人工知能の4つの分類

人工知能の4つの分類

AIを知りたい

先生、人工知能の分類について教えてください。レベル1からレベル4まであるそうですが、それぞれの違いがよく分かりません。

AIエンジニア

なるほど。エアコンのように、ただ温度を測って動くだけのものがレベル1の『単純な制御プログラム』だね。レベル2の『古典的な人工知能』は、お掃除ロボットのように色々な動きをするけれど、自分で考えて行動しているわけではないんだ。

AIを知りたい

レベル3とレベル4はどう違うんですか?どちらも学習するんですよね?

AIエンジニア

そうだね。レベル3の『機械学習を取り入れたAI』はデータから特徴を学ぶことができる。レベル4の『ディープラーニングを取り入れたAI』は、機械学習をさらに進化させたもので、より複雑な学習ができるんだ。だから、レベル4の方がより高度なことができるんだよ。

人工知能のおおまかな分類とは。

人工知能には、おおよそ4つの段階があります。一つ目は「単純な制御プログラム」です。エアコンのように、周りの温度を測って、勝手にスイッチを入れたり切ったりするものを指します。二つ目は「昔ながらの人工知能」です。お掃除ロボットのように、色々な動きができますが、自分で学ぶことはできません。三つ目は「機械学習を取り入れた人工知能」です。学習用のデータから、自分で特徴やルールを学ぶことができます。四つ目は「深層学習を取り入れた人工知能」です。深層学習は、機械学習の一つの方法である「ニューラルネットワーク」をもっと進化させたもので、三つ目の段階よりも、もっと高い精度で物事を判断できます。

はじめに

はじめに

近頃「人工知能」という言葉を、新聞やテレビなど様々なところで見聞きするようになりました。炊飯器や洗濯機といった家電製品から、電話や携帯端末、自動車に至るまで、実に様々な場面で人工知能が役立てられています。しかし、人工知能とは一体どのようなものを指すのでしょうか。漠然とすごい技術というイメージはあっても、具体的に説明できる人は少ないかもしれません。実は「人工知能」と一言で言っても、その能力や仕組みは様々です。まるで生き物のように賢い人工知能もあれば、特定の作業だけをこなす人工知能もあります。人工知能を正しく理解するためには、まずその種類を理解することが重要です。

この記事では、人工知能を制御の複雑さや学習の有無といった観点から四つの段階に分けて解説し、それぞれの違いを分かりやすく説明します。最初の段階は、あらかじめ決められたルールに従って単純な作業を行うものです。例えば、エアコンの温度調節機能などがこれにあたります。次の段階は、過去のデータに基づいて状況を判断し、適切な行動をとるものです。迷惑メールの自動振り分け機能などがこの例です。三番目の段階は、自ら学習し、状況に応じて最適な行動を自ら選択できるようになります。囲碁や将棋の対戦ソフトなどが代表的な例です。そして最終段階は、人間のように感情や意識を持ち、自ら思考し行動できる人工知能です。現状では、まだ実現には至っていませんが、多くの研究者が開発に取り組んでいます。

このように、それぞれの段階の特徴を理解することで、人工知能の全体像を掴むことができるでしょう。ひいては、人工知能が社会の中でどのように活用されているのか、そして今後どのように発展していくのかを理解する上で、重要な手がかりとなるでしょう。

段階 説明
1 あらかじめ決められたルールに従って単純な作業を行う エアコンの温度調節機能
2 過去のデータに基づいて状況を判断し、適切な行動をとる 迷惑メールの自動振り分け機能
3 自ら学習し、状況に応じて最適な行動を自ら選択できる 囲碁や将棋の対戦ソフト
4 人間のように感情や意識を持ち、自ら思考し行動できる(現状では未実現)

レベル1:単純な制御

レベル1:単純な制御

第一段階である単純制御について解説します。これは、あらかじめ人間が設定した手順に従って機械が動作する仕組みです。言わば、人間の指示を忠実に再現する自動人形のようなものです。この段階の人工知能は、自分で考えて行動しているわけではありません。

身近な例としてエアコンを考えてみましょう。エアコンには温度計が内蔵されており、部屋の温度を測ることができます。そして、あらかじめ設定された温度と比較し、設定温度より部屋の温度が高ければ冷房を、低ければ暖房を動かします。この一連の動作は、予め決められた手順に従って行われています。エアコン自身は、なぜ冷房や暖房をつけるのかを理解しているわけではなく、ただプログラムされた通りに動いているだけです。

エアコン以外にも、この単純制御の技術は様々な家電製品に利用されています。例えば、冷蔵庫は庫内の温度を一定に保つために、設定温度に応じて冷却装置を動かしたり止めたりします。洗濯機は、衣類の量や種類に合わせて、洗う時間や水の量を調整します。炊飯器は、お米の種類や量に合わせて、適切な火力と時間でご飯を炊き上げます。これらの家電製品は、全て人間が設定した手順に従って動作しているため、状況に応じて自ら判断を変えることはできません。

