著作物とは?定義と具体例
AIを知りたい
先生、『著作物』ってAIが作ったものも当てはまるんですか?例えば、AIで作った絵とかってどうなんでしょう?
AIエンジニア
いい質問だね。AIが作った絵が著作物になるかは、現状では難しい問題なんだ。というのも、著作権法では『思想・感情を創作的に表現したもの』を著作物と定義している。AIは人間のように感情を持っていないため、AIが作ったものが『創作的に表現したもの』と言えるかどうかの判断が難しいんだ。
AIを知りたい
じゃあ、AIが作ったものは全部著作物じゃないってことですか?
AIエンジニア
そうとも言い切れないんだ。AIを作る過程で人が大きく関わっている場合、例えば人がAIに学習させるデータを選んだり、AIの出力結果を修正したりしている場合は、人の創作性が認められる場合もある。だから、AIが作ったもの全てが著作物ではないとは限らないし、ケースバイケースで判断される必要があるんだ。
著作物とは。
人工知能に関わる言葉である「著作物」について説明します。著作物とは、著作権法という法律の第二条第一項第一号で、考えや気持ちを独創的に表現したものとされています。そのため、小説や漫画、イラスト、音楽、映画など、独創的に表現されたものは著作物となります。しかし、単なる思いつきの場合は著作物とはなりませんので、気を付ける必要があります。
著作物の定義
著作物とは、人の考えや気持ちを形にしたものです。作った人の個性が出ていることが大切で、法律では著作権法というもので守られています。この法律では、作った人の個性が出ている作品が著作物として守られると書かれています。
ここで大切なのは、他の作品とは違う個性があるということです。ただ事実を並べたものや、ありきたりの表現では著作物とは認められません。例えば、新聞の記事は事実を伝えることが目的なので、個性はあまり出ていないと考えられています。一方で、同じ出来事を題材にした小説は、作者の想像力や表現力が加わることで、個性が出ていると判断され、著作物として認められることが多いです。
また、著作物として認められるには、何らかの形になっている必要があります。頭の中にある考えだけでは著作物とはなりません。例えば、文章や絵、音楽など、何らかの形にすることが著作権で守ってもらうための最初のステップです。
形にする方法は何でも良いというわけではなく、ある程度の完成度が必要です。例えば、小説のあらすじだけを書いたメモ書きのような断片的なものは、著作物として認められない可能性があります。ある程度のまとまりがあり、全体として作者の表現が見て取れるような状態になっている必要があります。また、著作権は自動的に発生します。作品を登録する必要はありません。作品が完成した時点で、作者に著作権が発生します。
このように、著作物とは何かを正しく理解することで、自分の作品を守ること、そして他人の作品を尊重することの大切さを学ぶことができます。創造性を育み、文化を発展させていくためにも、著作権について正しく理解することは重要です。
著作物の要件 | 説明 | 例 |
---|---|---|
個性がある | 作った人の考えや気持ちが表現されていること。他の作品と区別できること。 | 小説は個性が出ているが、新聞記事は事実の羅列なので個性は少ない。 |
形になっている | 頭の中にあるだけではダメ。文章、絵、音楽など、何らかの形で表現されていること。 | 文章、絵、音楽など |
一定の完成度 | 断片的なメモ書きなどは不十分。全体として作者の表現が見て取れる必要がある。 | 小説のあらすじだけでは不十分。 |
著作権の発生 | 作品が完成した時点で自動的に発生。登録は不要。 | – |
著作物の具体例
著作物とは、人の思想や感情を創作的に表現したものです。 著作権法では、小説や脚本のような文章作品をはじめ、様々な種類の作品を例として挙げています。例えば、音楽や舞踊といった舞台芸術、絵画や彫刻などの美術作品、建築物、写真、映画、地図や設計図、コンピュータプログラムなども著作物に含まれます。
ただし、これらの例示は全てを網羅しているわけではありません。大切なのは、どれだけ独創的な表現で思想や感情が表されているかという点です。例えば、自分で撮った写真や描いた絵、作曲した音楽などは、他人の作品に似ていない独自の表現があれば著作物と認められます。
