会議を成功に導くファシリテータの役割

会議を成功に導くファシリテータの役割

会議の円滑な進行役

会議とは、大勢の人が集まって、共通の目的達成に向け、話し合い、決定を行う場です。会議を成功させるには、話し合いの流れをうまく管理し、全員が気持ちよく参加できる雰囲気を作ることが大切です。そこで重要な役割を担うのが進行役、すなわち会議の舵取り役です。

進行役は、会議全体の進行をスムーズにするための様々な工夫を行います。まず、会議が始まる前に、目的と議題をはっきりさせ、参加者へ事前に伝えます。これにより、参加者は何を話し合うべきか理解した上で会議に臨むことができ、議論が脱線するのを防ぎます。

会議中は、進行役が時間配分を管理し、発言の機会を平等に与え、全員が発言しやすい雰囲気作りに努めます。特定の人が発言を独占したり、議論が特定の話題に偏ったりしないよう注意深く見守り、必要に応じて軌道修正を行います。また、参加者同士の意見の対立が激化した場合は、中立的な立場で仲裁し、冷静な話し合いができるように促します。

さらに、進行役は、複雑な内容を分かりやすく整理したり、議論の要点や決定事項をまとめたりする役割も担います。会議の最後に、話し合われた内容や決定事項を改めて確認し、参加者全員の共通認識とすることで、会議後の行動につなげます。

このように、進行役は、会議の準備段階から終了後まで、様々な場面で活躍します。会議を成功に導くために、進行役は必要不可欠な存在と言えるでしょう。

発言を促し、全員参加を実現

話し合いの場をまとめる役の人には、みんなが発言できる機会を作ることが大切です。発言するのが好きな人だけが話すのではなく、普段はあまり話さない人にも発言を促し、全員が積極的に話し合いに加われるように気を配ります。

そのためには、参加者一人ひとりの性格や立場を理解することが重要です。それぞれの状況を踏まえた上で、適切な問いを投げかけたり、話しやすい雰囲気作りを心がけます。例えば、発言内容を褒めたり、共感したりすることで、参加者の発言意欲を高めることができます。また、発言に詰まっている人には、優しく言葉を補ってあげたり、考える時間を与えたりするなど、個別の状況に応じた配慮が必要です。

全員が安心して自分の考えを話せる場を作ることで、色々な考え方を取り入れた、より質の高い話し合いができます。会議でよくある、一部の人だけが発言する状況を防ぎ、話し合い全体をスムーズに進めるためにも、まとめ役の人による発言機会の調整は欠かせません。

さらに、発言していない人に直接意見を求めることも効果的です。「○○さんは、この件についてどう思いますか？」といったように、指名することで、発言を促すことができます。ただし、無理強いするのではなく、相手の表情や様子を見ながら、発言しやすいタイミングを見計らうことが重要です。参加者全員が安心して発言できる環境を作ることで、活発な意見交換が生まれ、より良い結果につながります。

議論の流れを整理し、明確化

話し合いでは、たくさんの考えが出て、話が入り組んでしまうことがよくあります。このような状況では、話し合いのまとめ役が話の筋道を整理し、参加者全員が同じ認識を持つことが大切です。

白い板や映写機などを使い、話し合いの大切な点を目に見えるように整理したり、参加者同士の考えの違いをはっきりさせたりすることで、話が迷子になるのを防ぎます。例えば、参加者の発言を箇条書きで板書したり、意見の賛成派と反対派を分けて書き出したりすることで、現状を分かりやすく示すことができます。また、似ている意見をまとめてグループ化することで、議論の焦点を絞り込むことも可能です。

さらに、時間の使い方にも気を配り、話し合いの主題から外れそうになったら、元の流れに戻すのもまとめ役の大切な仕事です。話が脱線した場合、まとめ役は「この件は後ほど議論しましょう」と提案したり、元の議題の重要性を再確認することで、参加者の意識を戻すことができます。

このようにまとめ役は、話し合い全体を広く見渡し、公平な立場から会議を管理することで、無駄なく効果的な話し合いの進行を助けます。会議の目的を改めて確認し、参加者それぞれが自分の役割を理解した上で議論を進めるように促すことも重要です。議事録を作成し、決定事項や今後の課題を明確にすることで、会議の内容を参加者間で共有し、次回の議論に繋げることも忘れてはいけません。

中立な立場で合意形成を支援

話し合いをまとめる人は、誰かの考えに偏ることなく、真ん中に立って話し合いを進めることが大切です。自分の考えを押し付けるのではなく、参加者全体の意見がまとまるように手伝う役目に徹することで、公平で正しい話し合いができます。参加者一人ひとりの考えを尊重し、共通の目的を達成するために協力し合えるように促すことが重要です。

時には、意見がぶつかり合う人たちの間に入り、折り合いがつく点を見つけるための仲介役も務めます。例えば、ある人が「予算は少なめにするべきだ」と言い、別の人が「新しい設備導入のためには、もっと予算が必要だ」と主張した場合、話し合いをまとめる人は、両者の意見の根底にある考えを探ります。「予算を少なめにするべきだ」という人は、無駄な支出を減らしたいと考えているのかもしれません。一方、「もっと予算が必要だ」という人は、新しい設備を導入することで、将来の利益につながると考えているのかもしれません。

話し合いをまとめる人は、それぞれの考えを丁寧に聞き取り、両者の共通の目的、例えば「会社の利益を最大化すること」を確認します。そして、その共通の目的を達成するために、両者が納得できる妥協点を探ります。例えば、「新しい設備導入の効果を具体的に示し、本当に必要な予算額を明確にする」といった提案をすることで、両者の歩み寄りを促すことができます。

最終的に、参加者全員が納得できる結論にたどり着くことが、話し合いをまとめる人の最終的な目標です。そのためには、常に公平な立場を保ち、参加者全体の意見を尊重しながら、合意形成に向けて粘り強く取り組むことが求められます。

会議の成果をまとめ、共有

話し合いが終わった後、話し合いのまとめ役は、話し合われた内容や決まったことを整理し、参加者全員に伝える大切な役割を担います。議事録には、誰がどんな意見を出し、どんな結論になったのかを詳しく記録します。こうすることで、話し合いの内容がはっきりし、今後の活動に役立てることができます。例えば、新商品の開発会議で、価格設定について様々な意見が出た場合、最終的にどのような価格帯に決まったのか、その根拠は何かを記録することで、後から見直す際にも混乱を防ぐことができます。

また、話し合いで決まったことや、これから取り組むべき課題を参加者全員で共有することも重要です。全員が同じ認識を持つことで、協力して仕事を進める土台ができます。例えば、営業目標達成のための会議で、新しい販売戦略が決定した場合、その内容や具体的な行動計画を全員で共有することで、チーム全体で目標達成に向けて取り組むことができます。会議の内容を目に見える形にまとめ、関係者に分かりやすく伝えることで、会議の効果を高めることができます。例えば、会議で決定した事項を社内ポータルサイトに掲載したり、メールで共有したりすることで、参加できなかった人にも情報を伝えることができます。

さらに、会議の成果を共有する際には、単に情報を伝えるだけでなく、参加者からの意見や質問を受け付ける機会を設けることも大切です。これにより、更なる改善点を見つけることができ、次回の会議をより効果的に行うためのヒントを得ることができます。例えば、会議後にアンケートを実施したり、簡単な振り返りの場を設けたりすることで、参加者の満足度や課題を把握することができます。このように、会議後のまとめと共有を適切に行うことで、組織全体の活性化に繋げることができます。