、複数の機器が一つのグローバルIPアドレスを共有して、インターネットにアクセスできるようになります。 例えるなら、マンションの各部屋に個別番号(プライベートIPアドレス)があり、マンション全体には一つの表札(グローバルIPアドレス)があるようなものです。各部屋からの手紙(データ)は、NAPTという管理人が、部屋番号と手紙の宛名(ポート番号)を確認し、マンションの表札と手紙の宛名を書き換えて、外部へ送ります。そして、返ってきた手紙は、宛名を見て正しい部屋に届けます。このように、NAPTは限られたグローバルIPアドレスを有効活用できるという利点があります。 さらに、NAPTにはもう一つ重要な役割があります。それは、外部からの不正アクセスを防ぐことです。NAPTは、内部の機器と外部のやり取りを監視し、許可されていないアクセスを遮断します。これは、家の玄関に鍵をかけるのと同じで、外部からの侵入を防ぎ、内部の機器を守ります。このように、NAPTはインターネットへのアクセスをスムーズにしつつ、セキュリティも守る、まさにネットワークの門番と言えるでしょう。
その他

ARP入門:仕組みと重要性

網状の繋がりをもつ情報網の中で、機器同士が情報をやり取りするには、互いの場所を特定する住所が必要です。この住所には、大きく分けて二つの種類があります。一つは論理的な住所で、人間にも分かりやすい数字で表現されます。もう一つは物理的な住所で、機器固有の番号で表されます。 ARPは、住所解決手順の略で、この二つの住所を変換する役割を担います。たとえば、あなたが情報網の中の誰かに手紙を送りたいとします。あなたは相手の論理的な住所は知っていますが、物理的な住所は知りません。このとき、ARPを使えば、相手の論理的な住所から物理的な住所を調べることができます。 具体的には、ARPは、「この論理的な住所を使っている機器は、どの物理的な住所を持っていますか?」という問いを情報網の中に投げかけます。すると、該当する機器が「その論理的な住所は私が使っています。私の物理的な住所はこれです。」と返事を送ります。こうして、あなたは相手の物理的な住所を知り、手紙を届けることができるのです。 情報網は、多くの小区間に分割され、中継地点で繋がっています。ARPはこの小区間内で行われます。もし、相手が異なる小区間にいる場合は、中継地点が相手の物理的な住所を調べ、手紙を転送します。このように、ARPは情報網の中の機器同士が情報をやり取りする上で欠かせない手順なのです。 ARPのおかげで、私たちは相手の物理的な住所を意識することなく、手軽に情報をやり取りすることができます。これは、情報網が円滑に機能するための重要な要素となっています。