画像認識の立役者:CNN

画像認識の立役者:CNN

AIを知りたい

先生、「CNN」って、普通のニューラルネットワークと何が違うのですか?

AIエンジニア

良い質問だね。CNNは、普通のニューラルネットワークと違って、「畳み込み層」と「プーリング層」を持っているんだよ。

AIを知りたい

「畳み込み層」と「プーリング層」?それって何をするんですか?

AIエンジニア

簡単に言うと、畳み込み層は画像から重要な特徴を抽出して、プーリング層は抽出した特徴の位置のずれを吸収する役割を持つんだ。だから、画像が少しずれていても、CNNは同じものだと認識できるんだよ。

CNNとは。

「人工知能に関係する言葉、『畳み込みニューラルネットワーク』(英語のConvolutional Neural Networkを短くしたCNN)について説明します。これは、コンピューターが画像を見て、そこに写っている模様や物体を認識するためによく使われるネットワークの一つです。畳み込み層と呼ばれる部分にあるフィルターを使って、データの形を変えるのが大きな特徴です。今では、画像認識や動いているものを捉えることに使われるネットワークのほとんどが、この畳み込みニューラルネットワークです。普通のニューラルネットワークとは違い、畳み込み層とプーリング層という部分でできています。畳み込み層では、取り出した特徴をまとめて特徴マップを作ります。そして、プーリング層では、この特徴マップを要約します。特徴マップを小さな四角に区切り、それぞれの四角の中の最大値を選びます。このプーリングのおかげで、特徴が画像のどの場所に正確にあるかを気にせずとも、画像の中にある特徴を見つけることができるのです。」

畳み込みニューラルネットワークとは

畳み込みニューラルネットワークとは

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、人の脳の視覚に関する働きをまねて作られた、深層学習という種類の計算手法の一つです。特に、写真や動画といった視覚的な情報から、その特徴を掴むことに優れています。これまでの写真の認識手法では、例えば「耳の形」や「目の位置」といった特徴を人が一つ一つ決めて、計算機に教える必要がありました。しかし、CNNは大量の写真データを読み込むことで、写真の特徴を自分で学習できるのです。例えば、たくさんの猫の写真を読み込ませることで、CNNは猫の特徴を自然と理解し、猫を認識できるようになります。これは、まるで人が多くの猫を見て、猫の特徴を覚える過程に似ています。

CNNは「畳み込み層」と呼ばれる特別な層を持っています。この層では、小さなフィルターを写真全体にスライドさせながら、フィルターに引っかかる特徴を探します。このフィルターは、初期状態ではランダムな値を持っていますが、学習が進むにつれて、猫の耳や目といった特徴を捉える値へと変化していきます。まるで、職人が様々な道具を試しながら、最適な道具を見つけるように、CNNも最適なフィルターを探し出すのです。

CNNの学習には、大量のデータと、それを処理するための高い計算能力が必要です。近年、計算機の性能が飛躍的に向上したことで、CNNの性能も大きく進歩しました。現在では、写真の分類、写真の中の物体の位置特定、新しい写真の作成など、様々な分野で目覚ましい成果を上げています。CNNは、自動運転技術や医療画像診断など、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めた技術と言えるでしょう。

項目 説明
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)とは 人の脳の視覚に関する働きをまねて作られた深層学習の一種。写真や動画といった視覚的な情報から特徴を掴むことに優れている。
従来の写真認識手法との違い 従来は人が特徴を一つ一つ決めて計算機に教える必要があったが、CNNは大量のデータから特徴を自分で学習できる。
CNNの学習方法 大量の写真データを読み込むことで、写真の特徴を学習する。例:猫の写真を大量に読み込むことで、猫の特徴を理解し、猫を認識できるようになる。
畳み込み層の役割 小さなフィルターを写真全体にスライドさせながら、フィルターに引っかかる特徴を探す。フィルターは学習が進むにつれて、特徴を捉える値へと変化する。
CNNの学習に必要なもの 大量のデータと高い計算能力。
CNNの応用分野 写真の分類、写真の中の物体の位置特定、新しい写真の作成など。自動運転技術や医療画像診断などにも応用可能。

