PoE:ケーブル一本でデータと電力供給

PoE:ケーブル一本でデータと電力供給

AIを知りたい

先生、「PoE」って聞いたことあるんですけど、何のことですか?

AIエンジニア

PoEは『Power over Ethernet』の略で、LANケーブルを使って電気を送る技術のことだよ。つまり、インターネットの線でデータを送るだけでなく、電気も一緒に送ることができるんだ。

AIを知りたい

へえ、便利ですね!どういう時に使うんですか?

AIエンジニア

例えば、天井に取り付けたネットワークカメラとか、無線LANのアクセスポイントなんかによく使われているよ。電源ケーブルを別に用意しなくていいから、設置が簡単になるんだ。

PoEとは。

「コンピュータなどに使われる、LANケーブルで電気を送る技術、『PoE(ピーオーイー)』について」

仕組み

仕組み

電力供給とデータ通信を一本のケーブルで同時に行う技術、それがPoE(イーサネット上の電力)です。従来、ネットワーク機器を使うには、データ送受信用の網線と電源供給用の電源線、二本のケーブルが必要でした。PoE対応機器であれば、網線一本でデータと電力の両方を送ることができるため、配線の手間を大幅に減らすことができます。この技術により、機器の設置場所の自由度が飛躍的に向上します。

PoEの規格は、IEEE 802.3af/at/btなどで定められており、規格によって供給できる電力量が異なります。PoE対応機器は、PoE対応の分配器や供給装置といった給電機器に接続することで利用できます。これらの給電機器は、データ信号と電力を一緒に網線に送り込みます。受電側の機器はこの電力を使って動作します。PoEは、インターネット電話、無線接続拠点、ネットワーク監視カメラなど、様々なネットワーク機器で活用されています。特に、天井や壁など、電源差込口の設置が難しい場所への機器設置に大変便利です。また、電源線が不要になるため、配線がすっきりし、見た目も美しくなります。

近年、PoE給電の電力量が増加しており、消費電力の大きな機器にも対応できるようになっています。これにより、PoEの適用範囲はますます広がっています。例えば、大型の表示装置や、高性能のネットワーク機器などにもPoE給電が利用できるようになってきています。PoE技術の進歩は、私たちの生活をより便利で快適なものにしてくれるでしょう。

項目 説明
PoEとは 電力供給とデータ通信を1本のケーブルで同時に行う技術
メリット
  • 配線の手間削減
  • 機器設置場所の自由度向上
  • 配線がすっきり、見た目も美しくなる
規格 IEEE 802.3af/at/btなど (供給電力量が異なる)
仕組み PoE対応の分配器/供給装置がデータ信号と電力を一緒に網線に送り込み、受電側の機器がその電力で動作
活用例 インターネット電話、無線接続拠点、ネットワーク監視カメラ、大型表示装置、高性能ネットワーク機器など
利点 電源差込口の設置が難しい場所への機器設置に便利
今後の展望 給電電力量の増加により、適用範囲が拡大

利点

利点

電力供給とデータ通信を一本のケーブルで同時に行う技術である、パワーオーバーイーサネット(PoE)には、多くの利点があります。まず、配線の手間とコストを大幅に削減できます。従来のように機器ごとに電源ケーブルを用意する必要がなく、通信ケーブルだけで済むため、ケーブルの購入費用や配線工事にかかる費用を節約できます。また、配線作業自体も簡素化されるため、設置時間を短縮し、人件費も抑えることができます。特に、オフィスや工場など、多数のネットワーク機器を設置する必要がある環境では、このメリットは大きなものとなります。

次に、機器の設置場所の自由度が向上します。電源コンセントの位置を気にすることなく、ネットワークケーブルが届く範囲であればどこにでも機器を設置できます。天井や壁面など、電源コンセントの設置が難しい場所でも容易に機器を設置できるため、より柔軟なネットワーク設計が可能となります。例えば、監視カメラを最適な位置に設置したり、無線LANアクセスポイントを電波の届きやすい場所に設置したりといったことが容易になります。

