平均と平均値:その違いとは?

平均と平均値:その違いとは?

AIを知りたい

先生、「平均」って聞くと普通は全部の数を足して、その個数で割るって意味ですよね?AIの分野でも同じ意味で使われているんですか?

AIエンジニア

良い質問だね。普段私たちが使う「平均」と同じように、AIでも多くの場合、全ての値を足し合わせてデータの個数で割った値のことを指すよ。これは算術平均と呼ばれるものだね。

AIを知りたい

じゃあ、AIの分野でも同じように考えていいんですね。何か特別な場合もあるんですか?

AIエンジニア

そうだね、基本的には同じと考えていいよ。ただし、場合によっては、例えば異常値と呼ばれる極端に大きな値や小さな値が含まれる場合、算術平均ではデータ全体の傾向を正しく捉えられないことがある。そういう場合は、中央値や最頻値など、別の統計量を使うこともあるんだよ。

Meanとは。

人工知能の分野でよく出てくる「平均」という言葉について説明します。普段の生活で「平均」と言うときには、ほとんどの人が英語で「アベレージ」という言葉を思い浮かべるでしょう。確かに、普通の会話で「平均」は「アベレージ」と訳されます。

平均の種類

平均の種類

私たちが普段「平均」と言う時、特に種類を考えずに使っていることが多いでしょう。例えば、テストの点数の平均点や、一ヶ月の食費の平均額などを計算する際に、深く考えることなく「平均」という言葉を使います。しかし、統計の世界では「平均」には様々な種類があり、それぞれ計算方法や使い道が違います。データの特徴をより正しく捉えるためには、これらの平均をきちんと使い分ける必要があるのです。

代表的な平均の種類としては、算術平均、幾何平均、調和平均などがあります。算術平均は、全ての値を足し合わせて、値の個数で割るという、最もよく知られている平均の計算方法です。例えば、3つの値5、7、9の算術平均は、(5+7+9)÷3=7となります。これは、テストの平均点や、一日の平均気温などを計算する際に用いられます。

一方、幾何平均は、値を全て掛け合わせて、その値の個数乗根を求めるという計算方法です。これは、成長率や変化率といった、比率の平均を求める際に適しています。例えば、ある商品の価格が一年目に2倍、二年目に3倍になった場合、全体の平均的な増加率は幾何平均を用いて計算します。具体的には、(2×3)の2乗根、つまり√6≒2.45倍となります。

調和平均は、値の逆数の算術平均を求め、その逆数をとるという計算方法です。これは、速度や割合の平均を求める際に適しています。例えば、行きは時速60キロ、帰りは時速40キロで移動した場合の平均速度は、調和平均を用いて計算します。具体的には、(1/60 + 1/40) ÷ 2 = 1/48 の逆数、つまり時速48キロとなります。

このように、平均には様々な種類があり、それぞれ計算方法と使い道が異なります。データの種類や目的に合わせて適切な平均値を選ぶことで、より正確な分析を行うことができます。どの平均を使うべきか迷った時は、それぞれの平均がどのような性質を持っているかを思い出し、状況に応じて適切なものを選ぶようにしましょう。

平均の種類 計算方法 用途
算術平均 全ての値を足し合わせ、値の個数で割る テストの平均点、一日の平均気温 5, 7, 9の算術平均は (5+7+9)÷3 = 7
幾何平均 値を全て掛け合わせて、その値の個数乗根を求める 成長率や変化率といった比率の平均 一年目に2倍、二年目に3倍の増加率の幾何平均は√(2×3)≒2.45倍
調和平均 値の逆数の算術平均を求め、その逆数をとる 速度や割合の平均 行き60km/h、帰り40km/hの平均速度は (1/60 + 1/40) ÷ 2 = 1/48 の逆数、つまり48km/h

算術平均

算術平均

算術平均は、私たちが日常で最もよく使う平均の種類であり、一般的に「平均」とだけ言った場合、この算術平均を指します。小学校で初めて平均を習うときも、この算術平均から学びます。算術平均の計算方法はとても簡単です。まず、全てのデータを合計します。そして、その合計値をデータの個数で割るだけです。

例えば、クラスの生徒5人がテストを受け、それぞれの点数が60点、70点、80点、90点、100点だったとします。この5人のテストの平均点を求めるには、まず全点数を合計します。60+70+80+90+100=400点です。次に、この合計点を生徒の人数である5で割ります。400÷5=80点。よって、このクラスのテストの平均点は80点となります。

このように、算術平均は計算が容易で、その意味も理解しやすいため、様々な場面で使われています。毎日の気温の平均や、商品の平均価格などを求める際にも、この算術平均が用いられます。しかし、算術平均には注意点もあります。極端に大きな値や小さな値がデータの中に含まれている場合、算術平均はその値に大きく影響されてしまうのです。例えば、先ほどのテストで、1人の生徒だけが特別に優秀で200点を取っていたとします。他の4人の生徒の点数は変わらず、60点、70点、80点、90点だったとしましょう。この場合、全点数の合計は60+70+80+90+200=500点となり、平均点は500÷5=100点となります。1人だけが突出して高い点数を取ったことで、平均点が80点から100点へと大きく上がってしまいました。このように、極端な値が含まれる場合、算術平均はデータ全体の傾向を正しく表せないことがあるため、注意が必要です。このような場合は、中央値や最頻値といった、別の平均を用いる方が適切な場合があります。