このように、第一段階の単純制御とは、予め決められた手順を自動で実行する技術と言えるでしょう。これは、人工知能の基礎となる重要な技術ですが、真の意味で「知能」と呼ぶにはまだ程遠い段階です。今後の技術発展により、より複雑な状況に対応できる人工知能の登場が期待されます。

製品 センサー 制御動作 設定
エアコン 温度計 冷房/暖房 目標温度
冷蔵庫 温度センサー 冷却装置の稼働/停止 目標温度
洗濯機 (衣類の量/種類を検知) 洗濯時間/水量 洗濯コース
炊飯器 (米の種類/量を検知) 火力/時間 炊飯モード

レベル2:古典的な人工知能

レベル2:古典的な人工知能

第二段階にあたるのが、伝統的な人工知能です。これは、単純な制御の仕組みよりも、もっと複雑な動作をこなせるようになります。具体的な例として、部屋を自動で掃除するロボットを想像してみてください。このロボットは、まず部屋の形を認識します。そして、障害物をよけながら、掃除を進めていきます。さらに、電池の残量が少なくなると自分で充電台に戻っていきます。このように、周りの状況に応じて、自分の行動をうまく変えることができるのです。

しかし、この段階の人工知能には、自ら学ぶ能力がありません。あらかじめ人間によってプログラムされた知識をもとに、決められた通りに動いているだけなのです。たとえば、掃除ロボットが新しいタイプの障害物に遭遇したとします。この時、ロボットはプログラムに登録されていないため、適切な対処法がわかりません。そのため、障害物を乗り越えようとして動けなくなったり、掃除を中断してしまったりする可能性があります。

伝統的な人工知能は、人間の指示通りに正確に動作するという点で優れています。工場の組立作業や、決まった手順で検査を行う作業など、複雑な工程を自動化するのに役立ちます。また、人間の作業負担を軽減し、効率を向上させる効果も期待できます。一方で、予期せぬ事態への対応力は低いため、常に人間の監視が必要となる場合もあります。今後の技術発展により、より柔軟で状況対応能力の高い人工知能が実現することが期待されています。

段階 特徴 メリット デメリット
第二段階:伝統的人工知能 複雑な動作が可能、状況に応じた行動が可能、自ら学習する能力はなし、あらかじめプログラムされた知識で動作 部屋を掃除するロボット(障害物を避け、電池残量が少なくなると充電台に戻る) 人間の指示通りに正確に動作、工場の組立作業や検査作業の自動化、人間の作業負担軽減と効率向上 予期せぬ事態への対応力は低い、人間の監視が必要な場合もある

レベル3:機械学習

レベル3:機械学習

三段階目の水準は「機械学習を組み込んだ人工知能」です。機械学習とは、膨大な量の資料から法則や類型を自ら学ぶ技術のことです。この水準の人工知能は、与えられた資料から自ら学び、その結果を踏まえて判断や予想を行います。

具体例として、迷惑メールの仕分け機能が挙げられます。この機能は機械学習を活用しています。大量のメール資料から迷惑メールの特徴を学び、届いたばかりのメールが迷惑メールかそうでないかを自動的に見分けます。迷惑メールの文面、送信元、件名などに潜む共通点を抽出し、それらを基に迷惑メールらしさを数値化することで、仕分けの精度を高めています。

また、商品の推薦機能も機械学習を用いた人工知能の活躍例です。過去の購買履歴や閲覧履歴といった利用者の行動パターンを分析し、その利用者が好みそうな商品を予測して提示します。利用者の行動パターンが変化すれば、それに合わせて推薦内容も調整されます。

この水準の人工知能は、状況の変化に柔軟に対応できる点が特徴です。新しい資料が加わる度に学習し、判断や予想の正確さを高めることができます。そのため、常に変化する環境にも適応し、質の高いサービスを提供し続けることが可能です。従来の人工知能では、予め全てのパターンを人間が定義する必要がありました。しかし、機械学習を導入することで、人工知能自身が資料からパターンを学び取るため、人間の負担が大きく軽減されます。これにより、より複雑で高度な課題にも対応できるようになりました。

水準 説明 具体例 特徴 従来との違い
三段階目 機械学習を組み込んだ人工知能。
膨大な量の資料から法則や類型を自ら学ぶ。
迷惑メールの仕分け機能
商品の推薦機能
状況の変化に柔軟に対応できる。
新しい資料が加わる度に学習し、判断や予想の正確さを高める。
予め全てのパターンを人間が定義する必要があったが、
機械学習によりAI自身が資料からパターンを学ぶため、人間の負担が軽減。

レベル4:ディープラーニング

レベル4:ディープラーニング

人工知能の中でも、近年特に注目を集めているのが「深層学習」です。この深層学習は、人間の脳の神経細胞の働きを模した仕組みである「ニューラルネットワーク」を何層にも重ねた構造を持つことから、その名が付けられました。

