移動平均:データの平滑化
移動平均は、時間とともに変化するデータの傾向を掴むための統計的手法です。日々の気温の変化や株価の動きのように、時間とともに変動するデータを時系列データと呼びます。この時系列データには、短期的な細かい動き(ノイズ)と長期的な大きな動き(トレンド)が含まれています。移動平均を使うことで、この細かいノイズを取り除き、全体的な傾向やパターンを把握することが容易になります。
移動平均の計算方法は、一定の期間のデータの平均値を順番に求めていくというシンプルなものです。例えば、3日間の移動平均を求める場合、最初の3日間のデータの平均値を計算し、次に2日目から4日目のデータの平均値、3日目から5日目のデータの平均値というように、1日ずつずらして平均値を計算していきます。この計算を繰り返すことで、平滑化されたデータの列が得られます。この平滑化されたデータが移動平均線と呼ばれ、元の時系列データのトレンドを表すものとなります。
移動平均は、様々な分野で活用されています。例えば、株式投資の世界では、株価の短期的な変動に惑わされずに、長期的なトレンドを把握するために利用されています。また、気象データの解析にも応用されており、日々の気温の変動を取り除くことで、季節ごとの気温変化の傾向を分析することができます。さらに、ウェブサイトへのアクセス数の解析にも利用され、アクセス数の急増や急減といった一時的な変動の影響を受けずに、安定したアクセス数の傾向を把握することが可能になります。このように移動平均は、データの解析や予測において非常に有用な手法と言えるでしょう。