過学習を防ぐL2正則化
機械学習では、学習に使ったデータに対しては高い精度を示す一方で、新しいデータに対してはうまく予測できないという問題が起こることがあります。これは、まるで試験勉強で過去問だけを完璧に覚えてしまい、応用問題に対応できないような状態です。このような現象を過学習と呼びます。
この過学習を防ぐための有効な手段として、正則化という方法があります。正則化とは、モデルが複雑になりすぎるのを防ぎ、未知のデータに対しても安定した予測ができるようにする技術です。
具体的には、モデルの学習中に、損失関数と呼ばれる指標に正則化項を加えます。損失関数は、モデルの予測が実際の値からどれくらい離れているかを表す尺度で、この値を小さくすることが学習の目標です。正則化項は、モデルのパラメータの大きさにペナルティを科す役割を果たします。パラメータとは、モデルの特性を決める値のようなもので、この値が大きくなりすぎると、モデルが複雑になりすぎて過学習を起こしやすくなります。
例えるなら、複雑な数式をたくさん使って問題を解こうとするよりも、単純な数式で本質を捉えた方が、新しい問題にも対応しやすいのと同じです。正則化項を加えることで、パラメータの値が大きくなりすぎるのを抑え、モデルをより単純な形に保つことができます。
結果として、モデルは学習データの細かな特徴に囚われすぎることなく、データ全体の傾向を捉えることができるようになり、未知のデータに対してもより正確な予測を行うことが可能になります。正則化は、機械学習において汎化性能を高めるための重要な技術と言えるでしょう。