シンプソンのパラドックス:隠れた真実
物事全体を見たときと、それを細かく分けて見たときで、全く逆の傾向が見えてしまうことがあります。これをシンプソンの逆説と呼びます。全体で見るとある傾向が正しいように見えても、実は個々の集団で見ると全く逆の結論になるという、統計の落とし穴の一つです。
例えば、新しい薬の効果を調べるとしましょう。薬Aと薬Bを患者全体で比較すると、薬Aの方がよく効くように見えるとします。しかし、患者の年齢で分けて考えてみると、若い人にも高齢者にも、薬Bの方が効果が高いという結果になるかもしれません。全体で見ると薬Aが優勢に見えたにもかかわらず、年齢という集団に分けてみると、薬Bの方が効果的だったという逆転現象が起こるのです。
これは、年齢層によって患者数が大きく異なる場合などに起こりえます。高齢者の患者数が非常に多く、たまたま薬Aを飲んだ高齢者の回復率が低いと、全体の結果に大きな影響を与えてしまうのです。つまり、見かけ上は薬Aが効果的に見えても、実際は年齢層ごとに適切な薬を選択する必要があるということを示しています。
この例のように、全体像だけを見て判断すると、誤った結論に至る危険性があります。物事の真実を見抜くためには、全体像だけでなく、様々な切り口でデータを分析し、隠された真実を明らかにする必要があります。データ分析を行う際には、多角的な視点を持つことが大切です。一つの側面だけでなく、様々な角度から物事を見ることで、より正確な判断ができるようになります。