項目 説明
定義 全てのデータを合計し、データの個数で割った値
計算例
  • データ:60, 70, 80, 90, 100
  • 合計:400
  • 平均:400 ÷ 5 = 80
メリット
  • 計算が容易
  • 意味が理解しやすい
使用例
  • 気温の平均
  • 商品の平均価格
注意点 極端な値に影響されやすい

  • データ:60, 70, 80, 90, 200
  • 平均:500 ÷ 5 = 100
代替手段
  • 中央値
  • 最頻値

幾何平均

幾何平均

幾何平均とは、数値の積を元に計算する平均の一種です。例えば、ある商品の価格の変動率を平均したい場合、毎年の上昇率や下落率を単純に足し算して平均を出す(算術平均)のは適切ではありません。なぜなら、最初の年に価格が2倍になり、次の年に半分になった場合、変化がないように見えますが、算術平均では変化があったように見えてしまうからです。このような場合に幾何平均が役立ちます。

幾何平均の計算方法は、まず全ての数値を掛け合わせ、次にその積のデータの数乗根を求めます。具体的には、3つの数値a、b、cの幾何平均を求める場合、まずa、b、cを掛け合わせ、その積の3乗根を計算します。

幾何平均は、比率や割合、特に成長率や変化率の平均を求めるのに適しています。例えば、ある会社の過去3年間の売上高成長率がそれぞれ10%、20%、-30%だったとします。この場合、幾何平均を用いることで、3年間の平均成長率をより正確に把握できます。幾何平均を用いると、極端に大きな値や小さな値の影響を受けにくいため、全体の傾向を正しく反映した平均値を得ることができるのです。

幾何平均と算術平均を比較すると、幾何平均は常に算術平均以下になります。これは、幾何平均が極端な値の影響を受けにくい性質を持っているためです。また、全ての数値が同じ値の場合、幾何平均と算術平均は同じ値になります。

幾何平均は金融や経済の分野で広く使われています。例えば、投資の年間平均利回りや、人口増加率などを計算する際に用いられます。また、特定の期間における平均的な変化率を算出する際にも有用です。このように幾何平均は、様々な場面でデータを正しく理解し、適切な判断を下すために役立つツールと言えるでしょう。

項目 説明
定義 数値の積を元に計算する平均の一種。比率や割合、特に成長率や変化率の平均を求めるのに適している。
計算方法 全ての数値を掛け合わせ、その積のデータの数乗根を求める。
a, b, c の幾何平均は (a * b * c)^(1/3)
使用例 – 売上高成長率の平均
– 投資の年間平均利回り
– 人口増加率
– 特定期間の平均変化率
算術平均との関係 – 幾何平均 ≦ 算術平均
– 全ての値が同じ場合、幾何平均 = 算術平均
利点 極端な値の影響を受けにくい。
用途 金融、経済分野

調和平均

調和平均

調和平均とは、数値の逆数の平均を用いて計算される平均値のことです。平均速度や仕事効率といった、逆数の関係にある値を扱う際に、その真の平均値を算出するために用いられます。

例えば、同じ距離を異なる速度で往復したとしましょう。行きは時速60キロメートル、帰りは時速30キロメートルだったとします。単純に算術平均、つまり二つの速度を足して2で割ると時速45キロメートルになりますが、これは実際の平均速度とは異なります。なぜなら、遅い速度である時速30キロメートルで走る時間が長いため、全体の平均速度は時速45キロメートルよりも遅くなるからです。

このような場合に、調和平均を用いることで正確な平均速度を求めることができます。調和平均は、データの個数を、各データの逆数の和で割ることで計算されます。この例では、データの個数は2(行きと帰り)、それぞれの速度の逆数は1/60と1/30です。これらの逆数の和は3/60となり、2をこれで割ると40になります。つまり、真の平均速度は時速40キロメートルとなります。

調和平均は、速度以外にも、仕事効率や生産性など、逆数の関係にある様々な値の平均を求める際に活用できます。例えば、複数人で共同作業を行う場合、それぞれの作業効率を単純に平均するのではなく、調和平均を用いることで、全体の作業効率をより正確に把握することができます。このように、調和平均は、算術平均では適切な結果が得られない場合に、より正確な平均値を求めるための有効な手段となります。

項目 内容
定義 数値の逆数の平均を用いて計算される平均値
用途 平均速度、仕事効率など、逆数の関係にある値の真の平均値を算出する際に使用
例:平均速度 行き60km/h、帰り30km/hの場合、
算術平均:(60+30)/2 = 45km/h
調和平均:2 / (1/60 + 1/30) = 40km/h
真の平均速度は40km/h
計算方法 データの個数 / (各データの逆数の和)
その他活用例 仕事効率、生産性など
利点 算術平均では適切な結果が得られない場合に、より正確な平均値を求められる

