探索を効率化!αβ法入門
遊戯や謎解きをする人工知能を作る上で、探索手順の組み立て方はとても大切です。どうすれば最も良い手を見つけられるか、また、それを効率良く行うにはどうすれば良いのか、といった問いは常に探求されてきました。今回は、数ある探索手順の中でも、ミニマックス法という手順を改良した、より強力なαβ法という手順について説明します。
ミニマックス法とは、ゲームの勝ち負けを予測しながら、自分の番では最も有利な手を選び、相手の番では最も不利な手を選ぶという仮定に基づいて、最善の手を探す手順です。しかし、この手順では、全ての可能な手を調べなければならず、ゲームが複雑になるほど計算量が膨大になってしまいます。αβ法は、このミニマックス法の欠点を克服するために考案されました。
αβ法の核心は、明らかに不利な手は最後まで調べなくても良いという点にあります。具体的には、α値とβ値という二つの値を用いて、探索の範囲を絞り込みます。α値は、自分が現時点で確保できる最低限の得点を表し、β値は、相手が現時点で許容する最高限の得点を表します。探索を進める中で、ある局面における評価値がβ値を超えた場合、その局面以降の探索は不要となります。なぜなら、相手はその局面に至る前に、より有利な別の局面を選択するからです。同様に、ある局面における評価値がα値を下回った場合、その局面以降の探索も不要となります。なぜなら、自分はα値以上の得点が保証されている別の局面を選択するからです。このように、αβ法は無駄な探索を省くことで、ミニマックス法よりも効率的に最善手を見つけることができます。
αβ法は、将棋や囲碁といった複雑なゲームで、その有効性が証明されています。限られた時間の中で、より深く先を読むことができるため、高度な戦略を立てることが可能になります。人工知能の進化を支える重要な技術として、αβ法は今後も様々な分野で活躍していくことでしょう。