競争優位

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ビジネスへの応用

価値の連鎖:バリューチェーン入門

商品は、お客様の手元に届くまで、様々な工程を経て作られています。その一連の流れを鎖に見立て、それぞれの工程でどれだけの価値が加えられているかを分析する手法を、価値連鎖と呼びます。これは、事業活動の全体像を把握する上で非常に大切な考え方です。 価値連鎖は、原料の調達から始まります。そこから、製品の製造、販売、そして購入後のお客様への対応まで、全ての流れが含まれます。それぞれの工程をつなぎ合わせ、鎖のように捉えることで、全体像を把握しやすくなるのです。 この分析方法を使うことで、どの工程が最も価値を生み出しているのかを明らかにすることができます。同時に、非効率で費用がかさんでいる工程も見つけることができます。例えば、製造工程では最新鋭の機械を導入して効率化を進めているにも関わらず、販売後の対応が遅く、お客様の満足度を下げているといった場合、せっかくの努力が水の泡になってしまいます。価値連鎖を分析することで、このような隠れた問題点を浮かび上がらせることができるのです。 価値連鎖分析に基づいて、自社の強みと弱みを正しく理解することで、他社との差別化を図り、競争を勝ち抜くための戦略を立てることができます。お客様にとっての価値を高めるには、個々の工程を良くするだけでは不十分です。鎖の例えで言えば、一つ一つの輪が強くても、繋ぎ目が弱ければ、鎖全体は簡単に切れてしまいます。ですから、全体の流れを円滑にすることが重要になります。価値連鎖全体を強化することで、真の競争力を得ることができるのです。
ビジネスへの応用

勝ち抜く秘訣!コアコンピタンス

会社が他社との競争で打ち勝つには、その会社だけが持つ抜きん出た強み、すなわち独自性が不可欠です。これは他社には容易に真似のできない、いわば会社の看板となる強みで、コアコンピタンスと呼ばれます。このコアコンピタンスこそが、競争で常に優位に立つための土台となるのです。 コアコンピタンスとは、単に高い技術力や優れた製品の質といった表面的なものだけではありません。もちろん、それらも重要な要素の一つではありますが、会社独自の組織風土や、そこで働く社員の能力、長年培ってきた業務のやり方や知識、顧客との良好な関係など、様々な要素が複雑に絡み合って初めてコアコンピタンスが形成されるのです。 例えば、ある会社では、社員一人ひとりの発想力を大切にする自由な社風が根付いており、それが新しい商品開発の原動力となっているとします。他社が同じ商品を作ろうとしても、この社風を真似ることは容易ではありません。また、別の会社では、地域社会との深い結びつきを築いており、それが顧客からの揺るぎない信頼につながっているとします。これも他社には真似のできない、その会社だけが持つ強みです。 コアコンピタンスを持つことで、市場の激しい変化にも柔軟に対応できるようになります。まるで荒波を乗り越える船のように、変化の波をうまく捉え、新たな事業展開や革新的な技術開発の推進力へと変えることができるのです。 目まぐるしく変化する現代社会において、会社が長く成長し続けるためには、このコアコンピタンスが鍵となります。まるで樹木の根のように、しっかりと根を張ったコアコンピタンスがあればこそ、厳しい環境の中でも揺るぎなく成長し続けることができるのです。