平均の使い分け

平均の使い分け

数値の真ん中あたりを表す値、すなわち平均値は、よく使われる統計量の一つです。しかし、一口に平均といっても、実は様々な種類があり、それらを正しく使い分けることが、データ分析をする上でとても大切です。ただ「平均」とだけ言われても、どの種類の平均なのかが分からず、誤解を招く恐れがあるからです。主な平均値として、算術平均、幾何平均、調和平均が挙げられます。これらの特徴を理解し、分析の目的に合った平均値を選ぶことで、データの真の姿が見えてきます。

まず、算術平均は、全ての数値を足し合わせ、その合計を数値の個数で割ることで求められます。これは、数値全体の大きさを把握したい時に役立ちます。例えば、ある月の商品の売上合計を日数で割れば、一日あたりの平均売上高が分かります。次に、幾何平均は、数値を全て掛け合わせ、その積の、数値の個数乗根を求めることで計算されます。これは、変化率や比率の平均を見るのに適しています。例えば、数年間にわたる物価上昇率の平均を求める際に用いられます。最後に、調和平均は、数値の逆数の算術平均を求め、その逆数を取ることで計算されます。これは、異なる単位で測定された数値の平均を求める際に有効です。例えば、ある距離を往復する際の、行きと帰りの速度が異なる場合の平均速度を求める際に使われます。

このように、それぞれの平均値には異なる特性があり、適切な場面で使用することで、データの持つ情報をより正確に読み解くことができます。もし、平均値の種類を誤って使用してしまうと、データの解釈を間違え、誤った結論に至る可能性があります。ですから、データ分析を行う際は、どの平均値が最も適切なのかを注意深く検討することが必要です。

平均の種類 計算方法 用途
算術平均 全ての数値を足し合わせ、数値の個数で割る 数値全体の大きさの把握 ある月の商品の売上合計を日数で割って、一日あたりの平均売上高を求める
幾何平均 数値を全て掛け合わせ、その積の、数値の個数乗根を求める 変化率や比率の平均 数年間にわたる物価上昇率の平均を求める
調和平均 数値の逆数の算術平均を求め、その逆数を取る 異なる単位で測定された数値の平均 ある距離を往復する際の、行きと帰りの速度が異なる場合の平均速度を求める

用語の理解

用語の理解

統計の世界では、「平均」はデータの中心的な位置を示す値であり、データ全体の性質を掴むために使われます。たくさんの数値が集まった時、その数値全体がどのあたりに集まっているのかを知る手がかりとなるのが平均です。例えとして、ある学年の生徒全員の試験の点数を考えてみましょう。個々の点数を見るだけでは全体の成績状況は分かりづらいですが、平均点を求めることで、学年全体の成績レベルを大まかに把握することができます。

平均には様々な種類があり、それぞれ計算方法や使い道が異なります。よく知られているのは、全ての数値を足し合わせてデータの数で割る「算術平均」です。これは、先ほどの試験の点数の例のように、全体の平均的なレベルを知るのに役立ちます。他に、数値を小さい順に並べた時に真ん中に来る値である「中央値」や、最も多く出現する値である「最頻値」などがあります。中央値は、極端に大きな値や小さな値の影響を受けにくいという特徴があり、例えば、所得の分布など、一部の極端な値に引っ張られることなく中心的な値を知りたい場合に適しています。最頻値は、商品の売れ筋や人気のある色など、最も多いものに興味がある場合に役立ちます。

どの平均を使うかは、データの種類や分析の目的に合わせて適切に選ぶことが大切です。例えば、先ほどの試験の点数で、もし一部の生徒が非常に高い点数を取っていて、他の生徒の点数が低い場合、算術平均は高い点数に引っ張られて全体のレベルを高く見積もってしまう可能性があります。このような場合は、中央値を使うことで、極端に高い点数に影響されずに、より実態に近い平均的な点数を把握することができます。

このように、平均は統計学でとても重要な概念であり、データ分析には欠かせないものです。データの特性をより正確に捉え、より精度の高い分析を行うためには、それぞれの平均の特徴を理解し、適切に使い分ける必要があります。平均を正しく理解し活用することで、データからより多くの情報を引き出し、より良い判断を行うことができます。

平均の種類 計算方法 用途 長所 短所
算術平均 全ての数値を足し合わせてデータの数で割る 全体の平均的なレベルを知る 計算が簡単で理解しやすい 極端な値に影響を受けやすい
中央値 数値を小さい順に並べた時に真ん中に来る値 極端な値に影響されずに中心的な値を知りたい場合 極端な値に影響を受けにくい データの数が少ない場合は代表値として適切でない場合がある
最頻値 最も多く出現する値 商品の売れ筋や人気のある色など、最も多いものに興味がある場合 データの分布形状に関係なく求められる データが連続値の場合、適切でない場合がある