デュエリングネットワーク:強化学習の進化
この資料は、強化学習という学習方法の入門書です。強化学習とは、機械がまるで人間のように試行錯誤を繰り返しながら、目的を達成するための最適な行動を学ぶ仕組みのことです。近年、この強化学習に深層学習という技術を組み合わせた深層強化学習が大きな注目を集めています。深層学習の力を借りることで、強化学習は様々な分野で目覚ましい成果を上げています。
深層強化学習の中でも、特に有名な手法の一つにDQN(深層Q学習)があります。DQNは、状態行動価値と呼ばれる、ある状況である行動をとった時の価値を予測することで学習を進めます。しかし、この状態行動価値を直接学習しようとすると、学習の過程が不安定になり、うまく学習できない場合がありました。
そこで登場したのが、DQNを改良したデュエリングネットワークという手法です。デュエリングネットワークは、状態行動価値を直接学習するのではなく、状態価値とアドバンテージという二つの要素に分けて学習します。状態価値とは、ある状況における価値を表すもので、どんな行動をとるかに関係なく決まります。一方、アドバンテージはある状況において特定の行動をとることによる価値の増減を表します。つまり、ある行動をとった時の価値が、その状況における平均的な価値と比べてどれくらい良いか悪いかを示すものです。
デュエリングネットワークは、この二つの要素を別々に学習し、最後に組み合わせて状態行動価値を計算します。こうすることで、学習の安定性が向上し、DQNよりも効率的に学習を進めることが可能になります。この資料では、これからデュエリングネットワークの仕組みや利点について詳しく解説していきます。