さらに、PoEは安全性の面でも優れています。PoE対応の給電装置は、接続された機器が必要とする電力量を自動的に判断し、適切な電力を供給します。過剰な電力を供給することがないため、過電流による機器の故障や火災のリスクを低減できます。また、PoE給電装置を無停電電源装置(UPS)に接続することで、停電時にもPoE対応機器への電力供給を維持することが可能です。これにより、防犯システムやセキュリティシステムなど、重要なシステムの安定稼働を確保できます。このように、PoEはコスト削減、設置の柔軟性、安全性の向上など、様々な利点を提供する技術です。

利点 説明 具体例
コスト削減 電源ケーブルと配線工事が不要になるため、ケーブル購入費用、配線工事費用、人件費を削減できる。 オフィスや工場など、多数のネットワーク機器を設置する必要がある環境
設置場所の自由度向上 電源コンセントの位置に制約されず、ネットワークケーブルが届く範囲であればどこにでも機器を設置できる。 天井や壁面への設置、監視カメラの最適な位置への設置、無線LANアクセスポイントの電波の届きやすい場所への設置
安全性向上 機器が必要とする電力量を自動的に判断し、適切な電力を供給するため、過電流による機器の故障や火災のリスクを低減。UPS接続で停電時にも電力供給を維持可能。 防犯システムやセキュリティシステムの安定稼働

種類

種類

電力供給とデータ通信を一本のケーブルで行う技術、イーサネット給電(PoE)には、様々な規格があり、供給可能な電力量と通信速度がそれぞれ異なります。機器に合わせた規格選びが、安定した動作に欠かせません。

まず、初期の規格であるIEEE 802.3af(PoE)は、最大15.4Wの電力を供給できます。比較的小さな電力で動作する機器、例えば、事務所で使う電話や、無線で情報をやり取りする中継器などに適しています。

次に、IEEE 802.3at(PoE+)は、PoEの約2倍の電力、最大30Wを供給できます。そのため、PoEでは電力が足りない機器、例えば、遠隔操作で向きやズームを調整できる監視カメラや、複数拠点で映像と音声を使った会議システムなどに利用できます。

さらに、IEEE 802.3bt(PoE++)が登場し、PoE+よりも大幅に大きな電力を供給できるようになりました。PoE++には二つの種類があります。一つはタイプ3と呼ばれるもので、最大60Wの電力を供給できます。もう一つはタイプ4と呼ばれるもので、最大90Wもの電力を供給できます。PoE++は、持ち運びできる計算機や大型の表示装置など、より多くの電力を必要とする機器に電力を送ることができます

PoEの規格は電力量だけでなく、データ通信の速度も定めています。PoEは100Mbps、PoE+は1Gbps、PoE++は10Gbpsの速度に対応しています。つまり、より新しい規格ほど、多くの電力を供給でき、速いデータ通信速度を実現できるのです。このように、PoEには様々な規格があり、提供できる電力量やデータ通信速度が異なります。使用する機器に適した規格を選ぶことで、機器の安定した動作を確保し、快適なネットワーク環境を構築することが可能になります。

規格 名称 最大電力供給 データ通信速度 適用機器例
IEEE 802.3af PoE 15.4W 100Mbps 事務所用電話、無線中継器
IEEE 802.3at PoE+ 30W 1Gbps 監視カメラ、テレビ会議システム
IEEE 802.3bt Type 3 PoE++ 60W 10Gbps ノートパソコン、大型ディスプレイ
IEEE 802.3bt Type 4 PoE++ 90W 10Gbps ノートパソコン、大型ディスプレイ

活用例

活用例

電力供給とデータ通信を一本のケーブルで同時に実現する技術である、パワー・オーバー・イーサネット(PoE)は、様々な場所で活用が進んでいます。

オフィスビルでは、PoE対応の機器が増えています。例えば、電話や無線でインターネットに接続するための機器、そして映像を記録するための機器などを設置する際に、PoEが利用されています。従来のように個別に電源を用意する必要がなく、ネットワークケーブル一本で電力供給とデータ通信を同時に行えるため、配線工事が簡略化されます。その結果、配線にかかる費用と時間を大幅に削減でき、さらにケーブルが少なくなることでオフィス内の景観もすっきりします。

