エポック:機械学習の訓練回数
機械学習、とりわけ深層学習では、「エポック」という言葉をよく耳にします。これは、作った学習の模型を鍛える際に、学習に使うデータ全体を何回使ったかを示す回数です。例として、百枚の絵を使って絵の内容を判別する模型を鍛える場面を想像してみましょう。この百枚の絵を全て使って学習が一巡したら、一エポックが終わったことになります。もし、この百枚の絵を二巡使って学習すれば、二エポック、三巡なら三エポックと数えます。
エポックは、模型の学習の進み具合を測る大切なものです。学習の模型は、与えられたデータから規則性やパターンを見つけ出すことで賢くなっていきます。一度全てのデータを使っただけでは、十分に学習できない場合があります。ちょうど、教科書を一度読んだだけでは全てを理解し、覚えられないのと同じです。繰り返し読むことで、より深く理解し、記憶に定着していくように、学習の模型もデータを繰り返し学習することで、より正確な判別ができるようになります。これがエポック数を増やす理由です。
しかし、エポック数を多くすれば良いというものでもありません。あまりにも多くの回数、同じデータで学習を繰り返すと、過学習という状態に陥ることがあります。これは、学習に用いたデータは完璧に判別できるようになるものの、新しいデータに対してはうまく判別できない状態です。例えるなら、過去問ばかりを勉強して、本番の試験では全く違う問題が出題されて解けないといった状況に似ています。ですから、適切なエポック数を見つけることが、精度の高い模型を作る上で重要になります。ちょうど料理で、適切な火加減と加熱時間を見極めるのと同じように、エポック数も注意深く調整する必要があるのです。