畳み込み層の働き

畳み込み層の働き

画像認識の分野で活躍する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の中核を担うのが、畳み込み層と呼ばれる処理です。この畳み込み層は、一体どのような仕組みで画像の特徴を捉えているのでしょうか。

畳み込み層の働きを理解する上で重要なのが「フィルター」と呼ばれる小さな窓です。このフィルターは、数値が並んだ小さな領域で、画像の上を滑るように移動しながら、その下にある画像の部分とフィルターの対応する数値を掛け合わせ、その合計を計算します。この計算によって得られた値は、新しい画像の一部となります。

フィルターは、画像の中の特定の特徴、例えば、横線、縦線、斜めの線、あるいは丸や四角といった形を捉えるように設計されています。フィルターの種類は複数用意されており、それぞれが異なる特徴を検出します。例えば、あるフィルターは横線を捉えることに特化し、別のフィルターは縦線を捉えることに特化しているといった具合です。

畳み込み層では、複数のフィルターを画像全体に適用することで、様々な特徴を抽出します。抽出した特徴は、次の層へと渡されます。最初の層では、単純な線や点といった基本的な特徴が抽出されます。そして、後の層では、前の層で抽出された特徴を組み合わせることで、より複雑な特徴、例えば、角や模様、更には顔のパーツといった高度な特徴が抽出されるようになります。このように、層を重ねるごとに、より複雑で抽象的な特徴を捉えることができるのです。

フィルターの値は、学習を通して自動的に調整されます。大量の画像データを使って学習を行うことで、それぞれのフィルターが、データに含まれる特徴を効率的に捉えるように最適化されていきます。これにより、CNNは、様々な種類の画像を高い精度で認識できるようになるのです。

畳み込み層の働き

プーリング層の役割

プーリング層の役割

絵を細かく分析する畳み込み層の後には、プーリング層が重要な役割を担います。畳み込み層では、例えば猫の絵であれば、耳や目、鼻といった様々な部分を特徴として捉え、どの場所にどれくらい強くその特徴が現れているかを数値で示した地図のようなもの(特徴地図)を作ります。この特徴地図は、絵の細かな情報まで含んでいるため、データ量が非常に大きくなってしまいます。そこで、プーリング層の出番です。

プーリング層は、この特徴地図を縮小する働きをします。具体的には、特徴地図をいくつかの区画に分け、各区画の中で最も大きな値(最大値プーリング)や平均の値(平均値プーリング)を選び出し、新たな縮小版の特徴地図を作成します。

プーリング層には、幾つかの利点があります。まず、絵が少しずれていたり、形が少し変わっていたりしても、同じ特徴として認識できるようになります。例えば、猫の顔が少し傾いていても、プーリングによって耳や目の特徴の位置のずれが吸収され、「猫の顔」として認識できるのです。これは、位置ずれへの耐性と呼ばれます。

次に、過学習を防ぐ効果があります。過学習とは、学習データに過剰に適応しすぎてしまい、未知のデータに対してうまく対応できなくなる現象です。プーリングによって特徴地図が縮小され、情報の量が減ることで、この過学習が起こりにくくなります。

最後に、計算の手間を減らす効果もあります。データ量が減るため、後の処理が軽くなり、計算速度が向上します。これらの利点により、プーリング層は画像認識をはじめとする様々な分野で広く活用されています。

機能 利点
畳み込み層 画像から特徴(耳、目、鼻など)を抽出し、特徴地図を作成
プーリング層 特徴地図を縮小(最大値/平均値プーリング) 1. 位置ずれへの耐性
2. 過学習の防止
3. 計算コストの削減