工場や倉庫などの広い場所でもPoEは役に立ちます。ここでは、様々な情報を集めるための機器や機械を動かすための機器にPoEが活用されています。PoEを使うことで、電源の確保が難しい場所にも機器を設置できるため、物の状態を把握する仕組みを簡単に構築できます。

屋外での利用もPoEの得意とするところです。街路や駐車場などに設置された監視カメラ、屋外に設置された無線でインターネットに接続するための機器などにPoEが利用されています。電源の確保が難しい屋外でも、ケーブル一本で電力とデータを送ることができるPoEは、大変便利です。

さらに、街頭や駐車場の照明を制御する仕組みにもPoEが活用されています。PoEは、様々な機器への電力供給を一本のケーブルでまかなえるため、システム全体をシンプルにし、導入や維持にかかる費用を削減する効果があります。このようにPoEは、様々な場所で私たちの生活を支える技術として、ますます活用が広がっています。

場所 PoEの用途 PoEのメリット
オフィスビル
  • 電話
  • 無線LANアクセスポイント
  • 監視カメラ
  • 配線工事の簡略化
  • 費用と時間の削減
  • オフィスの景観改善
工場/倉庫
  • センサー
  • 制御機器
  • 電源確保が難しい場所への設置
  • 監視システムの構築容易化
屋外
  • 監視カメラ
  • 無線LANアクセスポイント
  • 街灯/駐車場照明制御
  • 電源確保が難しい場所への設置
  • システムの簡素化
  • 導入/維持費用削減

今後の展望

今後の展望

電力供給とデータ通信を一本のケーブルで同時に行う技術、すなわちPoE技術は、今後ますます発展していくと見られています。これまでにも、この技術は私たちの生活に様々な恩恵をもたらしてきましたが、今後はさらに供給電力が増加したり、データ通信速度が向上したりといった進化が期待されます。

こうした技術的な進歩は、PoE技術の応用範囲を大きく広げ、私たちの生活をより便利にしてくれるでしょう。例えば、PoE給電機能を持つUSB Type-C端子が登場すれば、ノートパソコンやタブレット端末など、より多くの機器にLANケーブルを通して電力を供給することが可能になります。これまでのように、それぞれの機器に専用の電源アダプタを接続する必要がなくなり、机の上がすっきりするだけでなく、コンセントの数を減らすこともできるでしょう。

また、PoE技術とあらゆるものがインターネットにつながる技術、いわゆるIoT技術を組み合わせることで、建物全体を賢く管理するスマートビルディング都市全体を効率的に運営するスマートシティといった未来の都市づくりにも貢献すると期待されています。例えば、街路灯や監視カメラ、センサーなどにPoE技術を用いて電力供給とデータ通信を行うことで、配線の手間を省き設置コストを削減できるだけでなく、集めたデータをリアルタイムで分析し、都市の安全性を高めたり、エネルギー消費を最適化したりすることが可能になります。

このように、PoE技術はLANケーブル一本で電力供給とデータ通信を実現できるという手軽さから、今後ますます様々な分野で利用されていくと考えられます。より多くの電力を必要とする機器への電力供給や、今までにない新しい用途への応用など、PoE技術の進化から目が離せません

項目 内容
技術概要 電力供給とデータ通信を一本のケーブルで同時に行う技術
将来展望 供給電力の増加、データ通信速度の向上
応用事例1 PoE給電機能を持つUSB Type-C端子による機器への電力供給 (ノートパソコン、タブレット端末など)
応用事例1のメリット 電源アダプタ不要、机上整理、コンセント数削減
応用事例2 IoT技術との組み合わせによるスマートビルディング、スマートシティへの貢献 (街路灯、監視カメラ、センサーなど)
応用事例2のメリット 配線手間削減、設置コスト削減、リアルタイムデータ分析による都市の安全性向上、エネルギー消費最適化
今後の展望 様々な分野での利用拡大、高電力機器への電力供給、新規用途への応用