深層学習の大きな特徴は、膨大な量のデータを使って学習を行うことで、非常に複雑なパターンを認識できるようになることです。従来の機械学習では、人間が特徴を定義する必要がありましたが、深層学習では、データの中から自動的に特徴を抽出することができます。このため、画像認識や音声認識、自然言語処理といった分野において、飛躍的な精度の向上を実現しています。

例えば、自動運転技術を例に挙げると、周囲の環境を認識するために深層学習が活用されています。車に搭載されたカメラやセンサーから得られた情報に基づいて、道路の状態や他の車、歩行者などを認識し、安全な運転に必要な判断を行います。人間のように、標識を読み取ったり、信号の色を判断したりすることも、深層学習によって可能になります。

また、医療の分野でも、深層学習は活躍しています。レントゲン写真やCT画像から病気を診断したり、新薬の開発に役立てたりといった研究が進められています。さらに、顧客の購買履歴を分析して商品を推薦するシステムや、機械の故障を予測するシステムなど、様々な分野で深層学習は応用されています。

深層学習は、機械学習をさらに発展させた技術であり、より高度な人工知能を実現する上で欠かせない技術となっています。今後、さらに多くの分野で深層学習が活用され、私たちの生活をより豊かにしていくことが期待されています。

項目 説明
深層学習 人間の脳の神経細胞の働きを模した「ニューラルネットワーク」を何層にも重ねた構造を持つ学習方法。
特徴 膨大な量のデータを使って学習を行うことで、非常に複雑なパターンを認識できる。データの中から自動的に特徴を抽出できる。
応用分野 画像認識、音声認識、自然言語処理、自動運転、医療診断、新薬開発、商品推薦システム、故障予測システムなど
自動運転での例 カメラやセンサーの情報から道路、車、歩行者を認識し、安全な運転に必要な判断を行う。標識の読み取りや信号の色の判断も可能。
医療分野での例 レントゲン写真やCT画像から病気を診断、新薬の開発に役立てる。
その他応用例 顧客の購買履歴を分析して商品を推薦するシステム、機械の故障を予測するシステムなど
将来性 様々な分野での活用が期待され、生活をより豊かにしていくと予想される。

まとめ

まとめ

この記事では、人工知能を4つの段階に分けて詳しく説明しました。まず最初の段階は、あらかじめ決められたルールに従って動くだけの単純な制御プログラムです。例えば、家電製品の自動制御などがこれにあたります。この段階の人工知能は、状況に合わせて自分で判断することはできません。 次に、少し高度な人工知能として、エキスパートシステムがあります。これは、専門家の知識や経験をルール化し、それをもとに推論や判断を行うシステムです。医療診断支援や金融商品の推奨など、様々な分野で活用されています。しかし、この段階でも、あらかじめ設定されたルールに従っているに過ぎず、真の意味で自分で考えているとは言えません。三段階目は、機械学習を用いた人工知能です。機械学習とは、大量のデータからパターンや規則性を自動的に学習する技術です。これにより、人工知能は、過去のデータに基づいて、未来の予測や判断を行うことができます。例えば、迷惑メールのフィルタリングや商品のレコメンドなどが、この技術を利用しています。機械学習により、人工知能は、より柔軟で精度の高い判断ができるようになりました。そして、最も高度な人工知能として、深層学習(ディープラーニング)があります。深層学習は、人間の脳の神経回路網を模倣したニューラルネットワークを多層構造にすることで、複雑なデータから高度な特徴を学習することができます。画像認識や自然言語処理など、様々な分野で驚異的な成果を上げており、人工知能の発展を牽引しています。人工知能は日々進化を続け、私たちの生活に欠かせないものになりつつあります。それぞれの段階の特徴を理解することで、人工知能の仕組みや可能性、そして課題についても深く考えることができるでしょう。人工知能の今後の発展は、私たちの社会に大きな変化をもたらす可能性を秘めており、引き続き注目していく必要があるでしょう。同時に、人工知能が社会に及ぼす影響や倫理的な問題についても、しっかりと考えていく必要があります。

段階 説明
1. 制御プログラム あらかじめ決められたルールに従って動作する。状況に合わせて自分で判断することはできない。 家電製品の自動制御
2. エキスパートシステム 専門家の知識や経験をルール化し、それをもとに推論や判断を行う。 医療診断支援、金融商品の推奨
3. 機械学習 大量のデータからパターンや規則性を自動的に学習し、未来の予測や判断を行う。 迷惑メールのフィルタリング、商品のレコメンド
4. 深層学習(ディープラーニング) 人間の脳の神経回路網を模倣したニューラルネットワークを多層構造にすることで、複雑なデータから高度な特徴を学習する。 画像認識、自然言語処理