AI・データ契約ガイドライン解説
経済産業省が発表した『人工知能と情報の活用に関する契約の手引き』は、人工知能と情報活用に関する契約の型を提供するだけにとどまりません。円滑な計画実行のための指針も示しています。この手引きは、人工知能開発を評価、実証実験、開発、追加学習という四つの段階に分け、それぞれの段階に最適な契約の方式と計画管理手法を示すことで、関係者間の認識の違いを防ぎ、開発を円滑に進めることを目指しています。
まず、評価段階では、実現可能性の調査や必要となる情報の確認等を行い、基本的な合意を形成することが重要です。この段階では、費用負担や秘密保持に関する取り決めを明確にする必要があります。次に、実証実験段階では、小規模な試験を通して人工知能の性能や課題を検証します。この段階では、実証実験の範囲や評価指標、知的財産権の帰属等について詳細に契約内容を定めることが重要となります。
そして、開発段階では、本格的な人工知能の構築が始まります。この段階では、開発の進捗管理や品質保証、責任範囲等について明確な取り決めが必要です。最後に、追加学習段階では、運用開始後も継続的に性能向上を図るため、新たな情報の収集や学習を行います。この段階では、追加学習の方法や費用負担、データの提供方法等に関する取り決めが必要です。
特に、人工知能開発において情報は非常に重要です。この手引きでは、情報の権利関係や利用範囲を明確にするための契約条項についても詳しく説明されています。例えば、情報の所有権、利用目的の制限、第三者への提供の可否、秘密保持義務等、様々な観点から情報の取り扱いについて規定することが必要です。このように、この手引きは、人工知能開発における契約や計画管理の実務に役立つ情報を提供し、人工知能技術の普及と発展に貢献することが期待されます。