インターネット上のコンテンツも同様です。例えば、ブログの記事やホームページに掲載した文章や写真、動画、交流サイトへの投稿なども、創作性を満たせば著作物として保護されます。
しかし、既に存在する作品をそのまま真似たり、少しだけ手を加えただけのものは、著作物とは認められません。真似ではなく、自分の表現や工夫が凝らされていることが重要です。既存の作品から着想を得ることはあっても、そこに独自の要素を加え、新しいものを生み出すことで、著作物として認められる可能性が高まります。このように、著作物か否かの判断は、個々のケースによって異なります。少しでも疑問があれば、専門家に相談することをお勧めします。
アイデアは著作物ではない
著作物の世界では、思い付きや考えそのもの、つまりアイデアは守ってもらえないことになっています。アイデアは新しいものを生み出すための大切な種のようなもので、誰でも自由に考え、話し合うべきものと考えられています。そのため、頭の中にある漠然とした考えや、まだ形になっていない思いつきは、著作権によって守られる対象にはなりません。
たとえば、物語の大まかな流れや登場人物の設定、遊びの決まり事、新しい商品の案などは、まだアイデアの段階なので、著作物としては認められません。これらのアイデアをもとに、実際に物語を書き上げたり、遊びを形にしたり、商品をデザインしたりして初めて、著作物として認められ、著作権によって守られるようになります。
たとえ誰かにアイデアを盗まれたと思っても、著作権を侵害されたとして訴えることはできません。アイデアそのものはみんなの共有財産と考えられているからです。しかし、アイデアを具体的に文章や図表などで表現した企画書や設計図などは、著作物として認められる可能性があります。
これは、アイデアをどのように表現するかが重要だということを示しています。例えば、同じ物語のあらすじでも、ただ一言で述べただけのものと、詳細な設定や展開、登場人物の心情まで細かく書き込んだものとでは、著作物としての価値が大きく異なります。後者は、作者の創造的な表現が含まれているため、著作物として保護される可能性が高いと言えるでしょう。
つまり、アイデア自体は自由に使って良いけれど、それを具体的に表現したものは作者の権利によって守られるということです。この違いを理解することは、著作権を守る上でも、創造的な活動を続ける上でも、とても大切なことと言えるでしょう。
対象 | 著作物として保護されるか | 説明 |
---|---|---|
アイデアそのもの (思い付き、漠然とした考えなど) | 保護されない | 誰でも自由に考え、話し合うべきものとされているため。新しいものを生み出すための種のようなもの。 |
物語の大まかな流れ、登場人物設定、遊びの決まり事、新しい商品の案 | 保護されない | まだアイデアの段階であり、具体的な表現がされていないため。 |
アイデアを具体的に文章や図表などで表現した企画書、設計図 | 保護される可能性がある | アイデアをどのように表現するかが重要。具体的な表現が含まれているため、著作物として認められる可能性がある。 |
詳細な設定や展開、登場人物の心情まで細かく書き込んだ物語のあらすじ | 保護される可能性が高い | 作者の創造的な表現が含まれており、著作物としての価値が高いと判断されるため。 |
著作権で守られる権利
著作物は、小説や音楽、絵画、写真、映画、コンピュータプログラムなど、人間の思想や感情を表現した形のあるものです。これらの著作物を創作した人は、法律で守られた特別な権利を持ちます。これを著作権といいます。 著作権は、他の人が作った著作物を勝手に利用することを制限する権利です。これにより、作者の創造的な努力が守られ、文化の発展が促進されます。
