標準偏差:データのばらつきを理解する
標準偏差とは、数値データのばらつき具合、つまり、データがどれくらい散らばっているかを示す指標です。平均値だけではわからないデータの性質を捉えるために使われます。たとえば、学校のテストで考えてみましょう。同じクラスで平均点が70点だったとしても、全員がちょうど70点だった場合と、30点から100点まで点数がバラバラだった場合では、様子が全く違いますよね。標準偏差は、このような違いを数値で表すことができます。
標準偏差を計算するには、まず平均値を求めます。それから、それぞれのデータが平均値からどれくらい離れているか(これを偏差といいます)を計算します。偏差をそのまま平均してしまうと、プラスとマイナスで打ち消しあってゼロになってしまうため、偏差を二乗してから平均します。こうして出てきた値を分散といいます。分散は偏差の二乗の平均なので、元のデータよりも単位が大きくなってしまっています。そこで、分散の平方根をとることで、元のデータと同じ単位に戻します。これが標準偏差です。標準偏差が大きいほど、データは平均値から遠く離れて散らばっていることを意味します。
標準偏差は、統計学や機械学習など、様々な分野で活用されています。たとえば、製造業では、製品の品質管理に標準偏差が使われています。製品の寸法や重さのばらつきを標準偏差で管理することで、不良品の発生を抑えることができます。また、金融の世界でも、投資のリスクを測る指標として標準偏差が使われています。標準偏差が大きいほど、投資のリターンも大きく変動する可能性が高いことを示しています。このように、標準偏差はデータのばらつきを理解し、分析するための重要な道具となっています。