全体像の把握

全体像の把握

画像認識の分野で活躍する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、人間の視覚システムを参考に作られています。まるで人が物を見るように、何層もの処理を重ねることで、画像の中から重要な特徴を段階的に捉えていくのです。この処理の仕組みを、全体像として捉えてみましょう。

CNNの心臓部には、畳み込み層とプーリング層と呼ばれる二つの層が、交互に積み重なっています。最初の畳み込み層では、画像の小さな領域に注目し、そこに含まれるごく基本的な特徴、例えば輪郭や角などを抽出します。次のプーリング層では、抽出した特徴の中から重要なものだけを残し、画像の情報をギュッと縮めます。これを繰り返すことで、後の層では、前の層で見つけた単純な特徴を組み合わせ、より複雑な特徴を捉えることができるようになります。例えば、最初の層で見つけた輪郭や角を組み合わせて、次の層では目や鼻などのパーツを認識する、といった具合です。

層を重ねるごとに、捉えられる特徴はより複雑で抽象的なものへと変化していきます。最初の層では単なる線や点だったものが、層が進むにつれて、次第に目や鼻、そして顔全体といったように、より高度な情報へと統合されていくのです。最終的には、これらの複雑な特徴を基に、画像全体の分類、例えば「これは猫の画像だ」といった判断や、画像中の特定の物体の位置を特定する物体検出などを行います。

このように、CNNは階層的な処理を行うことで、複雑な画像認識を可能にしているのです。これは、人が物を見るときとよく似ています。私たちも、まず目や鼻などのパーツを見て、それから全体を見て「これは顔だ」と認識します。CNNも同様に、段階的な処理によって、画像の中に隠された情報を巧みに読み解いていくのです。

応用例と今後の展望

応用例と今後の展望

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、図形を認識する技術において、既に様々な場面で使われています。私たちの暮らしをより快適で安全なものにするために、自動運転車、医療における図形診断、顔認証といった多くの分野で活躍しています。

自動運転車では、周りの様子を把握するためにCNNが役立っています。CNNは歩行者や他の車を見つけ出すことで、安全な運転を支えています。周りの状況を瞬時に判断し、安全な経路を選んだり、危険を予測してブレーキをかけたりするのに役立っています。

医療における図形診断では、レントゲン写真やMRI写真から患部を見つけるためにCNNが使われています。CNNは医師の診断を助けることで、病気の早期発見や早期治療に貢献しています。例えば、CNNは肺がんの早期発見や、心臓病の診断支援など、様々な病気の診断に役立っています。

顔認証では、顔写真から個人を特定するためにCNNが用いられています。セキュリティーを強化する仕組みや、本人確認などに利用されています。例えば、スマートフォンのロック解除や、ビルの入退室管理などで、私たちの生活をより安全にしています。

今後も、CNNの研究開発は続けられ、より高度な図形認識技術が生まれると期待されています。動画を詳しく調べる技術や、立体的な図形を認識する技術、より複雑な場面を理解する技術など、様々な分野への応用が期待されています。例えば、防犯カメラの映像から不審な行動を自動的に検知したり、工場で製品の欠陥を自動的に見つけたりするなど、幅広い分野での活用が期待されています。

また、CNNをより効率的に学習させる方法や、少ない情報で学習させる方法も研究されています。これらの技術が確立されれば、CNNの応用範囲はさらに広がり、私たちの生活はより便利で豊かなものになるでしょう。

分野 CNNの役割 活用例
自動運転車 歩行者や他の車を認識し、安全な運転を支援 安全な経路選択、危険予測とブレーキ
医療における図形診断 レントゲン写真やMRI写真から患部を発見し、医師の診断を支援 肺がんの早期発見、心臓病の診断支援
顔認証 顔写真から個人を特定 スマートフォンのロック解除、ビルの入退室管理
今後の応用 動画分析、立体図形認識、複雑な場面理解 防犯カメラの不審行動検知、工場での製品欠陥検出