著作権には、様々な権利が含まれています。例えば、複製権は、印刷やコピーなど、著作物を同じ形にすることを許可したり禁止したりする権利です。本をコピーしたり、絵画を複製したりする場合は、著作権者の許可が必要です。上演権や上映権は、演劇や映画などを公の場で上演または上映することを許可または禁止する権利です。無許可で演劇を上演したり、映画を上映したりすることは著作権侵害になります。公衆送信権は、インターネットや放送などで著作物を広く伝えることを許可または禁止する権利です。動画サイトに無断で映画をアップロードしたり、音楽を配信したりすることも、この権利の侵害にあたります。他にも、展示権(絵画や彫刻などを展示すること)、頒布権(本やCDなどを販売すること)、譲渡権(著作権そのものを他の人に譲ること)、貸与権(本やCDなどを貸し出すこと)など、様々な権利があります。
これらの権利は、著作物を創作した人に自動的に発生します。登録などの特別な手続きは必要ありません。他人の著作物を利用する際には、必ず著作権者に許可を得なければなりません。 無断で利用すると、著作権侵害となり、損害賠償を請求されたり、刑事罰を受けたりする可能性があります。著作権を尊重し、正しく利用することは、文化を守り、発展させるために大切なことです。
権利の種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
複製権 | 著作物を同じ形にすることを許可または禁止する権利 | 本のコピー、絵画の複製 |
上演権・上映権 | 演劇や映画などを公の場で上演または上映することを許可または禁止する権利 | 演劇の上演、映画の上映 |
公衆送信権 | インターネットや放送などで著作物を広く伝えることを許可または禁止する権利 | 動画サイトへの映画の無断アップロード、音楽の無断配信 |
展示権 | 絵画や彫刻などを展示することを許可または禁止する権利 | 絵画の展示 |
頒布権 | 本やCDなどを販売することを許可または禁止する権利 | 本やCDの販売 |
譲渡権 | 著作権そのものを他の人に譲ることを許可または禁止する権利 | 著作権の譲渡 |
貸与権 | 本やCDなどを貸し出すことを許可または禁止する権利 | 本やCDの貸出 |
著作物の保護期間
作った人の権利である著作権には、守られる期間があります。これは、作った人の死後、一定期間が経つと、誰でも自由に使えるようになるということです。この期間のことを著作権の保護期間と言います。
多くの場合、著作権の保護期間は、作った人の死後70年間です。例えば、小説や絵画、音楽など、一人で作った作品の場合、その人が亡くなってから70年間は、作った人の権利が守られます。もしも、複数人で一緒に作品を作った場合は、最後に亡くなった人の死後70年が保護期間となります。
映画やゲームなど、会社などの団体が作った作品の場合は少し違います。これらの作品は、公表されてから70年間が保護期間となります。公表とは、広く一般の人が見たり聞いたりできるようになった時を指します。つまり、映画が映画館で上映されたり、ゲームがお店で売られるようになった時点から70年間、その会社の権利が守られるということです。
保護期間が過ぎると、その作品は、誰でも自由に使えるようになります。これを、パブリックドメインと言います。例えば、有名な作家の夏目漱石の小説や、絵師の葛飾北斎の絵画などは、既に保護期間が過ぎており、パブリックドメインとなっています。ですから、これらの作品は、誰でも自由に読むことができ、複製することも可能です。
しかし、自由に使えるようになったとはいえ、作った人の気持ちを尊重することは大切です。作った人の名前をきちんと表示したり、作品を勝手に変えてしまったりしないように気を付ける必要があります。これは、作った人の人格を守るための権利で、著作者人格権と呼ばれ、保護期間が過ぎた後も守られます。つまり、パブリックドメインの作品であっても、作者への敬意を払い、大切に扱うことが重要です。
作品の種類 | 著作権の保護期間 | 備考 |
---|---|---|
一人で作った作品 (小説、絵画、音楽など) | 作った人の死後70年 | |
複数人で作った作品 | 最後に亡くなった人の死後70年 | |
会社などの団体が作った作品 (映画、ゲームなど) | 公表後70年 | 公表とは、広く一般の人が見たり聞いたりできるようになった時点 |
保護期間終了後 → パブリックドメイン (誰でも自由に使用可能)
ただし、著作者人格権(作者への敬意、人格の尊重)は保護期間後も有効